現在のクルマの天井アシストグリップはほぼクリップ固定

近年のクルマの天井に備わるアシストグリップは、ボルト固定ではなく衝撃吸収構造を持つクリップ固定に変わっており、体重を支えられるだけの耐荷重は備わっていない。グリップに追加されているコートハンガーも耐荷重は1kgまでが目安となる。

天井に備わるアシストグリップの正しい使い方は、走行中にカーブを曲がる際や路面の凹凸などで身体が振られそうなときに、軽く手を添えて姿勢を安定させることだ。

そのため、乗り降りの際に天井のアシストグリップを掴んで上体を持ち上げるような使い方は、設計上の想定を超えた負荷をかけることになり、グリップの脱落に伴って転倒事故やケガの恐れがある。

自動車メーカーもアシストグリップの使い方に関して注意を呼びかけており、「立ち上がる際に使用しないように」と車両取扱説明書にも明記している。

ボルトで固定される従来のアシストグリップなら、乗降にも耐えられるだけの高い耐荷重が備わっていた。しかし近年のクルマのアシストグリップは金属クリップで固定されており、体重を預けるような使い方をするとアシストグリップ自体が外れたり、握り手部分が破損する恐れがある。

後付けも可能!乗り降りには乗降専用アシストグリップを使おう

ピラーに対して平行に取り付けられる乗降用アシストグリップなら、車体骨格に直接ボルトで固定されているため乗降にも安心して使える。標準でグリップが備わらず不便な場合は、後付けのアシストグリップを活用しよう。

乗降時には天井のアシストグリップではなく、ピラーなどに設置された専用の乗降用アシストグリップを使うべきだ。

着座位置の高い商用バンなどの運転席にはAピラーにアシストグリップが備わることが多い。多くのミニバンの後部座席には、Bピラーのちょうどよい位置に手すり状のアシストグリップなどが備わる。

これらのアシストグリップは車体フレームにボルトで強固に固定されているため乗降時にも安心して使える。

アシストグリップが標準で備わらず不便な場合は、天井のアシストグリップを使うのではなく、後付けアシストグリップの装着を検討したい。

上位グレードに乗降用アシストグリップの設定がある車種なら、フレームにもネジ山が備わっている場合が多いため簡単に取り付けられる。そのほか、メーカーアクセサリーとして前席のヘッドレストに追加できる後部座席用の後付けアシストグリップなども販売されている。

これらの装備は子どもの乗り降りや、高齢者の介助や介護の場面においても有用な装備だ。

天井アシストグリップの正しい使い方は走行中の姿勢保持

ボルト固定のアシストグリップであっても、使用条件次第ではボルトの破断や抜け、取付母体となるパネルの変形といった事態が起こりうる。形状や固定方式を問わず、全体重を預けるような使い方は事故のもとだ。

以前のクルマのアシストグリップは、天井のフレームにボルトでしっかりと固定されていた。しかし、2000年ころから2010年初頭にかけてクリップ固定式へと徐々に移り変わってきた。その背景にあるのは衝突安全基準の変化だ。

クリップ固定式のアシストグリップはカーテンエアバッグの展開を妨げないようにするとともに、アシストグリップに頭がぶつかった際などに結合部が可動して衝撃を吸収する特殊な構造になっている。現在は、カーテンエアバッグ非装着車であってもクリップ固定式となっている場合がほとんどだ。

そのぶん耐荷重が低いため、体重を預けるような使い方は厳禁となる。一度アシストグリップが脱落すると金属クリップは使用不可となるため、再度取り付けるには相応の部品代および修理代がかかる。

加えて、一見ボルトで固定されているような形状のアシストグリップであってもクリップ固定の場合があるため、見た目だけでクリップ固定式かそうでないかを判断できないことも覚えておこう。

もちろん、強固に取り付けられるボルト固定式の天井アシストグリップであっても、常識を逸脱した使い方をすると脱落する可能性は拭いきれない。

あくまで天井のアシストグリップは、走行時の姿勢を支えるためのものだ。乗降に使用して脱落し、急に支えを失えば転倒事故によるケガは必至であるうえ、子どもがアシストグリップにぶら下がって遊ぶ可能性もある。

同乗する家族や恋人、友人が誤ったアシストグリップの使い方をしているようなら、ドライバーの責任として正しい使い方を共有しておきたい。