先生(右):損 保太郎
某損保サービスセンターに勤務。今回はなかなか一般の人には理解されにくい、保険用語についてレクチャーするよ。

生徒(左):モン太
保険用語は約款を見ても、ネットで調べてもよく分からないモン。ボクにも分かるように教えてね!

【被保険者】 ひほけんしゃ

保険の補償を受ける対象となる人のこと。「保険を契約した人=被保険者」とは限らないのが、ちょっとややこしいところだ。

モン太 保険にお金を払っている人のことじゃないモンか?

損 保太郎(以下、保太郎) それは「保険契約者」だね。被保険者は、簡単にいえばその保険によって補償を受ける対象になる人。契約者と被保険者が同じ場合もあれば、違う場合もあるんだ。
例えばAさんが契約している車両を、契約上補償対象となるBさんが運転して事故を起こした場合、Bさんも被保険者として補償を受けられるケースがある。ただし、誰まで被保険者になるのかは、対人賠償や対物賠償、人身傷害など補償の種類や、運転者の範囲を限定する条件などによって変わるんだよ。
社用車なんかも分かりやすい例だね。法人が契約しているクルマやバイクでは、その法人が記名被保険者になり、実際に運転する従業員などが契約内容に応じて補償の対象になるケースがあるんだ。

モン太 なるほど! 「保険を契約した会社」と「実際に補償を受ける人」が違うこともあるんだモンね。でも、誰が運転しても絶対OKってわけじゃないんだモンね。

保太郎 その通り。家族や友人にバイクやクルマを貸す時は、運転する人が補償対象になっているか確認しておきたいね。

【強制保険と任意保険】 きょうせいほけん/にんいほけん

「強制保険」と呼ばれているのが自賠責保険。クルマだけでなく、バイクや原付などにも法律で加入が義務付けられている。補償されるのは交通事故によって他人を死傷させた場合の人的損害で、相手のクルマやバイクなどの物損は対象外だ。

モン太 自賠責保険が切れたまま乗ったらどうなるモン?

保太郎 これはかなり重いよ。自賠責保険・共済に加入せずに運行すると、現在は「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」。さらに交通違反として6点が付き、即座に免許停止処分になるんだ。

モン太 6点! 車検のない原付や250cc以下のバイクなんかは、とくに期限切れに注意だモンね。

保太郎 そうだね。いっぽう「任意保険」は、その名の通り加入するかどうかを自分で決める保険。自賠責だけではカバーしきれない対人賠償や、相手の車両などを壊した場合の対物賠償、自分自身のケガや愛車の損害など、契約に応じてさまざまな補償を付けられるんだ。

【保険料と保険金】 ほけんりょう/ほけんきん

名前が似ているけれど、お金が動く方向はほぼ正反対。

モン太 これ、たまにどっちがどっちか分からなくなるモン(笑)。

保太郎 「保険料」は契約者が保険会社へ支払うお金。「保険金」は事故などが起きて契約上の支払条件を満たした場合に、保険会社から支払われるお金、と覚えると分かりやすいよ。

モン太 ボクが払うのが「保険料」、事故の時などに保険会社から支払われるのが「保険金」だモンね。

保太郎 そういうこと。対人・対物賠償では事故相手側へ支払われる場合もあるから、「保険金=必ず自分の口座へ入るお金」というわけではないよ。

【保険金額】 ほけんきんがく

「保険料」と「保険金」の次は「保険金額」。また似た言葉が出てきた!

保太郎 「保険金額」は、契約で設定する保険金の支払限度額などを示す金額だよ。例えば「車両保険金額200万円」という契約なら、基本的にはその200万円が車両保険で支払われる金額の上限になる。

モン太 じゃあ「対人・対物無制限」っていうのは?

保太郎 対人・対物賠償の契約上の支払限度額を無制限に設定しているという意味だね。もちろん事故と関係なくいくらでも支払われるという意味ではなく、法律上負担する損害賠償額など、契約上の支払対象となる範囲で補償されるんだ。

【ノンフリート契約】 のんふりーとけいやく

「ノンフリート」とは、契約者が所有・使用するクルマやバイクの契約台数が9台以下の場合に適用される、一般的な自動車保険の契約区分。10台以上になると「フリート契約」と呼ばれる。つまり、個人のライダーやドライバーにとっては身近な契約方式なんだ。

保太郎 ノンフリート契約では、一般的に1~20等級があり、等級などに応じて保険料が割引・割増される仕組みになっている。初めて契約する場合は原則6等級からスタートして、1年間、等級に影響する事故がなければ翌年は1等級アップするんだ。

モン太 なるほど! 「ノンフリート」って保険の種類じゃなくて、契約台数による区分なんだモンね。数字が大きいほど、無事故を続けてきたってことだモンね。

保太郎 そう。ただし、「事故で保険を使ったら必ず3等級ダウン」と覚えるのはNG。事故の内容によって「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」、そして等級に影響しない「ノーカウント事故」があるんだ。例えば人身傷害保険の保険金だけを受け取った場合などは、ノーカウント事故になるケースがあるよ。取り扱いは契約内容によって異なる場合があるから確認してほしいね。

モン太 事故=全部3等級ダウンじゃないんだモンね。

保太郎 ここは勘違いしやすいところだね。

【無責・免責・取り下げ】 むせき/めんせき/とりさげ

この3つは事故対応の現場で耳にすることがある言葉。とくに「無責」は日常生活ではまず使わないので、「無責任の略?」なんて思ってしまいそうだ。

モン太 まさにそう思ったモン(笑)。

保太郎 「無責」は、事故の連絡はあったものの、その保険契約では保険会社に保険金を支払う責任がない場合などに、実務上使われることがある言葉だよ。例えば補償対象となる損害が発生していなかった場合などだね。使い方や表現は保険会社によって違うこともあるよ。

モン太 じゃあ「免責」は?

保太郎 これも少し分かりづらい。ひとつは、約款上「保険金を支払わない」と定められているケース。例えば飲酒運転をした本人のケガや本人の車両損害については、車両保険などで保険金が支払われない場合がある。いっぽうで、飲酒運転でも被害者救済の観点から対人・対物賠償は補償対象になるのが一般的なんだ。

モン太 「飲酒運転=全部の保険が出ない」じゃないんだモンね。

保太郎 そう。ただし、飲酒運転そのものが絶対ダメなのは言うまでもないね。

それから「免責金額」という使われ方もある。これは、事故の際に契約者側が自己負担する金額のこと。例えば車両保険で「免責金額5万円」と設定されていれば、支払われる保険金を計算する際に5万円の自己負担が生じる、といった具合だよ。

モン太 同じ「免責」でも意味を見ないとダメなんだモンね。

保太郎 そして「取り下げ」は、事故を保険会社へ連絡したあと、損害が小さいなどの理由から保険金を請求せず、自費で対応することを現場でそう呼ぶことがある。例えば保険を使うことで将来増える保険料の方が、今回受け取れる保険金より大きくなりそうなら、保険を使わないという判断もあるんだ。

モン太 事故連絡したら絶対に保険を使わなきゃいけないわけじゃないんだモンね。

保太郎 その通り。まず相談して、使うか使わないかを決めればいいんだよ。

【自損自弁】 じそんじべん

なんだか四字熟語みたいだけど、交通事故では「自分の損害は自分で負担する」という解決方法を指す言葉だ。

保太郎 例えば双方に損害がある事故で、お互いが相手に賠償請求せず、それぞれ自分の損害を自分で負担して解決する方法を「自損自弁」と呼ぶことがあるんだ。

モン太 過失割合が50:50だったら自動的に自損自弁になるモンか?

保太郎 いや、そういうわけじゃないよ。双方の損害額や過失割合などを踏まえて、当事者双方が合意したうえで自損自弁とする場合がある、ということ。勝手に「お互いさま!」で終わらせるものじゃないんだ。

モン太 そこ大事だモン。

【慰謝料】 いしゃりょう

ニュースやドラマでもよく聞く「慰謝料」。交通事故の場合は、事故による精神的・肉体的な苦痛に対する損害賠償のひとつだ。

保太郎 交通事故では、ケガをした場合の入通院や後遺障害、死亡などに対して慰謝料が認められる。いっぽう、クルマやバイクが壊れただけの物損事故では、基本的に慰謝料は認められないんだ。

モン太 大切にしていた愛車を壊されたら、精神的ショックは相当大きいモン……。

保太郎 バイク好きなら、その気持ちはよ~く分かる。でも法律上の損害賠償では、「愛車が壊れて悲しい」という気持ちだけで、一般的な物損事故に慰謝料が認められるわけではない。ここは感情と損害賠償を分けて考える必要があるんだ。

モン太 保険用語って難しそうだけど、意味が分かれば事故の時にも慌てずに済みそうだモンね。

保太郎 そうだね。分からない言葉が出てきたら、そのままにせず保険会社や代理店へ「それってどういう意味?」と聞いてOK。保険は難しい言葉を覚えることより、自分がどんな補償に入っているのか理解しておく方がずっと大事だからね。

※ここでは一般的な自動車保険や交通事故で使われる用語を分かりやすく解説しています。用語の使い方や補償内容、事故時の取り扱いは、加入している保険や特約、契約内容、事故の状況によって異なる場合があります。詳しくは保険会社または代理店へご確認ください。

【モトチャンプ編集部】