新型プジョー508で東京〜福岡2000kmイッキ試乗! 新東名120km/hクルージングで見えたフランスの底力
- 2019/11/13
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MotorFan編集部

片道1000kmでしょ。休みながら12時間、ゆっくり行っても15時間あれば着くでしょ、楽勝! そんな簡単な話ではないことは、やはり走らなければわからなかった。しかし大きな経験は、大きな収穫を与えてくれたのである。
TEXT●小山 浩(KOYAMA Hiroshi)
PHOTO●花村英典(HANAMURA Hidenori)/木原寛明(KIHARA Hiroaki)/山口尚志(YAMAGUCHI Hisashi)
※本記事は2019年9月発売の「プジョー508のすべて」に掲載されたものを転載したものです。

静かに佇む508、ここからスタート
まだ日の出に程遠い早朝。スマートフォンは4時30分に電子音を響かせ、その日がきたことを告げた。
そそくさと準備をし、そっと家のドアを閉めながら駐車場に向かうと仄暗い中で、周囲から洩れる光にうっすらとシルエットを見せる1台のクルマ。鋭い目つきに長く低いノーズ、なだらかに寝たリヤウインドウと短いデッキ。立ち上がったフロントピラーとのコンビネーションは、クラウチングスタイルにも見える。
昔のプジョーだったならば、"静かにご主人が来るのを待っていたライオンのようだ"、と表現するところだろうが、長さ4.8m、幅1.86mの大柄なボディでは、もはやちょっとその可愛らしさはないが。
いずれにしても、薄暗い光の中で見せるシルエットに息を呑まされる感じは、代々のプジョーの隠れた美点でもある。
最大トルクで400Nmもあるディーゼルターボは、静かになったとはいえ早朝の住宅街では少し気がひける。足早に荷物を積み込み、スタートだ。しかし室内では、エンジン音もまったくといっていいほど聞こえてこない。どちらがガソリンか、ディーゼルかすらわからないほどだ。
東京から目指すは福岡。距離は1000㎞ほどあるが、「ヨーロッパ的には走れちゃう距離でしょう」などと簡単に取材を決めてしまった。ところがあとで考えてみれば、パリからフランクフルトまでは、500〜600㎞程度。朝普通にクロワッサンを朝食に食べた後に出ても、夕飯には普通にドイツビールが飲めるくらいの時間に余裕でたどり着く。パリを起点にするならば、ジュネーブやドーバー海峡を挟むがロンドンなどもその範囲に入って来る。それだけに、クルマで移動できることには大きな価値があるのがヨーロッパだ。


ところでパリから1000㎞といえばミラノ、モナコ、フランスでもニースはそのくらいの距離。そしてスペインに向かえば、バルセロナなどまでの距離だ。この距離は、さすがの欧州人でもちょっと気合の入る距離だ。
かつてカメラマンとともに、初代のNSXでフランクフルトからイタリアはモデナの往復を敢行したが、その片道距離は900㎞。山あいに雪の残るスイスを抜けるコースなど、かなりのヘビーなツーリングだったことを思い出す。また同時に弾丸のロングツーリングは、NSXを忘れ得ぬ「同志」と確信できた思いもあった。そんな思いやあの時の情熱を再びという気持ちがなかった、といえば嘘になる。
途中、ガソリンエンジンのGT Lineと合流、2台と3人ドライバーの体制でツーリングが始まった。
併せて最大の関心事が第二東名だ。ここでは一部の区間で普通自動車などでは制限速度が120㎞/hへと引き上げられた。これまでの100㎞/h制限から2割増という画期的なこととなっている。
フランスでの制限速度は最高で130㎞/h。フランスの速度取り締まりは厳しく、少しオーバーするだけでもレーダーでの取り締まりの対象。一般路では移動式レーダーも設置され、全く普通のハッチバック車の中から隠し撮りをされる例もあるという。意外に思うかもしれないが、フランス人の速度取締りに関する意識は、日本人以上に敏感なのだ。
そんなことから、フランスの高速道路では速いクルマでも基本は130㎞/hでオートクルーズを設定し、追い抜く時だけはちょっと加速して、すぐに走行車線に戻るのが一般的。
となれば、フランス車にとって130㎞/hベストセッティング説が想定される。これまでは100㎞/hを基本にする環境だったので、フランス車の美味しい領域が堪能できなかったのではないか、それを検証することも大きなテーマとなった。

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