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スズキ新型ハスラーのテクノロジー:ロングストローク化した新型自然吸気エンジン、そしてボディに構造用接着剤を採用

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新型ハスラーが搭載する新開発のR06D型エンジン

日本でしか販売されないガラパゴス的カテゴリーと揶揄されることもある軽自動車。だが年間190万台の市場規模は活発な競争を生み出している。二代目となったスズキ・ハスラーもこれまでの常識を超えた変更を実施。主力となる自然吸気エンジンを早くも世代交代させた。
TEXT & PHOTO:MFi FIGURE:SUZUKI

激戦の軽自動車市場で勝つためにカテゴリー破りの技術を投入

新型R06D型エンジン 形式:直列3気筒DOHC 排気量:657CC ボア×ストローク:61.5mm×73.8mm 圧縮比:12.0 最高出力:49ps(36kW)/6500rpm 最大トルク:58Nm/5000rpm
外観は大ヒットした初代のイメージを踏襲している新型ハスラー。しかしプラットフォームはスズキの最新世代HEARTECTに刷新され、予防安全装備も充実。さらに136万5100円〜という低価格も実現している。

 人気上位4車は月販1万台以上を軽くクリアするなど、登録車以上に激しい販売競争が繰り広げられている軽自動車マーケット。昨年12月24日に発表されたスズキ新型ハスラーは、ワゴンRと並んで同社のミドルハイト系の両翼を担う基幹モデルであり、今回のフルモデルチェンジでも注目すべき新メカニズムが投入された。自然吸気エンジンは新型となるR06D型で、実燃費の良さとストレスのない軽快な走りを目標に開発。なんとボア×ストロークはターボエンジンとは異なるロングストロークに変更されている。規格により660ccまでとなる軽自動車のエンジンは自然吸気/ターボで同じボア×ストロークにするのが一般的だが、熱効率のさらなる向上を目的として64.0mm×68.2mmから61.5mm×73.8mmに変更。生産ラインを考えてシリンダーブロック、ボアピッチ、バルブアングルなどは変えていない。

 R06系エンジンは2011年の登場で、このときにボアストロークを前述の64.0mm×68.2mmに変更。それほど古いエンジンではないのに、約9年で機械寸法を変更するのはきめて異例。これは軽自動車市場において、自然吸気エンジンの性能競争が売上に与える影響が大きいことが理由だ。ハスラーのようなアクティブなイメージのモデルでも先代でターボの比率は2割を切っており、自然吸気エンジン性能向上は重要と位置づけ新開発を決断したという。

 R06D型エンジンはスズキ軽自動車初のデュアルインジェクションも採用。圧縮比は先代の11.5から12.0まで高められた。ボア径が小さくなるということは吸気バルブ面積も小さくなり、最高出力・最大トルクの面では不利。R06D型エンジンは先代から最高出力で2kW、最大トルクで2Nmダウンしているが、低中速域の出力は先代同等をマークして日常域での走りの力強さはキープしつつ燃費を向上。実走行と近いWLTCモードで約8%の向上を実現している。

 ボディ面での進歩も著しい。新世代プラットフォームHEARTECTをハスラーとして初採用しただけでなく、バックドア、センターピラー、サイドドアでそれぞれ環状構造を形成することでボディ全体の剛性を向上。それに加えてボディ部品のわずかな隙間を構造用接着剤で埋めるという、登録車でも数少ない生産方法を新採用。この工法は、同社では登録車も含めて初となる。

 こうした数々の新技術を、コストや車両サイズなど多くの制約の下で量産化しているのが現代の最新軽自動車だ。激しい競争が生み出す各車の進化から、まだしばらくは目が離せない。

ターボと異なるロングストロークへ変更

73.8mmというR06D型のストロークは、軽自動車用エンジンでホンダS07型の77.6mmに次ぐ長さ。ダイハツKF型は70.4mm、日産BR06型は71.2mmだ。生産ラインを考慮して、R06系エンジンはボア×ストロークが異なっても77.5mmのボアピッチは共通としている。

ツインインジェクターで耐ノッキング性能を向上

ポート噴射のままで、従来は気筒あたり1本だったインジェクターを2本に変更。各ポート専用とすることでポート壁面への燃料付着量を減らせるのでシリンダー内で気化成分が増え吸気冷却効果が向上する。ポート形状もよりタンブルを高められる形状に改められた。

水冷式の外部EGRクーラー

R06D型はEGR冷却用に水冷式クーラーも採用した。こちらもスズキの軽自動車では初の装備。温度を下げることで大量EGR導入時でも筒内温度を下げ、耐ノッキング性能を向上。レギュラーガソリンで12.0という高い圧縮比を実現している。

CVTも最新世代へ変更

先代では副変速機構を備えたジヤトコ製CVTを使っていたが、新型ではアイシン・エィ・ダブリュ製に変更。このユニットは現行スペーシアから使われているが、新型ハスラーでは低圧と高圧の吐出ポートを持つ新しいオイルポンプや低フリクションベルトでさらにロスを低減し燃費を向上させた。

構造用接着剤を導入!

スポット溶接は2枚の板が点で接合されるため点間は荷重を受けて動いてしまう。構造用接着剤で点間を埋めれば強固な1枚の厚板となり剛性が向上。上の図でオレンジの部分が使用している部位で、リヤサスからの入力部やBピラー上下、フロア前端などに接着剤が使われている。

新素材で車内の静粛性を向上

ルーフパネルとメンバーの接合に高減衰マスチックシーラーを使っていることも目新しい。減衰が大きな素材によってルー フパネルの共振周波数をコントロールし、こもり音や雨音を車内に届きにくくしている。量産技術としてはこれも軽自動車で初となる技術だ。

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