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畑村耕一博士の「2020年の年頭に当たって」②ガラパゴスと言われてきた日本のハイブリッド技術が、世界に羽ばたく時がきた エンジン博士畑村耕一「VWは本気か? EVとHEVの覇権争いが始まる?」:自動車用パワートレーンの将来

  • 2020/01/04
  • Motor Fan illustrated編集部
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VWの電気自動車ID.3

マツダでミラーサイクル・エンジン開発を主導したエンジン博士の畑村耕一博士(エンジンコンサルタント、畑村エンジン開発事務所主宰)が、2020年のスタートにあたり自動車用パワートレーンの将来:2020年の年頭に当たって」を寄稿してくださった。第2回のテーマは、「EVのCO2排出量」だ。EVの走りを理想という博士だが、見ているのはW2W(油井から車輪まで)、LCAの視点が考えるEVである。
TEXT◎畑村耕一(Dr.HATAMURA Koichi)

エンジン博士畑村耕一「過給リーンバーンの技術競争が始まった」:自動車用パワートレーンの将来:マツダSKYACTIV-Xの評価は?

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魅力的な電気自動車が続々登場してきた。EVとHEVの覇権争いが始まる?

①欧州車、国産車も魅力的なEVが続々登場

 2017年の朝日新聞の記事では、「電気自動車に駆ける世界」と題して今にも自動車からエンジンがなくなって電気自動車の時代が来るような記事を書いている。多くのマスコミは、同じような論調で電気自動車の時代が明日にでも来るように報道している。この風潮は2019年においても続いており、自動車メーカの中でもエンジン開発から電動駆動に技術者が異動しているという話を聞くことがよくある。

図1ジャガーI-PACE(アイペイス)
図1メルセデスEQC
図1アウディe-tron
図1ポルシェ・タイカン

 図1に示すように、実際に欧州発の大量の電池を搭載した高性能EVが続々と登場している。モーターファン・イラストレーテッド誌(以下MFi)Vo.154の「博士のエンジン手帖」でジャガーI-PACEを紹介したように、EVの走りは素晴らしい。アクセルに素直にかつ素早く反応してスムーズな加速を体感させてくれる。加えてモーター駆動ではアクセルによって加速だけでなく減速も制御できる。さらにアクセルだけで通常の停止までできるようにしたe-Pedalを日産は導入している。エンジン車にはとても真似ができない快適な走りだ。高性能車ほどEVにふさわしい。欧州に負けてはならじと日本車も図2のようにEVの新型車の導入が計画されている。日本のEVはLEAFを除くと比較的電池容量が小さく、航続距離も割り切っていることから、ZEV(米カリフォルニア州)、NGV(中国の新エネルギー車)の規制に対応するために仕方なくEVを導入するという意志が透けて見える。

図2:続々と登場する国産電気自動車 日産リーフ
図2:続々と登場する国産電気自動車 Honda-e
図2:続々と登場する国産電気自動車 トヨタC-HR EV
図2:続々と登場する国産電気自動車 マツダMX-30

 一方、11月4日に世界最大級の自動車メーカであるフォルクスワーゲン(VW)が新型電気自動車(EV)「ID.3」をツヴィッカウ工場で生産開始した(図3)。報道された記事では、「人類にとっての大きな飛躍」と言って過言ではないかもしれない、とまで記述している。実際、量産開始の記念式典では図4に示すようにメルケル首相まで登場するという国を挙げての事業なのだ。ID.3は、ビートル→ゴルフ→ID.3と続くVWの中心車種に位置づけられ、小型車としてもEVとしてもベンチマークになりそうな内容だ。バッテリー容量によっては航続距離が最大550km、そして出力100kWの急速充電器を利用すれば30分の充電で約290kmを走行できる充電時間の短さなどは特筆すべきだろう。充電の煩わしさからユーザーを解放する図5のような充電ロボットも開発されている。ドイツでの量産モデル(航続距離330km)のベース価格は3万ユーロ(約354万円)未満になる見通しで、補助金を考慮すると従来の小型車と競合する水準になる。

図3VW、ど真ん中のEV(ID-3)で狙う「プリウス旋風」の再現。ID.3は電池容量が3タイプあり、満充電でそれぞれ330km、420km、550kmを走行できる。最も航続距離が少ないグレードの価格は3万ユーロ(約360万円)未満に抑えた。
VWのID.3は20年夏から納車が始まる予定。VWはどのように需要を喚起していくのか。ID.3のマーケティングは、VWの命運を握ることになる

 ID.3はEV専用のプラットフォーム“MEB”を採用し、EV専用工場に改修されたドイツのシヴィッツカウ工場で2020年に10万台、2021年からは最大33万台のEVが生産される計画だ。ディーゼルゲートで行き場を失ったVWは、ディーゼルに代えて本気でEVシフトに取り組み始めたようだ。その背景にはCO2排出規制では日本のハイブリッドに対して勝ち目がない現実があるのだろう。

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