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プリウスを筆頭に、トヨタ・ハイブリッドが搭載するストロング・ハイブリッドシステム 精緻可憐複雑怪奇? そのとき、THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)はどのように動いているのか

  • 2019/04/05
  • Motor Fan illustrated編集部
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トヨタのハイブリッドシステム:THS。シリーズ式でもパラレル式でもない、THS式とも言われる独創的かつ効率的な手段で、パイオニアながらあっという間にハイブリッドとしてのアイコンとなり、現在に至る。その独特なメカニズムをあらためて紹介しよう。

 スペックに「THS-II」と記すクルマが非常に多くなった。トヨタ・ハイブリッド・システムの頭字語であるTHSは、名称が示すように第二世代(II)としていて、しかし個人的には現行プリウスが搭載するシステムは第三世代を名乗ってもいいのではないかと思うくらいに劇的な変化を遂げている。

 THS:初代プリウスに搭載
 THS-II:二代目、三代目、四代目プリウスに搭載

初代プリウスのパワートレイン。
二代目プリウスのパワートレイン。
三代目プリウスのパワートレイン。エンジンが1.8ℓになった。トランスアクスルでは動力分割機構と減速機構を一体化、効率を著しく高めている。
四代目プリウスのパワートレイン。トランスアクスルのレイアウトを刷新した。

 いずれにも共通するのは遊星歯車を用いる動力分割機構を備え、発電用モーターと駆動用モーターのふたつの電動機を制御する変速ユニット(誤解を与えやすい表現だが)であること。プリウスの世代を経るごとに改良が施されていて、初代プリウスから二代目に代替わりする際にはモーター出力を向上、三代目ではエンジンを1.8ℓにするとともに駆動用モーターを減速機を介することで小型軽量化、四代目は軸方向に並んでいたふたつの電動機を複数軸配置の上下配置とすることでユニットの幅方向の劇的な寸法削減に成功している。

四代目プリウスに搭載されているTHS-IIトランスアクスルは、MG2を別軸配置することでレイアウトを刷新、小型軽量化を果たした。(FIGURE:TOYOTA)

遊星歯車機構がエンジンと発電機を自在に操る

動力分割機構。エンジン出力はキャリアに、MG1はサンギヤに接続される。歯車によって機械的に嚙み合っているので、左グラフで示す回転数の斜線は必ず直線になる。(FIGURE:TOYOTA)

 THSのTHSたるゆえんが、遊星歯車を用いる動力分割機構である。エンジンからのトルク入力をプラネタリーギヤキャリアに、発電機(MG1)軸はサンギヤに、リングギヤは出力という機械構成とし、その遊星歯車機構自体にはクラッチ/ブレーキを備えずにその都度、エンジン出力が発電と駆動に適宜振り分けられるというのが最大の特長である。

「その都度」「適宜」とはどういうことかを、走行シーンごとに追ってみよう。図中の★が力点、×は固定されている状態の支点、●は作用点というイメージで捉えていただければ幸いだ。なお、図はすべてプリウスPHVのもの。よって、ワンウェイクラッチが備わっている仕様である。

【エンジン始動】*1のMG1を回転させて(★)サンギヤを回転させ、キャリアを駆動してエンジンを始動させる(●)。リングギヤは*2のMG2が停止しているので回らない(×)。グラフから読み解くと、サンギヤの回転数を高め、しかしリングギヤは固定されているので、キャリアがそれに連れて正回転するという仕組みである。このとき、MG2には正トルクをかけてエンジン反力を打ち消す制御を施している。
【バッテリー充電@停車時】上図とはドライブ/ドリブンが逆転した状態。MG1を回転(●)させるためにエンジンを回転させる(★)。なお、車両停止時にはMG2に負トルクをかけることで、ホイールの回転を止めている(×)。
【バッテリー充電量OK時の軽負荷走行】MG2を回転させてホイールを駆動。エンジンは停止しているのでグラフではキャリアは0ポイント(×)、MG2駆動で連れ回るリングギヤは正回転(★)するので、MG1は逆回りに空転(●)する状態。
【バッテリーを充電しながら走行】THSの真骨頂。エンジンからのトルク(★)でサンギヤ(MG1:●)とリングギヤ(ホイール出力:●)をともに正転駆動する。
【エンジントルク主体の定常走行】エンジントルク(★)はホイール出力(●)へ多く割り振り、MG1も駆動(●)しているという状態。その電力で適宜MG2を駆動、エンジントルクをアシストする。
【回生時】ホイールの回転を受けてキャリア(★)がMG1を回転させて発電(●)。エンジンは停止しているのでキャリアは固定(×)。
【後退時】ホイールの直接の駆動はMG2からのトルク。エンジンが停止していればキャリアは固定(×)、MG1は正転しているが空転状態。もしバッテリー残量が充分でないときはエンジンを運転させてMG1を駆動し、MG2への電源とする(図中の斜線がリングギヤの交点を支点としてもっと傾きを増すイメージ)。

 グラフをご覧になっていてお気付きの方もいらっしゃるかもしれない。中列の「プラネタリーキャリア(エンジン)」の回転数(負)というのはあり得ない、不可能な状態である。エンジンを逆転させることはできないからだ。

 プリウスPHVの「デュアルモータードライブ」というモードでは、駆動用モーターであるMG2に加えて、本来発電機であるMG1も駆動用モーターとして使い、最大出力とする。そのためにワンウェイクラッチを備えているというのはよく知られているとおり。

【プリウスPHVのデュアルモータードライブ】MG2がホイールを駆動するのは通常と同様、MG1の駆動力(★)をホイールに伝える(●)ためにはキャリアを固定しなければならない(×)。逆回転方向の回転抑制のための機構がワンウェイクラッチというわけである。
プリウスPHVのトランスアクスルユニット:P610型のベルハウジング側。ワンウェイクラッチが備わっているのが見て取れる。

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