横浜ゴムがタクシー事業者向けタイヤソリューションサービスの実証実験を開始

横浜ゴムとタイヤ販売子会社であるヨコハマタイヤジャパンはこのほど、京都タクシー、興進タクシーの協力を得て、タイヤソリューションサービスとして横浜ゴムが開発したタイヤ空気圧の遠隔監視システム(Tire air Pressure Remote access System=TPRS)の実証実験を、5月より開始したことを発表した。実証実験は京都タクシーおよび興進タクシーの車両に、横浜ゴム開発のタイヤ内面貼り付け型空気圧センサー付きタイヤおよび「TPRS」を導入し、京都府およびその近郊エリアで実施する。

実証実験はこれまで、カンパニーカー向けやカーシェアリング事業者向けとして行ってきたが、同じく厳しいタイヤ管理を求められるタクシー事業者向けの実証実験を行うことにより、安全性や経済性の向上に貢献するビジネスモデルの確立を目指す

今回の実証実験はCASE(※1)、MaaS(※2)など、自動車業界の変革に対し、横浜ゴムの「TPRS」およびタイヤ内面貼り付け型空気圧センサーの効果を検証するもの。「TPRS」はタイヤ内面貼り付け型空気圧センサーが検知したタイヤの空気圧や温度、車両の位置情報を車両管理者やタイヤサービススタッフがリモートで把握することができるシステムだ。
※1:Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス/シェアリングのみを指す場合もある)、Electric(電動化)の頭文字をとった造語
※2:Mobility as a Serviceの頭文字。地域住民や旅行者の移動ニーズに対応して複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービス

実証実験のイメージ図

このシステムは、タイヤ空気圧の始業前点検の大幅な省力化および空気圧情報の記録化、タイヤの空気が徐々に抜けるスローパンクチャーの早期発見、タイヤメンテナンスの適切な実施、点検のバラツキ防止、リアルタイム異常検知による事故防止、適正空気圧維持による燃費向上などに貢献。検知データはクラウドサーバーに送られ、車両管理者や横浜ゴムの営業所にてタイヤ空気圧の見える化を実現し、燃費の悪化の原因となる低空気圧での走行を防ぐために空気圧が低下した場合やスローパンクチャーの恐れがある場合には、事務所内に設置した警報装置にて管理者に通達する。また、タイヤ内面貼り付け型空気圧センサーは従来のバルブ式TPMS(Tire Pressure Monitoring System)と異なり装着ホイールを選ばないため、アフターパーツとして多種多様の車両、ホイールに採用することができる。

「TPRS」の実証実験はこれまで、カンパニーカー向けやカーシェアリング事業者向けとして行ってきたが、今回、同じく厳しいタイヤ管理を求められるタクシー事業者向けの実証実験を行うことにより、安全性や経済性の向上に貢献するビジネスモデルの確立を目指す。

横浜ゴムは2021年度から2023年度までの中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」(ヨコハマ・トランスフォーメーション・ニーゼロニーサン)におけるCASE、MaaSへの対応策として、センシング機能を搭載したSensorTire(IoTタイヤ)の開発と機動的なサービス力の強化による新たなタイヤソリューションサービスの展開を掲げている。2021年2月には乗用車用タイヤセンサーの中長期的な技術開発ビジョン「SensorTire Technology Vision」を発表し、IoTタイヤから得られた情報をドライバーや様々な事業者に提供することで新たなモビリティ需要の変化に対応しつつ、安心・安全な運行に持続的に貢献することを目指している。この実現に向けた活動の一環として、異業種との実証実験を行っている。

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