ラリー最終日は岐阜県にもSS(スペシャルステージ:競技区間)が設けられ、5SS、SS走行距離36.73kmで争われる。今大会最長となる13.16kmの「Ena City short」はSS8とSS11の2回走行、ツイスティな舗装林道が中心ながらも、速度域の高い高速セクションも含まれており、今回の山場となることが予想されている。また、ステージには湿った落ち葉が落ちている箇所も多く、一瞬の油断がリタイアにつながる。
初日を終えて首位の勝田選手と新井選手の差は7.7秒。逆転勝利を狙う新井選手は、勝負どころと語っていたSS8でベストタイム。さらに続くSS9も制してみせた。しかし、対する勝田選手もSS8とSS9は僅差のセカンドベストでまとめ、SS10ではこの日初のベストタイムを記録。午前中のSSを終えて、ふたりの差は6.8秒とほぼ変わらない。「タイヤやマシンもはまっていて、ギリギリを攻めましたが、思ったよりも差をつけられませんでした」と、新井選手は首を捻る。
豊田スタジアムでのサービスを挟んだ午後のセクション。13.16kmのSS11で勝田選手が新井選手に3.7秒差をつける渾身のベストタイムをたたき出す。そのままの勢いで勝田は最終のSS12も制し、10.9秒差をつけてセントラルラリー初勝利を飾った。2019年に開催された前回のラリーは息子の勝田貴元選手が勝利を手にしており、親子で同一イベント勝利を達成したことになる。
「2回目の『Ena City short(SS11)』の路面が思っていた以上にクリーンで、走りやすかったことが大きかったと思います。この勝利は僕だけの力ではなく、コ・ドライバーやチーム、そして応援してくれたファンの皆さんからの素晴らしいサポートがあったからこそだったと思っています」と、勝田選手はフィニッシュ後にチームやファンへの感謝を語った。
2位に終わった新井選手は「今回は回り込むようなきついコーナーが多くて、どちらかと言えばGRヤリスにアドバンテージがあった気がします。WRX STIは中高速域での安定感が強みですし、今回のラリーを通じてデータ取りを含めて、改善点がはっきり分かりました。それらを今後につなげていきたいと思っています」と、前向きな笑顔を見せた。
1分2秒7差の3位は、タイヤやセットアップを試しながら走ったという福永選手。柳澤宏至選手/保井隆宏選手(シュコダ・ファビアR5)が前日からひとつ順位を上げて、4位を得た。また、R-2クラスはヘイキ・コバライネン選手/北川紗衣選手(トヨタGT86 CS-R3)、R-3クラスは大倉聡選手/豊田耕司選手(トヨタGRヤリスRS)がそれぞれ勝利を飾っている。