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ACGでトラクションコントロール——安藤眞の『テクノロジーのすべて』第37弾

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ダイムラーM264が搭載する48VシステムのBSG

先日、某大学教授を取材した際、興味深い裏話を聞いた。「裏話」なので、そのまま表に出すことはできないのだが、それをヒントに、あるアイデアを思いついたので、紹介しておきたい。
TEXT:安藤 眞(ANDO Makoto)

 今後のクルマが電動化に向かうことは、誰もが認めるところだろう。同時に、電動化の水準が多様になることも、間違いないと言って良い。具体的には、バッテリーEVからPHEV、ストロングHVからマイルドHVまでで、マイルドHVも48Vシステムから12Vシステムまで、車両価格やキャラクターに合わせて作り分けが行われるものと思われる。中でも多数派を占めるのは、低コストで作れる12Vシステムではないかと、僕は考えている。

 というよりも、純粋にエンジンの力だけで走るクルマはコスト勝負の軽商用車だけになり、ほとんどのクルマがマイルドHVになる日が来るのではないか。
 そうなると、容量の大きなACGの充放電制御を行うことになるはずだが、まず、これがトラクション・コントロールに生かせるのではないだろうかと考えた。

マイルドハイブリッドのイメージ。減速時の回生をメインシャフト〜ACGで得る。逆にメインシャフトへの力行も可能。(FIGURE:HYUNDAI)

 現在のトラクション・コントロールシステムの多くは、車輪速センサーで車輪の空転を検知したら、エンジントルクを絞ったり、機械式ブレーキをかけたりして空転を止めに行く。しかしブレーキでは介入が唐突になり、空転していない車輪へのトルク移動が急激になって、凍結路のような極端な低μ路では、それがきっかけでスリップし始めることもある。エンジン制御にしても、スロットルバルブを絞って吸気流量が減ってからでないとトルクは落ちないから、応答性が悪い。

 そこで、大容量ACGの登場である。タイヤのスリップを検知したら、まずこれに発電負荷をかけ、エンジントルクを吸収してしまえば、タイヤのスリップも止めやすくなるのではないだろうか。というか、冒頭の「裏話」の概略が、それに近い内容だったのだ。

G-ベクタリング コントロール概念図(ILLUSTRATION:MAZDA)

 もうひとつは、操縦安定性制御。端的に言えば、マツダがやっているGベクタリングコントロール(GVC)だ。

 これは操舵角を検知してエンジンのトルクをわずかに落とし、前輪の接地荷重を高めて旋回開始を助けようというもの。従来のポート噴射式エンジンでは制御応答性が悪くてできなかったが、直噴で制御応答性が高く、クランク角の分解能も高いスカイアクティブエンジンになったから、うまくいったという話だった。

 そこで再び、大容量ACGの登場である。もうお分かりだと思うが、エンジントルクを絞る代わりに、発電負荷を増やしてトルクを吸収すれば、制御応答性の良くないエンジンでも、GVCと同じことができるのではないか(もしかして、もうやっている?)。

 ともあれこれが可能なら、12VマイルドHVでも(ことによると単に回生充電制御をしているだけのクルマでも)、GVCのような制御ができるはず。マツダはOEMを受けている軽自動車にこれを取り入れ、見た目だけでない差別化を図ってはどうか。

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