歴代ロードスターのソフトトップを作ってきた「東洋シート」

東洋シートは、広島県に本社を置く地元企業で、1962年に設立されたが、その母体となった事業の始まりは1947年まで遡り、その当時より自動車用シートの製造販売を手掛けてきた。現在も、内部部品を含む自動車用シートを手掛けており、ロードスターも採用例のひとつ。そして、歴代ロードスターのソフトトップも同社の製品なのだ。

ソフトトップを手掛けるきっかけは、6代目ファミリアの追加モデルとして、1986年に投入されたコンパクトオープンカー「ファミリアカブリオレ」だ。マツダよりシート製造の知見を活かして、ソフトトップ開発製造の打診があったのが、挑戦の始まりである。その後の1987年に登場した「サバンナRX-7カブリオレ」の特殊なソフトトップも手掛けている。
もちろん、ロードスターのソフトトップも、初代NAからNDまで全てが東洋シート製。歴代モデルの開発を通じて技術力も磨かれており、フルモデルチェンジの度に、ソフトトップの軽量化にも挑戦。NAでは18㎏あったものが、NDでは14.6㎏まで軽量化させている。つまり、軽さが命であるソフトトップのロードスターにとって、同社は欠かせない存在なのである。

実は唯一の国産ソフトトップメーカー
日本でソフトトップを手掛けるメーカーは他にもあるが、海外メーカーの日本拠点がほとんど。純国産メーカーとなると同社だけというのも自慢のひとつ。マツダオープンカーで培った技術は、ホンダS2000やトヨタMR-S、5代目の日産フェアレディZロードスターにも採用。
近年では、軽ミッドシップオープンスポーツとして話題を集めた「ホンダS660」の着脱式ソフトトップも同社の製品。ただ現在、国産オープンカー自体が減っているため、同社の製品が使われるのは、ND型ロードスターだけとなっているそうだ。
『軽井沢ミーティング』を通じて新たなソフトトップを開発・提案

現行型では特別仕様車を含め、6色のソフトトップを展開してきた同社だが、強みであるソフトトップを通じて、ロードスターユーザーと楽しい企画を生み出せないかと考えた。そこでマツダに相談すると『軽井沢ミーティング』の参加を勧められたそう。初出展の目的は、オーナーである参加者の声を集めて、どんなニーズがあるかを調査するのが目的なのだ。

東洋シートの気合を感じるのが、単になる調査や会社紹介に留まらず、若手技術者が考えた新たなソフトトップのアイデアを持ち込んだこと。そのひとつが、デニム生地を用いたソフトトップだ。デニムといえば、倉敷を思い浮かべる人も多いと思うが、実は生産量日本一なのは広島県福生市であり、広島とも縁の深い素材。それをソフトトップにしてみようという挑戦なのだ。

現段階ではソフトトップ形状のサンプルだが、担当者は「来年は実車に装着して持ち込みます」と意気込む。もちろん、ソフトトップならではの使用環境による耐久性など製品化となると多くの課題がありそうだが、ソフトトップに変化を付けるという遊び心に挑戦するようだ。

もうひとつの提案が特徴的なステッチだ。こちらは現状のロードスター用ソフトトップのステッチをジグザク形状のステッチに変更することでデザイン性を高めたもの。発案者は、自身でもNBを愛用するという若い女性技術者で、ソフトトップのステッチをアクセントとすることで、よりロードスターの魅力を高めたいと思ったそうだ。お洒落では、ワンポイントが肝になるため、これはウケそうだ。


いずれも商品化は未定だが、よりロードスターの魅力を高めたい、愛車への思入れをより深めて欲しいと願う東洋シートの皆さんの気持ちが込められている。近い将来、ロードスターのソフトトップに新たな選択肢ができるかもと期待を膨らませる展示だった。







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