連載

内燃機関超基礎講座

実用性に富んだ伝統のアメリカンV8エンジン

戦後間もなくという時代から長年に渡るV型8気筒OHVのパワーユニットを多用していたアメリカの自動車メーカーのなかで、フォードは1990年代の比較的早い時期にスタンダードユニットもOHVからSOHCにスイッチする道を選択した。

その結果、現在ではピックアップはもとよりコマーシャルビークル用に至るまでSOHC化が進んでいる。そのバリエーションは要求されるパワーレンジに対応するため非常に多彩であり、基本は4.6L、5.4LのV型8気筒と6.8LのV型10気筒となっているが、5.4Lには2バルブと3バルブの2タイプがある。

前者はEシリーズコマーシャルバン用、後者はミドルレンジSUVのエクスペディション用である。なおこれらのユニットはいずれも90.2mm(3.55in)のボアを共用し、排気量の違いはストロークとシリンダー数を変えることで生み出している。5.4Lは4.6Lのストロークアップ版、6.8Lは5.4Lにシリンダーを2つ追加したバージョンである。いずれもデザインは極めてオーソドックスであり、独自のウィークポイントはありながらも実用性に優れたユニットだ。

インテーク2/エキゾースト1の3バルブヘッドは、エクスペディション用5.4Lの仕様である。Eシリーズコマーシャルバンの場合は4.6Lや6.8Lと同じくシンプルな2バルブヘッドとなる。両者燃焼室形状も異なる。

アルミヘッドの90度V型8気筒というレイアウトは、40年以上前にフォードがレース用としてリリースしたパワーユニットにも似ていた。それが今では純然たる実用エンジンであるという点に時代の流れを感じることができる。

フォード トライトンエンジン 主要スペック

エンジン形式:V型8気筒SOHC
排気量:5408cc
ボア×ストローク:90.2×105.8mm
圧縮比:9.8
最高出力:231kW/5100rpm
最大トルク494Nm/3600rpm
吸気方式:自然吸気
シリンダーブロック/ヘッド材:アルミ合金
吸気弁/排気弁:2/1
バルブ駆動方式:ロッカーアーム
VVT/VVL:In◯/Ex◯/×
点火順序:1-3-8-2-6-5-4-8
(リンカーン・ナビゲーター)

リンカーン・ナビゲーター
フォード・F-150
フォード・エクスペディション

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