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4WDの世界的代表選手を比較した 夢の対決? メルセデス・ベンツGクラスとジープ・ラングラーには似て非なる様式美がある

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1979年の初代登場以来、39年ぶりにアップデートされたメルセデスGクラス。そして2018年11月に販売された比類なきオフローダーのジープ・ラングラー。オフローダーとしての伝統を守りつつ、新型の2台はどこを目指したのか? それぞれの方向性と走りの違いを検証した。
REPORT◎吉田拓生(Takuo Yoshida)
PHOTO◎小林邦寿(Kunihisa Kobayashi)

 選ぶとしたら、さぁどっち? と言われたところで迷う人はあまり多くはないだろう。

 21世紀に至ってもなお頑強なラダーフレームを持ち、ともに屈指のオフローダーとして歴史を積み重ね、フルモデルチェンジのタイミングも偶然一致したが、しかしまったく別の価格帯において、それぞれの道を走破してきた2台。ジープ・ラングラーとメルセデス・ベンツGクラスである。

 Gクラスは39年ぶり、ラングラーは11年ぶりのフルモデルチェンジとなるが、ちゃんとこのクルマのことを意識している人じゃないと新型と従来型を見分けるのは難しい。シルエットに関してはほとんど変わっていないにも拘らず、中味がことごとく刷新されているのである。

G550に搭載されるのは422㎰/610Nmを発生するM176型4ℓV8ツインターボエンジン。気筒休止システムも採用している。

 クルマのデザインは、機能に先んじて販売に直結するようなところがある。つまり今回、2台のシルエットはアイコンのように認知されており、大胆に変えてしまうことなどまかりならん、というわけである。変えちゃいけないけれど、変わっていなきゃいけない。こういうタスクはデザイナーにとって難しい。
 
 ドアハンドルとリヤのスペアタイヤカバー以外はすべて変わっているというGクラスだが、見た目のトピックはダッシュパネル周りが一気にモダンになったインテリアにある。一方ドライバビリティではフロントサスペンションがリジッドから独立懸架にしたことでターマックとの親和性が驚くほど高まっている。元来Gクラスを選ぶ人は、やせ我慢をしてクラシックカーに乗りたいわけではなく、中味に凝った王様級のメルセデスを転がしたいのだから、これはありがたい。

センターコンソールに配置された3つのデフロックスイッチがGクラスらしい。新型にはローレンジを選択するとドライブトレインやステアリングなどの制御がオフロード走行用に最適化されるGモードが設定された。

 従来のGクラスのインパネは、古いデザイン上に新開発されたギミックを長年追加し続けた感じで、ダッシュの上にちょこんと載せられたモニターや「高級車だったらこれくらい付けとかなきゃ」みたいに散りばめられたウッドパネルの後付け感が苦しかった。

 その点新型はエアコンの噴き出し口の形状からダッシュパネル、センターコンソールにいたるまでデザイナーがゼロから理想を求めた感じが素晴らしい。セダンのように滑らかな曲線が連続しているわけではなく、そこそこの不協和音を敢えて盛り込んでいるあたりにオフロード特有のダイナミックさが薫る。
 
 一方独立懸架の前脚を得たことによるドライバビリティの向上は想像以上だ。何しろワインディングでステアリングを切り込んでいくと、昔のEクラスのようにキレイなダイヤゴナルロールがはじまり、自信を持ってコーナーに切り込んでいける。またS字コーナーのようなロールを左右に切り返すようなシーンでも、滑らかになったステアリング系統のおかげでインフォメーションが途切れ、車体がふらつく瞬間もなくなっている。

メルセデス・ベンツG550
■ボディスペック
全長(㎜):4817
全幅(㎜):1931
全高(㎜) :1969
ホイールベース(㎜):2890
車両重量(㎏) :2354
■パワートレイン
エンジンタイプ:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量(㏄) :3982
最高出力:310kW(422㎰)/5250〜5500rpm
最大トルク:610Nm(62.2㎏m)/2000〜4750rpm
■トランスミッション
タイプ:9速AT
■シャシー
駆動方式:AWD
サスペンション フロント:ダブルウィッシュボーン
サスペンション リヤ:リジッド
■ブレーキ
フロント:ベンチレーテッドディスク
リヤ:ベンチレーテッドディスク
■タイヤ&ホイール
フロント:275/55R19
リヤ:275/55R19
■環境性能
燃料消費率:12.5(ℓ/100km:EU複合モード)
■車両本体価格:1562万円

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