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内燃機関超基礎講座 | 「プラグインハイブリッド燃費」とは何か。どのように算出するのか。

  • 2021/06/11
  • Motor Fan illustrated編集部
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プリウスPHVが登場した際に掲げていた「プラグインハイブリッド燃費=57.0km/ℓ」の値は、どのようにして求められているのか。

トヨタが次世代車の本命と位置付けるプラグインハイブリッド車(以下PHEV)である「プリウスプラグインハイブリッド」(以下プリウスPHV)のリースが開始したのが2009年12月14日。ベースになっているのは、プリウスのSグレード。技術的な注目点は言うまでもなく、「トヨタ初のリチウムイオン2次電池」である。電池容量は、プリウスの1.3kWhに対して5.2kWhと約3倍。これでフル充電状態で23.4kmのEV走行が可能になった(プリウスは約2km)。ちなみに5.2kWhは、EVの三菱i-MiEVの3分の1である。

エンジンや駆動モーターは、プリウスと同じ。ハイブリッドシステム全体の最高出力も100kWでプリウスと同じ数値だ。注目の燃費性能は「プラグインハイブリッド燃費=57.0km/ℓ」と発表された。ここでは、この耳慣れない「プラグインハイブリッド燃料消費率(PHEV燃費)」について解説する。

「プラグインハイブリッド燃料消費率」は、上の式で求められる。主に外部充電した電力で走行する「プラグイン走行」(車種によってはガソリンを使うことも想定。プリウスPHVではガソリンは23.4kmまでは使用しない)の燃費と、SOCが一定まで下がった状態で電力と燃料を両方使った走行する「ハイブリッド走行」の燃費をUFによって組み合わせて算出する。

通常のJC08モードの走行試験は8km。するとこれまでの試験では、プリウスPHVの燃費は「無限大」になってしまう。PHEVは、走行距離が短ければEV走行が主体になり、長くなればハイブリッド車の走行パターンに近づく。距離で燃費が大きく変化する。そこで国土交通省は、適切な燃費算出基準を定めることにしたのだ。

外部充電で満充電された充電容量を使ってモーターのみで走行するのを「プラグイン走行」とし、モーターとエンジンを組み合わせて走行するのを「ハイブリッド走行」とした。両者を分けるのは電池のSOC(State of Charge=充電状態)。燃費の走行試験では、満充電したのち、JC08モード(8km)のテストを繰り返して行ない、SOCを測定する。SOCが下がり続ける状態をプラグイン走行とする。SOCは、ある一定値以下には下がらない。ここからはハイブリッド走行となる。

外部から満充電されたバッテリーのSOC(充電容量)は、プラグイン走行を続けるにつれ下がっていく。SOCがある一定値まで下がるとそれより下へは下がらなくなる。

プリウスPHVは、プラグイン走行時にエンジンは使わないが、今後登場する車種によってはSOCが下がり続ける局面でもモーターとエンジンを組み合わせて走行するクルマも出てくる。それでもSOCの値の変化で走行を区別することができる。

そして、もうひとつの数値がUF(ユーティリティファクター)である。これは、ユーザーへの調査によって1日当たりの走行距離の分布を示したもので、ユーザー全体の約50%が30km以下に入るので、UFは0.5。プリウスPHEVのプラグイン走行距離23.4kmは、0.462となる。これを式に当てはめるとPHEV燃費が算出できる。

国土交通省は、カタログ等への燃費表示として、プラグインハイブリッド燃費、ハイブリッド燃費、充電電力使用時燃料消費率、充電電力使用時走行距離、電力消費率を求めている。

燃費計算のUF(ユーティリティファクター)は、1日あたりの走行距離の市場調査を反映したもの。例えば30km以内と答えたユーザーは約52%で、それがUFとなる。
リチウムイオン電池は、単セル3.6Vを96個直列につなぎ345.6Vの定格電圧を得ている。精密部品であるリチウムイオン電池を車載するにあたって、トヨタは、-30°C〜40°Cまでの環境下(5カ国)で延べ1050万kmの走行テストを行なった。充電時間は200Vで約100分、100Vで約180分。EVのi-MiEVはそれぞれ約7時間、約14時間かかる。バッテリー容量が5.2kWhでi-MiEVの約3分の1だからだ。

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