スズキDR-Z4S……1,199000円

カラーリングは、チャンピオンイエローNo.2 ×ソリッドスペシャルホワイトNo.2と、ソリッドアイアングレーの2種を準備。なお兄弟車でオンロード重視のDR-Z4SMは、スカイグレーとソリッドスペシャルホワイトNo.2。

前任車とは異なる優しさと扱いやすさ

前任に当たるDR-Z400Sと比較すれば、ものすごく優しくて、ものすごく扱いやすい。2025年10月に開催されたオフロードコースでの発表試乗会でDR-Z4Sを体験した僕は、そんな印象を抱いた。

灯火類はすべてLED。ヘッドライトは、一つの発光部でハイ/ローを切り替えるバイファンクションタイプ。

ただし、当企画用としてスズキから広報車を借用し、自分の普段のフィールドに持ち込んでこのバイクとじっくり付き合った現在は、それだけでは全然言葉足らず……と感じている。

もっとも、冒頭の言葉はウソではないのだが、今回の試乗で僕は改めて、二週間前後の日数をかけて1000km以上の距離を走る、当企画の意義を実感したのだった。

先代に当たるDR-Z400Sの基本構成を踏襲しながら、水冷単気筒エンジンは主要部品の多くを新作。強度や幅の狭さを考慮したミッションは先代と同様の5段だが、ギアレシオは刷新している。

2種類のオフロードモデル

門外漢には判別がつきづらいけれど、公道走行が可能なオフロードモデルには、未舗装路と同じくらい舗装路も重視したトレールバイクと、未舗装路に特化した保安部品付きレーサーの2種類が存在する。

DR-Z4Sと同じ2025年に登場した車両で説明するなら、KTMの390エンデューロRは公道用トレールバイクで、トライアンフのTF250/450-Eは保安部品付きレーサーだ。

390エンデューロRは、KTM初のアンダー400ccトレールバイク。最高出力は45psで、重量は165kg。
トライアンフのTF-Eは、公道走行が可能なレーサー。450ccの最高出力は58.6psで、車重は114.2kg。

トレールバイクと保安部品付きレーサーの主な相違点は、運動性と耐久性で、言うまでもなくオフロードコースでの運動性は後者のほうが圧倒的に優位である。

ただし保安部品付きレーサーは、クローズドコース専用車と同様の頻繁なメンテナンスが必要で、日常域の使い勝手やツーリングでの快適性はほとんど考慮していない。

ではDR-Z4Sがどちらに属するのかと言うと、それはもちろんトレールバイクだ。スズキ製モトクロッサーのRM-Z250/400に通じる要素は存在するし、オフロードコースでの走破性を真摯に追求しているけれど、メインステージはあくまでも公道のはず。ところが……。

日常の足として使うのは難しい?

約5か月ぶりにDR-Z4Sと対面し、公道を初めて走った僕は、これはほぼレーサーじゃないか?と思った。

もっとも本気のレーサーと比較すれば、着座位置は50mm以上低く、重量は40kgほど重いものの、車格感や足まわりの反応、最もレスポンスが鋭いAモードでスロットルを開けた際の強烈な加速など、ライディングフィールは一般的なトレールバイクの範疇に収まっていない。

その事実をどう捉えるかは人それぞれだが、僕は微妙な戸惑いを覚えた。

前述した試乗会で扱いやすさに感心した身としては、オールラウンダー的な資質を期待していたのだけれど、オフロードコースで格段に扱いやすくなっていても、実際のDR-Z4Sは先代と同様に、乗り手の体格や走る場面を問う、漢のバイクだったのである。

そしてそういうキャラクターだからか、日常域の使い勝手は良好とは言い難かった。混雑した市街地では車格の大きさと車高の高さがネックになるし、高速道路ではハンドルやシートに伝わる振動が気にならないでもない。

まあでも、僕がそう感じたのは昨今の軽二輪トレールバイクが念頭にあったからで、保安部品付きレーサーを引き合いに出すなら、DR-Z4Sは相当にフレンドリーだ。でもこのモデルが日常の足として気軽に使えるのかと言うと、それはなかなか厳しいのではないだろうか。

未舗装路だけではなく、舗装路の峠道も楽しい

さて、ここまでの文章を振り返ると、何となくガッカリな展開になってしまったけれど、このバイクで交通量が少ない山道を走った僕は、日常域に関する不満を強調したくない……という気がしてきた。

試乗会の時点で薄々感づいてはいたけれど、スロットルがしっかり開けられて、前後サスペンションをしっかり動かせる状況でのDR-Z4Sは、ムチャクチャ気持ち良かったのである。

まずは未舗装路の話をすると、このバイクはオフロードの腕前が中級以下の僕でも、“走る・止まる・曲がる”の3要素が確実にこなせるのだ。

逆に言うなら普段の僕は未舗装路を走ると、スロットルがあまり開けられないうえに、制動と旋回に不安を抱くことが少なくないのだが、DR-Z4Sはすべての操作が自信を持って行える。

どうしてそんなことができるのかと言うと、一番の理由は単にストロークが豊富なだけではなく(ホイールトラベルは、フロント:280mm/リア:296mm)、全域で動きが上質な前後サスペンションだろう。

さらに言うなら、何があっても転ばないと思える車体の安定感、後輪の滑りを程よい塩梅で抑制してくれるトラクションコントロール(滑りながらも車体を前に進める、Gモードの作動は感動的‼)、利き方が非常にわかりやすいブレーキなども、僕の自信には大いに貢献していると思う。

そしてそこまで未舗装路が楽しいとなれば、舗装路の峠道では何らかのマイナス要素があっても不思議ではないのだけれど、意外なことにDR-Z4Sは大小のカーブが続くワインディングを、オンロードバイクと大差ない感覚で走れた。

フロントタイヤが21インチでも車体の向きは軽やかにスイスイ変えられるし、前後サスペンションのホイールトラベルが豊富でも、車体姿勢の変化の大きさに躊躇する場面はほとんど無かったのだ。

なお38psという最高出力に対して、当初の僕は未舗装路では十分でも、舗装路の峠道では力不足という印象を抱きそうな気がしていたのだが、どんな状況でもパワーを引き出しやすいため、物足りなさは感じなかった。

それどころか直線が少ない峠道なら、このバイクはミドル以上のスポーツモデルと互角の勝負ができそうである。

もちろん舗装路での速さは同時開発された兄弟車、オンロードに特化したDR-Z4SMのほうが上に違いない。とはいえ、DR-Z4Sで舗装路の峠道を走っている最中に、レーサー的なオフロードモデルにありがちな気遣いが必要なのかと言うと、そんなことはなかったのだ。

トレールバイクとレーサーの中間的な資質

撮影を兼ねた1回目のツーリングを終えた僕は、スロットルがしっかり開けられて、前後サスペンションをしっかり動かせる場面で真価を発揮するこのバイクは、トレールバイクと保安部品付きレーサーの中間的な資質を備えるスーパースポーツだと思った。

2007年にヤマハがWR250Rを発表した際のキャッチフレーズに倣うなら、“オフロードのGSX-R”という感じだろうか。

もっとも、それはあくまでもスタンダードの話で、モノは試しという感覚で試乗期間中盤にサスセッティングを行ってみたところ、DR-Z4Sの乗り味は大きく変化。その詳細は、近日中に公開予定の第二回目で紹介したい。

日本仕様のDR-Z4Sは、海外仕様より座面が30mm低いローシートを採用。ただしDR-Z4SMのシートを転用すれば、座面高は海外仕様と同じ920mmになる。

自分好みの乗り味を模索する中で、予想以上の懐の広さを実感‼ スズキDR-Z4S 1000kmガチ試乗【2/3】

DR-Z4Sの前後ショックは調整機能が充実していて、いじったらいじったぶんの変化がきっちり実感できる。ノーマルのキャラクターはレーサー然としているけれど、プリロードと伸圧ダンパーを調整すれば、オールラウンドツアラー的な資質を構築することも可能なのだ。 REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko) PHOTO●富樫秀明(TOGASHI Hideaki)

主要諸元

車名:DR-Z4S 
型式:8BL-ER1AH 
全長×全幅×全高:2270mm×885mm×1230mm 
軸間距離:1490mm 
最低地上高:300mm 
シート高:890mm 
キャスター/トレール:27°30′/109mm 
エンジン形式:水冷4ストローク単気筒 
弁形式:DOHC4バルブ 
総排気量:398cc 
内径×行程:90mm×62.6mm 
圧縮比:11.1 
最高出力:28kW(38ps)/8000rpm 
最大トルク:37N・m(3.8kgf・m)/6500rpm 
始動方式:セルフスターター 
点火方式:フルトランジスタ 
潤滑方式:圧送式ドライサンプ 
燃料供給方式:フューエルインジェクション 
トランスミッション形式:常時噛合式5段リターン 
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング 
ギアレシオ 
 1速:2.285 
 2速:1.733 
 3速:1.375 
 4速:1.090 
 5速:0.863 
1・2次減速比:2.960・2.866 
フレーム形式:セミダブルクレードル 
懸架方式前:テレスコピック倒立式φ46mm 
懸架方式後:リンク式モノショック 
タイヤサイズ前:80/90-21 
タイヤサイズ後:120/80-18 
ブレーキ形式前:油圧式シングルディスク 
ブレーキ形式後:油圧式シングルディスク 
車両重量:151kg 
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン 
燃料タンク容量:8.7L 
乗車定員:2名 
燃料消費率国交省届出値:34.9km/L(2名乗車時) 
燃料消費率WMTCモード値・クラス3-1:27.7km/L(1名乗車時) 

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