95%の人たちのニーズを満たす、メルセデス・ベンツEQCの実力 メルセデス・ベンツのEV戦略! 初の市販EV「EQC」がSUVである理由とは? 【EQC開発秘話・ミヒャエル・ケルツ氏インタビュー】
- 2019/07/06
- MotorFan編集部 西内 辰夫
メルセデス・ベンツEQCの開発者であるミヒャエル・ケルツ氏が、日本の「EQCプレス発表会」登壇のために来日し、本誌を含むモーター系メディアの取材に対応した。そこから、おぼろげながらもメルセデス・ベンツのEV戦略が見えてきた。
REPORT●西内辰夫(NISHIUCHI Tatsuo)
「世界で最も成長しているカテゴリー」への挑戦

−−−−−− 他ブランドのEV(電気自動車)は、独自の充電システムを採用しているが、メルセデス・ベンツのEQCはどう対応していくのか?
「メルセデス・ベンツは、欧州では複数の自動車メーカーと共同で “イオニティ(IONITY)”という急速充電ネットワークの会社を設立し、各地に充電ステーションを作っています。将来的にEVが広く普及していくことを考えると、自動車メーカーが独自に充電ステーションを作ることは難しくなりますので、メーカーの枠を超えて標準化していく方向で進んでいくことになります」
−−−−−− メルセデス・ベンツ初の市販EVがSUVボディのEQCとなった理由は? ジャガーEベイスやテスラ・モデルXといった、他メーカーのEVモデルの影響があるのか?
「SUVモデルからスタートしたのは、世界で最も成長しているカテゴリーであり、世界中の多くのお客様を一台で満足させられるからです。もうひとつの理由は、利便性を高めるモデルであることです。街中での利用では、全長が短く、車高が高いクルマが好まれています。競合との比較や差別化という点では、内燃のクルマと同じ感覚で操作でき、クラシックなメルセデスの魅力を併せ持っているという点です。具体的には、静粛性、乗り心地の良さ、洗練されたスタイル、そしてバリューのある価値を提供する、ということです」
−−−−−− 他社では電気を有効活用するような複合システムが投入されているが、メルセデス・ベンツはどのように考えているのか?
「開発時には、家の補助電源化など色々と検討しましたが、今回のEQCにおいてはそのようなアイデアは採用していません。その理由としては、世界の市場を見渡した場合、インフラの整備が特殊であること、そしてエネルギーのサプライヤーとの関係にも難しい点があるからです」

「メルセデス・ベンツの典型的なドライブフィーリングを実現しています。差別化したい要素としては、サスペンションやステアリング、静粛性といった部分がありますが、内燃であってもEVであっても、ドライブトレインの違いで開発が異なるものではありません。その結果、EQCに乗っても、これまでのメルセデス・ベンツの乗り味が堪能できます。さらに付け加えると、快適性に加えて、CLSにも似たスポーティなドライブ感覚を取り入れています」
−−−−−− EQCの開発において、EVならでの難しさはあったか?
「EQCは四輪駆動モデルでありますが、アクセルに対する反応が速いという点が挙げられます。EVはアクセルに対して俊敏に反応して加速するため、トルクを制御するトルクマネージメントシステムを投入しています。これは、伝統的なESPよりも、かなり強靱なシステムとなっています」
「ふたつの側面があるかと思います。EVは一般的に考えると、たしかに車両重量は重いと言えます。メルセデス・ベンツでは、電力を回収する独自のシステムを搭載しており、車両の重さによって効率性を高めるようにしています。残念ながら日本仕様には非搭載ですが、欧州仕様ではマッピングまでをカバーするような、より高度なシステムを採用しています。もうひとつの重さに関しては、衝突性能についてです。バッテリーそのものに衝突保護システムを搭載し、特に側方からの衝撃に強くなっています。余談ですが、乗り心地の点においては、重量は重い方が有利です(笑)」
−−−−−− インテリアに採用した、これまでに使ったことのない、まったく新しい素材とはどんなものか?
「それは3つあります。ドアの内張りにはとても柔らかくて肌触りの良いマイクロクラウドを採用し、インストゥルメントパネルにはスペースラックスというメタリックな素材を用いました。もうひとつは、インテリア全体を張り巡らせた特殊なメタル素材を採用しています」
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