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2月14日発売のフォルクスワーゲンの2.0ℓディーゼル ついに日本導入!VWパサートTDIが搭載する新世代2.0TDI(EA288型)とはどんなディーゼルエンジンか?(2月15日更新)

  • 2018/02/15
  • Motor Fan illustrated編集部
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VWパサートTDIが搭載するEA288。Passat TDI Elegancelineは422万9000円

2月14日に発売されたVWパサートのディーゼルエンジン搭載モデル、Passat TDIが搭載するのは、EA288型2.0ℓ直4ディーゼルだ。このエンジンについて、詳しく解説する。

2018年2月14日発表された日本仕様のPassat TDI Highline

Passat TDI Eleganceline 2.0ℓTDI+6速DCT 422万9000円
Passat TDI Highline 2.0ℓTDI+6速DCT 489万9000円
Passat Variant TDI Eleganceline 2.0ℓTDI+6速DCT 444万9000円
Passat Variant TDI Highline 2.0ℓTDI+6速DCT 509万9000円

Passat TDI Eleganceline
全長×全幅×全高:4785×1830×1465mm
ホイールベース:2790mm
車重:1560kg
乗車定員:5人
最小回転半径:5.4m
JC08モード燃費:20.6km/ℓ

シリンダーヘッド右側に備わる吸気マニフォールドに配管されるのが高圧EGRシステム。おもに冷間時始動時のエミッション対策に用いられる。

日本仕様のPassat TDI(EA288)のエンジンスペック

エンジン形式:2.0ℓ直列4気筒DOHCディーゼルターボ
エンジン型式:EA288型
排気量:1968cc
ボア×ストローク:81.0×95.5mm
圧縮比:15.5
最高出力:140kW(190ps)/3500-4000rpm
最大トルク:400Nm/1900-3300rpm
燃料タンク容量:59ℓ

VW/アウディは、横置きエンジンのB/C/Dセグ(ポロからパサートまで)のプラットフォームを、モジュラープラットフォームであるMQBを2012年に発表している。ゴルフⅦやティグアン、パサート、アウディA3などMQB採用モデルは数多い。MBQ移行と同時に、ガソリンエンジンは新世代のEA211型に転換。ディーゼルは「MDB」と呼ぶディーゼルのモジュラーエンジンの基幹エンジンのEA288型に移行した。

2月14日に国内発売されたパサートTDIが搭載するのが、このEA288型だ。

VWがディーゼルゲートで問題を起こしたディーゼルエンジンは前世代のEA189型。新世代のEA288型はEA189を全面刷新しているため、共通する点はボアピッチくらいだ。排気量は1.6ℓと2.0ℓの二本立て。国内に入ってくる仕様は2.0ℓの140kW(190ps)仕様だろう。EA288は、鋳鉄ブロックにアルミ合金製シリンダーヘットを組み合わせる。段違いのバランスシャフトを備える仕様も設定する。
コモンレールとインジェクターはボッシュ製。インジェクターはソレノイド式を採用している。

1:モジュラー・カムシャフトハウジング
2:シリンダーヘッド
3:シリンダーブロック
4:スイッチャブル・クーラントポンプ
5:オイル/バキュームポンプ
6:タイミングドライブ&アクセサリードライブ
7:エキゾーストマニフォールドモジュールwithターボチャージャー
8:水冷インタークーラー内蔵インテークマニフォールド
9:排気処理モジュール
10:EGRモジュール

VGターボはボルグワーナー製。右がタービン側、左がコンプレッサー側。低圧EGRのための導入部が見える。
段違いのバランスシャフトを装備する仕様もある。
インジェクターはボッシュ製ソレノイド式を採用。最大噴射圧は200MPa(2000bar)
排気上流側の排ガス処理モジュール。右側の上部の円筒形のものが酸化触媒。下部がDPF+SCRだ。

欧州ではユーロ6、国内ではポスト新長期規制に適合させるために、排気上流側に酸化触媒、そしてDPF(ディーゼル・パーティキュレートフィルター)とSCR(尿素選択式還元触媒)を備える。排気下流側にもSCRと酸化コーティングした触媒を追加している。NOx低減に効果を発揮するEGRは、低圧/高圧の二系統のタイプを採用している。低圧/高圧の二系統EGRを備えるのは、最新ディーゼルエンジンの特徴のひとつで、EA288が新世代ディーゼルだという証でもある。

高圧EGRは、圧力が高いターボ上流のエキゾーストマニフォールドから排ガスを取り出し、その圧力を利用してインテークマニフォールドに排ガスを流す。エキゾーストマニフォールドとインテークマニフォールドの圧力差を利用するためにシンプルな構成が可能。
低圧EGRは、ターボの下流で温度が下がっている排気を使う。そのため熱的には扱いが楽だが、同時に圧力も大気圧近くまで下がっているのでターボのインデュース部(コンプレッサー側の吸入口部分)に導くことでターボチャジャーをポンプとして排ガスをインテークマニフォールドに還流させる。ターボを使って排ガスを積極的に流すことで圧力差に依存する高圧EGRよりも自由度が高いが、排気(汚れている)でコンプレッサーホイールやインタークーラーが汚れやすいという課題も抱える。

EA288の空気の流れ
1:吸気温度センサー
2:インタークーラー(Charge Air Cooler)
3:インタークーラー通過後のチャージエア温度センサー
4:排ガス温度センサー3
5:酸化触媒
6:高温酸素センサー
7:排ガス温度センサー1
8:VGターボ・排気タービン
9:ウェイストゲート・バイパスバルブ
10:過給圧アクチュエーターポジションセンサー
11:排ガス温度センサー4
12:差圧センサー
13:DPF
14:排気ドア制御ユニット
15:EGRクーラー
16:EGRモーター2
17:ターボチャージャー・コンプレッサー
18:エアフローセンサー
19:スロットルバルブコントロールユニット
20:チャージエア圧力センサー

高圧EGRは圧力(温度も)の高いターボに向かう前の排気を還流させる。
低圧EGRは、ターボチャージャーを通った排気を還流させる。

いずれにせよ、日本市場における輸入車のパワーユニットでディーゼルが人気なのは明かだ。欧州はディーゼル偏重だったがゆえに、ディーゼルゲートで揺り戻しが起きているが、日本市場はもともと極端にディーゼルエンジン搭載車が少なかった。規制にミートしたディーゼルエンジンを待ち望む層は少なからず存在する。マツダ、メルセデス・ベンツ、BMW、ボルボなど魅力的なディーゼルエンジンに対抗できる基本性能を持つEA288が日本でも選択できるようになったのは、朗報だ。

フォルクスワーゲンのディーゼル車「パサート 2.0 TDIシリーズ」が来年初めに日本導入

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