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  • 2019/06/11
  • MotorFan編集部

人気のコンパクトSUV5台を試す! 売れるのには理由がある〈トヨタC-HR/MINIクロスオーバー/ホンダ・ヴェゼル/日産ジューク/ジープ・レネゲード〉

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もはやSUVは特殊なジャンルではなくなった。特にコンパクトクラスはハッチバックスタイルが基本となるだけに、最近はむしろSUVが主流なのでは、と思えるほどだ。ここに会した国内外の人気コンパクトSUV5台、駆動はすべてAWD。スタイルも走りも“全部乗せ”のクルマたちの魅力と実力を探ってみよう。

REPORT●佐野弘宗(SANO Hiromune)
PHOTO●藤井元輔(FUJII Motosuke)

※本稿は2017年5月発売の「モーターファン Vol.7」に掲載されたものを転載したものです。クルマの仕様や道路の状況など、現在とは異なっている場合がありますのでご了承ください。

 MINIクロスオーバーが二代目となった。初代の発売から約6年ぶりのフルチェンジとなるが、この新型MINIクロスオーバーを含むコンパクトSUVの隆盛を見ると、ちょっと感慨深いものがある。

 初代クロスオーバーが発表されたのは2010年初頭だが、同時期にもう1台のコンパクトSUVが登場している。同年2月にフランスで発表された日産ジュークである。

 この2台の登場時点では、世にコンパクトSUVと呼べるクルマはあまり存在せず、明らかにニッチ商品だった。ちなみに、それ以前から存在していたのはトヨタ・イスト、VWクロスポロ、スズキSX4などで、これらがいわば元祖コンパクトSUVである。今にいたる世界的コンパクトSUVブームは、MINIクロスオーバーとジュークのヒットで火がついた。この2台をキッカケに、各社が堰を切ったようにコンパクトSUVを商品化。わずか3〜4年で世界主要メーカーのほぼすべてが、この種のモデルを持つようになった。

 昨年末にデビューしたトヨタC-HRは、そんなコンパクトSUVとしては最後発中の最後発といっていい。ただ、トヨタは初代イストを02年に出している。VWクロスポロの前身となったポロファンの発売が03年、初代SX4のそれが05年だから、トヨタこそがコンパクトSUVの本当の元祖ともいえなくもない。それなのに……というか、それゆえに後のブームに乗り遅れたのか、今回のC-HRはまさに「満を持すにもほどがある!?」と言いたくなるほどのタイミングである。

 そんなトヨタC-HRは、さすがの圧倒的な後発だけに、世界の競合車を研究しつくしたうえに、ひとヒネリを加えたクルマである。

 C-HRの土台となったのはトヨタの新世代「TNGA」だ。TNGAプラットフォームにはクラスに応じた複数パターンがあるようで、C-HR(やプリウス)のそれは社内的に「TNGA-C」と呼称されており、基本的にはCセグメント用。つまり、C-HRの骨格はコンパクトSUVとしてはひとクラス上級で、ボディ全長も比較的大きい。そういう贅沢な作りとサイズながら、価格はBセグベースの他社競合車と真っ向勝負。さらにひとヒネリどころか2回転半くらいヒネッたデザインとも相まって、C-HRのショールームアピールはさすがアタマひとつ抜けた感がある。

 今回はこのC-HRを含めて、編集部はあえてAWDをそろえた。コンパクトSUVは、SUV本来の性能より「見晴らしがよくて、ちょっとシャレた乗用車」という軽い存在だから、各車とも売れ筋は圧倒的に2WDという。だがこの種のクルマの買い手に多い上級クラスからのダウンサイザー層には「ダウングレードではなく、あえてこれを選んだ」と自己満足するのにAWDは格好の付加価値。また、ダウンサイザーに多い年輩世代にはいまだ「SUVはAWDであってこそ」という思い込みも根強く、このクラスでも、門外漢が思っている以上にAWDのニーズが多い。

 5台のAWDはどれもよく似たもので、基本的には電子制御化されたクラッチもしくはカップリングを使ったオンデマンド型。アクセル開度や舵角その他の状況に応じて、グリップ状態でも積極的にトルクを後輪に吸い出す点も全車に共通する。

 ただ、このなかでもレネゲードとジュークのAWD機構は、ちょっと変わった工夫を追加しており、その目的が好対照なのが面白い。

 レネゲードのそれはオンデマンド型をベースに「ジープ」の名に恥じない悪路走破性を確保するために、任意に直結AWD化できる「AWDロック」モードが付くのが大きな特徴だ。さらに副変速機はないが、ローギヤードの1速に固定した這うような超低速走行ができる「AWDロー」モードもある。また、2WD時には変速機からもプロペラシャフトも切り離して、フリクションロスをさらに低減させる機構もつく。AWDにヒネリを加えるのは「ジープ」のプライドというものだろう。

 ジュークのAWDはレネゲードとは対照的に、舗装路での運動性能を意識したタイプだ。電子制御カップリングをセンターではなく、左右後輪それぞれに装備して、左右独立でトルク配分する。たとえば、コーナリング時はリヤの外輪に優先してトルクを流すことで、回頭性を高めるような制御も行うという。

 まあ、今回はあくまでオンロード試乗に限ったのでレネゲード自慢の悪路性能を試す機会はなかった。それにしても、最近の電子制御オンデマンドAWDは見事に黒子に徹する。レネゲードの2.4ℓやMINIの2.0ℓディーゼルはこのボディには明らかに過剰なエンジンである。特に今回のMINIはクーパーSDで、同エンジンのFFハッチバックの経験から考えて、かなりのジャジャ馬化が想像できた。

 しかし、実際のレネゲードとMINIに、かつてのオンデマンド型のような瞬間的にも路面を引っかくような無粋な所作は皆無。意地悪に振りまわそうとしても、涼しい顔でシレッと御しきるだけだ。ましてC-HRの1.2ℓターボ(のFFは海外向けに存在)やヴェゼルの1.5ℓハイブリッドはもともとFFメインで、それをAWD化しているのだから、事件がなさすぎて拍子ぬけするほどである。

 このシレッと感は、「左右トルクベクトル」という武闘派なキャッチフレーズを掲げるジュークでも、基本的には変わりない。山坂道で少しばかり気張ってみたところで、AWDが積極的に曲げているという実感はほとんどない。まあ、意図的に姿勢を崩して強引にアクセルを踏めば「そういえば」と思い当たる瞬間がないわけではないが、それも本当にビミョーなレベルである。ただ、このクルマがチョロQのごとき短くて背高のボディにCセグ・ホットハッチでも十分な高出力1.6ℓターボを積んでいることを考えると、これだけの速さと回頭性を両立しつつ、なんら不安感を抱かせない安心感は素直に大したものだ。冒頭のようにジュークは初代MINIクロスオーバーと同時期に登場した古参モデルだ。内装の質感や剛性感、そして絶対的なスタビリティなどに設計の古さは否めないものの、ボディは小さく、車重は軽い。純粋に運転を楽しむコンパクトスポーツとしては事前の予想以上に「現役感」がまだまだ濃厚である。

トヨタC-HR

ミラーtoミラー:2050mm
全幅:1795mm 全高:1565mm

全長:4360mm ホイールベース:2640mm

コンセプトカーそのままのような斬新なデザインが話題のC-HR。リヤのドアハンドルを隠したりテールゲートを寝かせたりといった2ドアクーペ風のスタイルを採用してパーソナル感を重視している。ガソリンとハイブリッドのふたつのパワートレインが用意されており、ガソリンはすべてAWD、ハイブリッドはすべて2WDとなる。

エクステリア同様に先進感溢れるインパネは、上面に色違いのパッドを配して上級感を高めている。インパネ全体が低く抑えられているので、前方視界は広い。

「G」と「G-T」は本革とファブリックのコンビシートが標準で備わる。前席のスペースは十分だが、後席は座面が低い上に窓が狭いので閉塞感がある。ただし前席下への足入れ性は高い。

ラゲッジルームの容量は318ℓで、ボディサイズを考慮してもあまり多くはない。リヤハッチが倒れているのでトノカバーを外しても積載量はあまり変わらない。

ホンダ・ヴェゼル

ミラーtoミラー:2035mm
全幅:1770mm 全高:1605mm

全長:4295mm ホイールベース:2610mm

燃料タンクを前席の下に配置する、ホンダ得意のセンタータンクレイアウトにより、コンパクトながら実用的な居住スペースを確保。それでいてスタイリッシュな外観を持ち、さらにハイブリッドもラインアップという全方位的に満足度は高い。デビュー以来高い人気を維持し、2014年から16年までSUV新車登録台数No.1の栄誉に輝いている。

ピアノブラックのパネルとビビッドなカラーを効果的に使ったインパネ。助手席前の部分はソフトパッドとなっており、質感も高い。写真のジャズブラウンはハイブリッドZで 選択可能。

フロントはシートサイズも大きく、適度な高さの視点は運転もしやすい。後席は足元・頭上ともに十分なスペースで開放感もタップリだ。

フロア面が低いので、重い荷物でも積み降ろしはやりやすい。床下にはハイブリッドでも手前側に小物を入れられるスペースがある。リヤシート格納はダイブダウン式で、畳むとフロア面はフラットになる。

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