●9Lタンクで遠出も安心! 【アプリリア・SR GT スポーツ 200】
まずはイタリアの名門「アプリリア」。スポーツ路線のイメージ通り「軽二輪スクーター」もハイパフォーマンスさは健在。実用性だとか高級感だとか、そういった尺度とは別のベクトルで構成されているイメージで、アプリリアならではのスポーティさ(RSVやトゥオーノと同様の顔つき!)やデザイン性(配色やシートのステッチ色に至るまで!)を持っている。過去にはMotoGP日本ラウンドでも展示され、多くの来場者が跨ってみていた姿が印象的。「他と違う」感はかなり高い。

走りはパワフル!かつウインドプロテクション効果も高い
エンジンは、174㏄ 水冷4バルブエンジンを搭載し、最高出力は約18㎰ と国内モデルでは主流の150~160cc クラスよりもパワフル。走り始めてすぐは車体のスポーティさに誘惑されて全開全開! と楽しんでしまって、そうなると振動が多めでどこか荒々しい性格に思えた。絶対的パワーが大きいわけではないのだが、パワーの出方や変速の設定などがそう感じさせるのだろう。そのおかげで信号からのダッシュではキビキビした実力を見せてくれた。
いっぽうでのんびりとしたペースに切り替えると妙に上品に感じるのだからあら不思議(ウインドプロテクション効果も高い)。エンジンマウントを見ると大きなラバーマウントで振動を吸収しているのが見えるし、セルモーターではなくACGスターターによる極スムーズなアイドリングストップ機構などが上質な乗り味に感じさせるのだろう。「さすが高効率を謳うI -GETエンジンだな」なんて、先ほどまでのアクティブさとは対照的な二面性に驚くこととなった。
重心の高さにイタリアンスピリットを感じる
好印象だったのはシートだった。シートを高く設定し(799mm)、ライダーの重心を高く採ってスポーティさを求めるのはいかにも欧州車の雰囲気だが、SRGTのシートはただ高いというだけではなく、絶妙なホールド感や硬さを持っているうえ、車体の前後バランスにおいてもライダーをとてもスポーティな位置に座らせているような印象だ。ニーグリップできないスクーター形状の車体ながら、尻でクイッ!と入力してあげればオールテレーンタイプのタイヤとは思えないトラクション感を発揮して、気持ちの良いコーナリングを楽しむことができた。
スクーターでイタリアンスポーツスピリッツを感じられるとは思わなかったが、ロングストロークタイプのリヤショックも含め、車体づくりの思想を通じて何か大切なコアな部分に触れられた気がした。このクラスとしてはいくらか高価だし、抜きん出ている性能があるわけではない。しかし〝グッとハマる何か〞が確かにある。これこそがイタリア車というものじゃないかな。
REPORT:ノアセレン

ハンドル/メーター

バーハンドルのため、タレ角の調整が可能。ブラックなのもクールな印象だ。フロントシールドは取り付け位置を変更して1段高くできる。
ハンドル幅は810mmで、ミラー幅は790mm ※編集部実測値
ラゲッジスペース


シート下スペースは、フルフェイスヘルメット1個分の他に小物が置ける浅めのエリアが設けられ、ETC装着のスペースも確保。
フロントポケットは、USB Type-Aの端
子を装備。スマートフォンが収まるスペースもある
ユーティリティ

灯火類

足周り/マフラー

タイヤはオールテレーンタイプを採用し、前後共にウェーブ形状のディスクローターを採用。ブレーキはフロントABSを備える。リヤショックは5段階調整式で状況に応じて好みのセッティングができる。

バンク角を意識し?サイレンサーの角度はかなり上向き。ステンレス製エキパイがレーシー。

[主要諸元]
全長×全幅×全高:1920mm×765mm×1295mm
ホイールベース:1350mm
シート高:799mm
車両重量:148kg
エンジン種類:水冷4ストSOHC4バルブ単気筒
総排気量:174cc
最高出力:17.7ps/8500rpm
最大トルク:1.68kgm/7000rpm
燃料タンク容量:9ℓ
ブレーキ(前・後):ディスク・ディスク
タイヤ(前・後):110/80-14・130/70-13
価格:60万5000円
●完全にスポーツバイク!【キムコ・KRV180 TCS】

続いて、人口100人当たり65台以上という世界一のオートバイ普及率を誇るオートバイ大国の台湾で生まれたKYMCO(キムコ)。欧州ではスクーターカテゴリーでトップセールスを記録しており高いデザイン性も特徴。日本では国内販売総代理店としてSMIモビリティ社が展開してる。
ボクが今回試乗したのは2022年から発売を国内販売がスタートしたKRV180TCS(以下KRV)で、ビックリしたのは、エンジン+駆動系+スイングアームが一体構造のユニットスイング式ではなく、エンジン+駆動系を3本のマウントボルトでフレームにガッチリ固定したうえで、独立式のアルミ製スイングアームを採用したこと。つまり一般的なバイクと同じ構造になるためバネ下重量を大幅に軽減することができ、運動性や快適性の向上を実現している。まさか軽二輪スクータークラスでそこまでやるとは……。ちなみに車名の後ろに付くTCSとは、トラクションコントロール機能を持つことを意味している。

一般的なスクーターならば、この位置にエンジン+駆動系となるのだけれど、KRV180TCSは、スイングアーム+ベルトドライブ。ぱっと見普通のバイクだよね。
運動性に優れた50:50の前後重量配分そして44度のバンク角を実現!
そういった構造の先駆けはヤマハTMAXシリーズで、キムコの旗艦を務めるAK550も同様の構造だが、スペース効率を徹底追及したKRVは、前後長短縮に貢献する独創的な同軸式トランスミッションを導入している。また、パワーユニットの超コンパクト化で実現した50:50の前後重量配分、軽二輪以下では貴重な振動緩和用の2軸式バランサー、ライバル勢を大幅に上回る44度のバンク角などもこのモデルも特筆すべき要素だろう。

コーナリングに没頭できるフットワーク
ではそんなKRVの走行フィーリングはどうかと言うと、路面の凹凸の吸収性が素晴らしく良好だから、高級車のような安心感が得られるし、リヤから伝わるトラクションはかなり明確。どんな場面でも自信を持ってアクセルを開けられる。その恩恵は市街地でも十分に実感できるのだけれど、真価を発揮するのはやっぱりワインディングロードだ。大小のコーナーが続く道でのKRVは、完全にスポーツバイクで、前述した重量配分やバンク角の効果もあって、コーナリングに没頭できる。逆にこの乗り味を知ってしまうと、ユニットスイング式の一般的なスクーターを走らせているときは、自分の中に多少なりともセーブという意識があったような気がしてくる。

リヤショックは一般的なバイクと同様に1本タイプを採用。横置きマウントとして、シート下収納スペースを確保するなど実用面にも考慮。
新型エンジンは二軸バランサーを装備して振動の少ないスムーズな乗り味
なお専用設計されたエンジンの最高出力は17㎰ で、排気量を考えれば驚くほどではないのだが、ふとメーターを見ると、予想以上の速度が出ていることが少なくなかった。また、高速道路で感心したのは、他の150〜160㏄ スクーターよりも心身に余裕があったこと。その感触には排気量とパワーの多さだけではなく、2軸式バランサーや独立式スイングアームも貢献していると思う。いずれにしても、KRVは軽二輪スクーターの常識を覆す乗り味を実現しているのだが、ライバル勢+10〜15万円前後の価格には抵抗を感じる人がいるだろう。まあでも、革新的な構造を考えればそれは当然のことだし、250㏄ のフォルツァやXMAXを比較対象とするなら、個人的には適価、と言うより、お買い得ではないか……と感じている。
REPORT:中村友彦
ハンドル/メーター

バーハンドルを採用するKRV。ハンドル幅は750mmで、ミラー幅は810mm ※編集部実測値
ラゲッジスペース

シート下の容量は25ℓで、フルフェイスヘルメットが収納できる。さらに、室内にはセンサー式のLED照明付きだ。
ライディングポジション&ユーティリティ

フラットフロアのアンダーボーンフレームのため、ステップの足位置は自由度が高い。
灯火類

ヘッドライトはすべてLEDで4 灯あり、LOは中央部、HIで両側が点灯する。デイタイムでは横長のポジションランプがスポーティーさを演出。
足周り/マフラー

前後ディスク径は放熱性が高いウェーブ形状を採用。フロント:Φ270mm/リヤ:Φ234mmと大径だ。リヤショックの調整はないが、ABSも装備しさらにトラクションコントロール機能と電制機能が充実。

[主要諸元]
全長×全幅×全高:1960mm×755mm×1115mm
ホイールベース:1400mm
シート高:795mm
車両重量:143kg
エンジン種類:水冷4ストSOHC4バルブ単気筒
総排気量:175.1cc
最高出力:16.9ps/8000rpm
最大トルク:1.57kgm/6500rpm
燃料タンク容量:7.2ℓ
ブレーキ(前・後):ディスク・ディスク
タイヤ(前・後):110/70-13・130/70-13
価格:56万1000円
●ベーシックでいいんだ!シンプルでいいんだ!【キムコ・アローマ150】

ヨーロッパで高い人気を誇り、かつ他社のOEM生産も担当する台湾発のキムコ。スクーターを作ってきた歴史は長く(1964年)、現在は107か国で販売されており、世界的に見れば日本メーカーに続く巨大メーカーのひとつである。日本国内でも2000年代にスーパー9がヒットし認知度は高いメーカーだ。そんな同社の150ccクラスのスクーターと言えば個人的には125cc/150cc版が存在する「ターセリーS」が印象的。箱やスクリーンを標準装備する実用仕様でありつつ36万円ほどの価格設定が魅力だ。そしてこのクラスに新たに投入されたのがこの「アローマ」である。欧州では「ライク」の名前で販売されており、アジア市場向けにシート高を下げる(810mm→760mm )などのアップデートを施しているのはありがたい。
36万円を切るリーズナブルな価格も魅力的!
エンジンは空冷4バルブユニットを搭載したレトロテイストであり、35万9700円というリーズナブルな価格設定が嬉しい。スタイリングは欧州車的でありつつ、同時にスズキのアドレス125にも似た、ところどころにメッキをあしらうなど高級感を持たせたもの。もはやこのスタイルは懐古主義というよりは普遍的なスタンダードだろう。老若男女問わずに「なんとなくステキ」と受け入れられやすいデザインではないだろうか。

乗り降りのしやすいステップスルースタイル
見た目のコンパクトさはまさに125㏄クラス。前後12インチホイールということもあって、ちょっと大柄な50㏄と言ってもいいぐらいで、長身ライダーには足元のスペースが窮屈に感じてしまうかも。ただ小さな車体と低いシート、そしてほぼフラットなステップスルー構造はまさに「原チャリ感覚」で跨り走り出すことができ、その気軽さはこのクラス随一だ。

鼓動感が懐かしい、空冷4ストエンジンを採用
小さく軽い車体に150ccユニットが載っているのだから、80km/hまではとても気持ち良く加速。その先はエンジンの余力的にも車体の安定性的にも無理は効かない感じではあるものの、コーナリングのしっかり感やブレーキの確かな利きなど、抑えるべきポイントはしっかり押さえている。欧州で支持されているのも納得だ。
「だったら125ccでもいいよね」と思う人もいるだろうが、通勤ルートやよく使う幹線道路の兼ね合いで原付不可のバイパスに乗れたら便利という人もいるだろう。
車両のレベルは125ccで十分。価格も抑えたい。だけどナンバーの区分だけは軽二輪で! というアナタのためのアローマ150なのである。
REPORT:ノアセレン

ハンドル/メーター

ハンドル幅は670mmで、ミラー幅は750mm ※編集部実測値
ラゲッジスペース

シート下収納には、ジェットヘルメットが収納でき、ヘルメットホルダーも備える。さらにシガーソケットが配置され給電も可能だ。
ユーティリティ

ガソリン給油口は、前ポケット下にあるノブを開けカギ穴付きの給油キャップへアクセスするシンプルな仕様だ。
灯火類

クラシカルなデザインの車体に、埋め込まれたウインカーはLED。独特な形状のヘッドライトもLO╱HI共にLED。
足周り/マフラー

前後12インチのホイールにABS機能付きのブレーキを採用。

[主要諸元]
全長×全幅×全高:1920mm×675mm×1125mm
ホイールベース:1320mm
シート高:760mm
車両重量:128kg
エンジン種類:空冷4ストSOHC4バルブ単気筒
総排気量:150cc
最高出力:13.3ps/8500rpm
最大トルク:1.22kgm/6500rpm
燃料タンク容量:6.5ℓ
ブレーキ(前・後):ディスク・ディスク
タイヤ(前・後):110/70-12・130/70-12
価格:35万9700円
まだまだあるぞ!「海外モデルの軽二輪スクーター」
「個性的」という言葉がピッタリ!な、海外スクーターたち。見た目だけでなくユニークなギミックやマシン造りへの割り切り方などは国内モデルとは一線を画すものが多い。他人とカブリたくない人や所有満足度の高さは海外スクーターならではだ。

●ITALJETイタルジェット(イタリア)
●ドラッグスター200
●価格:94万6000円
独自のI.S.Sインディペンデント・ステアリングシステムで車体を安定させる機構を採用。DOHCヘッドの181ccエンジンは見た目通り過激な仕様だ。

●PEUGEOTプジョー(フランス)
●ジャンゴ150ABS
●価格:46万2000円
クルマを思わせるフロントグリルや、曲線美を生かした装飾が個性的。LCDメーターやABSを装備する。シートはセパレートでメットインはライダー側の下にある。

●LAMBRETTAランブレッタ(イタリア)
●V200スペシャルFlex
●価格:63万円
ボディや足周りは125ccモデルと共通だが、フロントフォーク固定のフロントフェンダーを採用。シリーズ最高峰の169ccエンジンを搭載する。
※この記事は月刊モトチャンプ2024年4月号を基に加筆修正を行っています



























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