頭でっかちになり過ぎず、フリースタイルに遊び倒せ!
4MINI(ヨンミニ)界のキング・モンキーを手に入れると、まず悩むのが「このまま乗る? それともカスタムする?」ということ。近年は中古車相場の高騰もあり、当時の姿や純正パーツを大切にしながら、あえて大きく手を加えず楽しむスタイルも増えている。
でも、キャブレターモンキーの魅力はそれだけじゃない。豊富な社外製パーツを眺めていると、マフラー、ハンドル、足周り、エンジン……と、少しずつ自分好みに仕上げたくなる。そんなときにお手本になるのが、先人たちが作り上げてきたカスタムマシンだ。パーツ同士のクリアランスや車高のバランス、全体の統一感など、完成車を見ることで参考になるポイントは多い。
ここでは分かりやすくホイールサイズを軸に紹介するけれど、それはあくまで目安。8インチだからこう、10インチだからこう、なんて決まりはない。
モンキーカスタムの基本は「自由」。
サイズ感を生かして凝縮するもよし、走りを意識するもよし、当時物パーツで時代を再現するもよし。さらに過給機まで積んでしまうのもアリ。好きな方向へ突き進んでこそ、モンキーなのだ。
当時物レアパーツで時代ごと楽しむ【旧車スタイル】
モンキーカスタムは、新しいパーツを入れれば良いというものでもない。
同じ4L(4リットル=モンキーのガソリンタンク形状の違いによる呼び方)スタイルでも、当時人気を集めたパーツで時代感まで揃えるという楽しみ方がある。このマシンはエンジンと足周りにJRP製パーツをチョイスし、クラッチにはダイシン製の乾式を採用。レトロな雰囲気を崩さず、その時代ならではのカスタム感を作り込んでいる。
現在では手に入りにくいパーツを探すところから楽しみが始まるのも、このスタイルの楽しみ方の一部。
最新パーツで性能を追うのとは違って、「あの頃ならこうだった」という空気まで含めて楽しめる。長い歴史を持つモンキーだからこそ成立するカスタムだ。

当時人気だったパーツをあえて選び、年代感まで含めて仕上げるのもモンキーの楽しみ。新品パーツでは出せない“あの頃感”が魅力だ。

8インチでダブルディスク!こうした激レアパーツ装着車は、各地の4MINIイベントなどで見る事ができる。
ミニマルをとことん追求!【8インチスタイル】
モンキーらしい小ささを一番濃く楽しめるのが8インチ。小径ホイールならではの凝縮感に、エンジンや足周り、オイルクーラーなどのメカがギュッと詰まった姿がよく似合う。
このマシンは、黒を基調にメッキパーツを組み合わせた4Lスタイル。シリンダーヘッド下へオイルクーラーを配置するなど、できるだけ隙間をなくし、メカニカルな密度感を高めているのがポイントだ。
8インチは、ただ小さいだけじゃない。車体とパーツの距離が近いぶん、ひとつひとつの部品が主張しやすく、モンキーならではの“ギュッと詰まった感じ”を作りやすい。
「こんなのどこで走るのよ?」という声も聞くことがあるし、そう思うのも理解できる。しかし、取材をしていて「これでツーリングに言ってます」というオーナーもけっこう数いるのも事実だし、本当に自走で来場するマシンも多い。反面「普段はスクーターとクルマです。これは各地のイベントに持って行って見てもらうのが楽しいんです」と、割りきったオーナーもいる。つまりどう楽しいかなんて、オーナーによって違うんですよね。

黒×メッキでまとめながら、エンジン周りまでギュッと密度高く仕上げた8インチスタイル。小さな車体だからこそ、各パーツの存在感が際立つ。

各パーツはメッキ加工され、ゴージャスな雰囲気に。モンキーのアイデンティティでもある「折り畳みハンドル」機構も残している。
らしさと走りのグッドバランス!【10インチスタイル】
8インチらしいコンパクトさを残しながら、足周りの性能やタイヤ選びの幅を広げやすいのが10インチ。
こちらは「レースを走っていたようなマシン」をイメージし、SP武川製Φ30フロントフォークにデイトナ製リヤショックを組み合わせ、マフラーにはスーパーモンキー製の当時物を装着。タンクはニーグリップにしやすいゴリラタンクを組み合わせている。
ホイールの大径化による存在感はありつつ、12インチほど車体寸法にシビアになりすぎない。見た目だけでなく、走りもしっかり楽しみたい人にとって、10インチはバランスを取りやすいスタイルといえる。
レーサー風に振るもよし、ストリート寄りにまとめるもよし。モンキーらしさを残しながらスポーティに仕上げたい人には、かなり魅力的な選択肢だ。

レーサーを思わせる外装と足周りで、8インチとはまた違ったスポーティな雰囲気に。サイズアップしてもモンキーらしい軽快さはしっかり残る。

スイングアームは当時物のSPI製をチョイス。シンプルな造形美が特徴だ。
上級者のみが知る圧倒的な存在感!【12インチスタイル】
堂々としたサイズ感を楽しめる12インチは、見た目のインパクトも抜群。
ただしホイール径がノーマルの8インチから12インチへと大幅に大きくなるぶん、フォーク、フレーム、スイングアーム、タイヤ外径など各部の寸法合わせが難しくなりやすい。パーツをただ組めば完成、とはいかないぶん、しっかり作り込むハイエンドカスタム向きだ。
こちらは、ダウンチューブ付きOVERレーシング製OV-38フレームにNSR用の足周りをセット。エンジンにはデイトナ製124cc DOHCを搭載している。
車体全体のバランスを考えながら、フレームから足周り、エンジンまでトータルで仕上げる。12インチになると、モンキーカスタムもかなり奥深い領域へ入っていく。

12インチ化すると車体全体の存在感も一気にアップ。足周りやフレームまで含めたトータルバランスが仕上がりを左右する、まさに上級者向けの世界だ。
もう何インチでも関係ない!?【フリースタイル】
そして最後は、ホイールサイズだけでは分類できない世界。
モンキーなら「そんなことまでやる!?」という発想も、ちゃんと形になってしまう。
こちらは、四輪用を流用した自家製ターボを搭載し、さらに四輪用ホイールを加工して13インチ化。もはや一般的な8・10・12インチカスタムの枠を軽々と飛び越えている。
旧車にもなる。レーサーにもなる。太足にもローダウンにもなる。そしてメカチューンを突き詰めれば、ターボやスーパーチャージャーといった過給機の世界だって見えてくる。
もちろん、ここまで来れば簡単なボルトオンカスタムとは別世界。それでも「こんなモンキーを作ってみたい」という発想を受け止めてくれる懐の深さこそ、このバイクの魅力なのだ。

既成概念にとらわれず、エンジンや足周りまで独自の発想で作り込む。ここまで来ればホイールサイズの分類なんて関係なし。モンキーカスタムの自由度を象徴する1台だ。
正解を探すより、自分の「好き」を形にしよう
8インチ、10インチ、12インチ。旧車風、レーサー風、ハイエンド、そしてフリースタイル。こうして並べるとモンキーカスタムにもいろいろな“型”があるように見えるけれど、本来はどれも入口にすぎない。
先人のマシンを参考にするのは大いにアリ。でも、その通りに作る必要はない。凝縮感が好きなら8インチ。走りも楽しみたいなら10インチ。大径ホイールの迫力を追うなら12インチ。当時物を集めて懐かしい姿を作ってもいいし、誰もやっていないメカチューンに挑戦するのもいい。
モンキーは、乗る人の「こうしたい」を受け止めてくれるバイクだ。頭でっかちになり過ぎず、自分のセンスを信じて、最後は遊びゴコロを忘れずに。自由にいじって、自由に楽しむ。それこそがモンキーカスタムのおもしろさなのである。
※この記事は月刊モトチャンプ2024年3月号を基に加筆修正を行っています
【モトチャンプ編集部】