大排気量自然吸気への憧れ 令和に伝えたい平成の名車〈輸入車編〉メルセデス・ベンツC63 AMG
- 2019/04/30
- MotorFan編集部 吉岡 卓朗

平成という時代も残すところわずかとなったが、この30年で生まれ、これから始まる令和の時代に伝えたい輸入車というものを考えてみたい。
TEXT●吉岡卓朗(TOSHIOKA Takuro)

振り返れば平成の始まりに高校生だった、いわば平成とは青春のど真ん中であった自分にとって、当時の前の元号である昭和のクルマはどう映っていたのだろう。「古くさい」「性能が低い」「不便で嫌だ」という印象を思い出す。車名を具体的にあげると、いろいろ遺恨が残るかもしれないので、ことさらここには書かないが、まあ時代の流れとともに技術が進化して、その技術が備わらないモノを古く、低性能で、不便と感じるのは当然だ。半面そういった不便が、現代にない魅力として、クルマ好きが高じて、あるベクトルにブーストがかかるとクラシックカー、ヒストリックカー、といったジャンルに踏み出す猛者もいる。
だが、ここで俎上にあげる「令和の時代に伝えたい輸入車」はそういった懐古主義ではなく、未来志向でクルマを選んでみたいと思う。単純に個人的な好み(スポーツカー)でオススメするのは簡単だが、心に浮かんだクルマ達はやはり、いさかか懐古主義的なキャラクターである。ここで取り入れたいのは歴史的転換点、技術的出発点であり、次の令和時代も30年あるとして、その30年を過ごすのに痛痒ないというハードルを設置すると、いずれもなんとなく脱落していってしまう。

そういったわけでもう写真も上の方に出ているのでさっさと結論を書くと、筆者が「令和の時代に伝えたい輸入車」はメルセデス・ベンツC63 AMG(W204)である。これは現行型(W205)ではなく先代モデルである。平成19(2007)年に登場したこのスポーツセダンはDセグメント車に6.2ℓV8を搭載するという、平成の終わりの今では考えられない暴挙ともいえる大排気量エンジンを搭載していた。最高出力457ps(最終的に507psまで高められた)、最大トルク600Nmというのはたしかに数値としては今でもめざましいが、現代は小排気量ターボで桁違いの性能を出す時代である。実際現行型C 63が搭載するのは4.0ℓV8ターボ(最高出力510ps、最大トルク700Nm)で、Sクラスにも2.0ℓの4気筒ディーゼルターボが載っており(S300h、現在は販売終了)、令和の時代はさらに高効率なダウンサイジングターボや電動化が進むのは明らかである。まさにこのC63 AMG以降ダウンサイジングが進んだ歴史的転換点と言えなくもない。
そんな令和の時代に最新の同セグメントのスポーツセダンの倍以上の排気量を走らせるというのは、まさに平成の大排気量自然吸気エンジン万歳! というバブル的空気感の最後の残り香を堪能できることになるのではないだろうか。ちなみに組み合わせられるのは7速ATで現代の9速と比較しても2速しか(?)変わらない。

序盤で懐古主義的なクルマ選びをしないと宣言したので、本来は今まさに生き馬の目を抜くがごとくの競争が繰り広げられる自動運転技術の端緒ともいえる、追従クルーズコントロール装着車を選びたかったし、燃費にも大いに貢献するマイルドハイブリッド技術などがわずかでも入っていればよかったが、エンジンこそクルマの中心であるという昭和から平成の時代を、今でも我慢できるレベルで享受できる、という意味で大排気量エンジン搭載のスポーツサルーンを選んでしまった。C63 AMGは中古車サイトを見て、価格の推移を見守ってしまう1台である。現在200万〜300万円台からあるようなので、あの頃憧れたあのクルマが! という現実的な感じも捨てがたくもあるのだ。
その他ノミネート車は……
おまけで他にノミネート(といっても自分の心のうちだけだが)されたクルマを紹介する。ポルシェ911(996型)、ランボルギーニ・ガヤルドである。まず996型911のノミネート理由だが、ついにというか、いよいよというか、ようやく載った911初の水冷エンジンということと、それまでと較べて格段に走行性能が上がったということ、あとは単純にカレラ4Sのリアフェンダーの盛り上がりが好きという点に尽きる。ガヤルドはアウディ(R8)との共同開発により、(多少とはいえ)フレンドリーなランボルギーニというイメージの醸成に貢献したこと。格好いい(スーパーカー)だけではなく、走れる(スポーツカー)ということも加味したスーパースポーツカー新時代の草分けともいえる存在だからだ。これらはいずれも中古車で意外と安くなっているということで、GWの合間にぜひ中古車価格をチェックしてみて欲しい。
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