タクシードライバー 若い人に期待? ロボに期待?
1976年のアメリカ映画『タクシードライバー』は当時まだ新進気鋭のマーティン・スコセッシ監督が描くサイコロジカルドラマだ。
ベトナム戦争後の薄汚れ、道徳的にも破綻じみたニューヨークを舞台に狂気へと変貌する孤独なタクシードライバーのトラヴィス・ビックルを描いた秀作である。
そのトラヴィスを演じるのがロバート・デニーロ。劇中に登場する13歳の娼婦役という鮮烈スクリーンデビューをしたジョディ・フォスター。
映画音楽の巨匠、バーナード・ハーマン作曲のテーマ曲も気だるくジャジーなサックスがニューヨークの夜の景色とベストマッチなのだ。
ベトナム戦争帰りの元海兵隊で不眠症のトラヴィスは、どうせ寝れないならと、深夜タクシーのドライバーになり、夜な夜なニューヨークの街を流していく。そんな時間にタクシーに乗る客なんてろくなのはいない(笑)。
そんなニューヨークに嫌悪感を抱いていくトラヴィス。
あるとき、ひとりの女性にひと目惚れ。その彼女は大統領候補選挙事務所で働いていた。その彼女に失恋し……大統領候補暗殺計画へ……。
映画序盤はまだ『普通』っぽいタクシードライバーが時間とともに狂気に変化していくその姿。ロバート・デニーロはこの撮影時に薬でもやってたのか? と思えるほど怖いヤバい『眼』をしている。強烈な孤独感と社会への不満は、脅迫概念となり、破壊、暴力へと向かっていくのだ。
この映画の怖さは、まさに普通にどこにでもいるタクシードライバーが狂っていくところ。たまに不愛想なタクシードライバーもいるが、たいていのタクシードライバーは、至って穏やかに対応してくれる(笑)。もし、トラヴィスが運転するタクシーに乗ったら……(怖)である。
もひとつ、つけ加えておこう。映画序盤のデニーロはアルゼンチンの英雄『神の子』リオネル・メッシ選手の若かりし頃にどことなく似ている。
1998年公開のフランス映画『TAXi』はフランス・マルセイユを舞台にスピード狂のタクシードライバー、ダニエルとダメ刑事がコンビを組み、犯罪捜査に奮闘するカーアクション。
ダニエルの愛車タクシーはプジョー406を改造したもので、ボタンひとつでレーシングカーごとき姿に変形する(笑)。そしてとんでもないスピードで客を目的地まで運ぶのだ。
劇中では最上級モデルの3.0L V6エンジンをチューニングした設定なのだが、実際に撮影で使用されたのはBTCC(イギリスツーリングカー選手権)のレーシングカー(2.0L直4)だというから面白い。
テレビのドリフ大爆笑ネタ『もしもこんなタクシーがあったなら……』のノリで、これまた誰もが経験する『タクシー』が題材だからこそ、面白いのだ。いかりや長さんの「だめだこりゃ~~~」が聞こえてきそうだ。
さて、本題に移ろう。7月4日の読売新聞に興味深い記事が載っていた。高齢化を懸念されてきたタクシードライバーが、ここ最近、都市部を中心に若返りの兆しを見せているというのだ。
この1年で平均年齢は3歳以上低下し、大阪ではおよそ5歳、東京では4歳も下がったのだと。
背景には、コロナ禍後の需要回復ともなう人手不足からタクシードライバーの待遇が改善されたことが挙げられ、若者を惹きつけているのだと……。
とある25歳のドライバーは「運転も接客も好きだから」と、この職を選んだという。毎月の収入は約35万円。繁忙期は40万円に届くそうで、同じ世代でこの額はそうそうもらえないし、「長く勤めたい」と意欲満々。
また、若手ドライバーが増えたもう一つの原因がタクシー配車アプリの普及であるそうだ。実際にオレもアプリでタクシーを呼ぶことは多い。
経験が浅いドライバーであっても、効率的に客を乗せることが可能になったというわけで、タクシー大手会社もドライバーの新卒採用に力を入れているのだ。
一方でタクシー需要が少ない地方ではドライバーの高齢化はまだまだ続いている。大分県は69.3歳、和歌山県は63.6歳などという現状なのだ。
少し前に『将来なくなる職業』トップ20にも記されていたタクシー運転手。アメリカではWaymoが完全無人のロボタクシーをサンフランシスコやフェニックスなどの都市で運行している。
このWaymo社は東京などで日本のタクシー会社と準備中とのことで、2026年内に国内でのサービス開始が予定されているらしい。
流行りの『チャッピー』に聞いてみた。
「日本での完全無人自動運転タクシーはいつ?」
「2028年~2030年頃には対象エリアや車両台数が徐々に増え、都市部を中心に利用しやすくなると予想しています。そして、2030年代前半以降には全国どこでも利用できる可能性があります」との答えが返ってきた。
木村拓哉と倍賞千恵子主演の『TOKYOタクシー』は2022年のフランス映画『パリタクシー』をリメイクしたものだという。
キムタク演じるタクシードライバーの宇佐美浩二が東京の柴又から葉山の高齢者施設へと向かう倍賞千恵子演じる85歳の高野すみれを乗せることになる。
すみれは浩二に、いくつか寄り道を依頼し、徐々に話しながら心を許していった。すみれは自身の過去を話し始める……。
そんなシチュエーションから始まる物語は当然ながら『人と人』だからこそ成り立つストーリー。
完全無人タクシーの信号で止まる際の絶妙なブレーキリリースをいつの日か経験できるのだろうか? 果たしてそんなことまでプログラムしてあるのであろうか? もし、荒っぽい運転であれば、文句もいえるのだろうか(笑)?
それでもトラヴィスよりは100倍いい。とても興味深いぞ(笑)。
■東京バーチャルサーキット
東京都品川区西五反田5-4-6セブンスターマンション西五反田402号
TEL 03-5962-7574 https://sunakojukuchou.com/

