Tech|テクノロジーがわかるとクルマはもっと面白い。未来を予見する自動車技術情報サイト

  • Motor-Fan[モーターファン]
  • モーターファンバイクス[Bikes]
  1. TOP
  2. テクノロジー
  3. テクノロジー
  4. トヨタ自動車

BMEPは驚愕の28.72bar。トヨタGRヤリスのエンジンは化け物だった! トヨタGRヤリスのエンジンは化け物レベル!GR4のためだけに仕立てた、その名は「G16E-GTS」

  • 2020/01/10
  • Motor Fan illustrated編集部
トヨタGRヤリスのG16E-GTS型エンジン。

東京オートサロン2020でお披露目となったトヨタGRヤリス。3気筒の1.6ℓという形式はこれまでのトヨタにはないものだったので、いろいろうかがってみた。

 与えられた型式はG16E-GTS。「完全なる新開発エンジンです。GRヤリスのためだけに仕立てたエンジンです」とエンジニア氏は説明する。結果的にボアピッチはほかのダイナミックフォースエンジンシリーズとそろう格好にはなったが、それありきという要件があったわけではない。ボア×ストロークは、87.5mm×89.7mmとショートストロークではなく、現代のトレンドであるロングストローク。ボアとストロークの組み合わせについてはゼロベースで大量検討、そのなかから、「ラリーではどういう回転数でどのようなトルク発揮で使うか」を調査し、そこからふさわしい機械寸法を探っていったときに得られた。

 圧縮比は10.5である。
 燃料噴射はD4Sだから、筒内燃料直接噴射とポート噴射を併用している。

 スペックを記しておくと(欧州仕様。日本仕様とは異なる場合があるかもしれない)
エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ
エンジン型式:G16E-GTS
排気量:1618cc
ボア×ストローク:87.5mm×89.7mm
圧縮比:10.5
最高出力:272ps(DIN表示で261hp)
最大トルク:370Nm

 となっている。

 WRCのイメージをエンジンとパワートレインでも引き継ぎたい。加えていまのWRCレギュレーションが1.6ℓということで、1618ccという排気量とした。3気筒という形式を選んだのはGRヤリスというクルマを軽量コンパクトに仕立てるためだったが、排気干渉が生じないことによる中低速トルクの豊かさとハイパワーとの両立、レスポンスの高さなどをすべて満足させるには結果として最適だったという。

3気筒で排気干渉がないのでターボチャージャーはシングルスクロール式。ウェイストゲートは負圧で駆動する電子制御式

 3気筒エンジンの特質から排気干渉は生じないため、ターボチャージャーはシングルスクロールタイプ。レーシングドライバーからのヒアリングを多数重ね、とにかくレスポンスを追求する過給特性とした。そのため、ウェイストゲートのノーマルオープン制御では通常の使用状況では大丈夫かもしれないがレーシングドライバーからの要求には応えられず、いわゆる通常のウェイストゲートターボの使い方としている。「トヨタの都合とかエンジニアの都合じゃなくて、クルマを運転する人の都合、つまりプロドライバーのために作ったエンジンです」というエンジニア氏の言葉が、その性格を如実に表している。

 1618ccで最高出力200kW/370Nm。BMEPで計算してみると28.72bar。驚愕の数字である。

G16E-GTS型の燃焼室

 急速燃焼コンセプトは継承しつつ、「ややロングストロークだがほぼスクエア」という内径行程寸法にしたことから、吸気ポートを工夫するなどして急速燃焼を実現した。カットモデルをご覧いただくとお分かりのように、これまでのダイナミックフォースエンジンと同様のストレートポート構造としていて、これにもまたレーザークラッドバルブシートが寄与しているのかと思ったら、今回のエンジンには使用していないという。「ひょっとするとこのエンジンはレースに使われるかもしれなく、あとから打ち替えられる通常のシートのほうがいいという判断です」と説明してくれた。

 とはいうものの切り込むような急角度のポート形状は通常のバルブシートでは難しいというのがレーザークラッドバルブシートの美点だったはずで、ならばどうなっているのかとよく観察してみると、どうやら機械加工がなされている様子。パフォーマンスのために手間を惜しまずというのがよくわかる構造で、しかしコスト上昇を最小限に抑えるために「ボールエンドミルでひとさらい」で済む設計としている。

ポート噴射と筒内噴射を併用するD-4STを採用。最大噴射圧はほかのTNGAエンジンと同等レベルだという。
4気筒に対してどうしても不利な振動対策としては1次バランサーを備えて対策、さらに車体側ではエンジンマウント位置の最適化がなされた。
VVTは吸排気ともに装備。アイドルストップ制御もきちんと盛り込んでいる。
ウォーターポンプはベルト駆動の機械式。電動式は高出力を満足させるにはまったく流量が足りずに検討にはのぼらなかったという。
変速機は6速MTを組み合わせる(サプライヤーはアイシン)。ギヤ比の最適化と軽量化が施された。

ここまでわかったトヨタGRヤリス、新開発の直3DOHCターボG16E-GTS型はなぜ空冷インタークーラーなのか?

東京オートサロンでワールドプレミアされたトヨタの新4WDスポーツ、GRヤリス。新しい4WDシステムや新開発プラットフォーム&...

あわせて読みたい

誰でも簡単にドリフト!? 異例の前後駆動力配分を持つトヨタGRヤリスのAWDシステムGR-FOURとは?

オンデマンド式なのにフロント30:リヤ70の駆動配分? 機械の構造からはどうなっているのかが理解できない数字である。果た...

あわせて読みたい

ここまでわかったトヨタGRヤリス、電子制御カップリングは、ジェイテクトのITCCを使う。トルセンはTypeB

東京オートサロンでワールドプレミアされたトヨタの新4WDスポーツ、GRヤリス。新しい4WDシステムや新開発プラットフォーム&...

あわせて読みたい

1.6L直3ターボで272ps!トヨタ「GRヤリス」世界初公開!【東京オートサロン2020】

1月10日より千葉県の幕張メッセで開幕した、「東京オートサロン2020」のトヨタガズーレーシングブースには、「GRヤリス」が出...

あわせて読みたい

トヨタGRヤリスの396万円はバーゲンプライスだ!「GRヤリス」と「ヤリス」はまったく別のクルマだ

東京オートサロンでワールドプレミアされたトヨタGRヤリス。期待を上回るスペックと期待通りの「低価格」で登場した。「396万...

あわせて読みたい

おすすめのバックナンバー

自動車業界 特選求人情報|Motor-FanTechキャリア

「自動車業界を支える”エンジニアリング“ 、”テクノロジー”情報をお届けするモーターファンテックの厳選転職情報特集ページ

motorfuntech

これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。

これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。 一覧へ

会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ

会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ 一覧へ

3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説

3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説 一覧へ

Motor-Fanオリジナル自動車カタログ

自動車カタログTOPへ

Motor-Fan厳選中古車物件情報

トヨタ ヤリス

G 1年保証 DA ミュージックプレイヤー接続可 バックカメラ 衝突被害軽減システム ETC LEDヘッドランプ

中古価格 182.2万円

トヨタ ヤリス

Z フルセグ メモリーナビ バックカメラ 衝突被害軽減システム ETC LEDヘッドランプ フルエアロ ワンオーナー ミュージックプレイヤー接続可 安全装備 オートクルーズコントロール ナビ&TV

中古価格 198.6万円

トヨタ ヤリス

ハイブリッドG フルセグTV クルーズコントロール オートエアコン 横滑り防止装置 イモビ スマートキー 衝突被害軽減ブレーキ バックカメラ TV

中古価格 224.2万円

トヨタ ヤリス

ハイブリッドG フルセグTV クルーズコントロール オートエアコン 横滑り防止装置 イモビ スマートキー ETC 衝突被害軽減ブレーキ バックカメラ TV

中古価格 224.2万円

トヨタ ヤリス

ハイブリッドG フルセグTV クルーズコントロール オートエアコン 横滑り防止装置 イモビ スマートキー ETC 衝突被害軽減ブレーキ バックカメラ TV

中古価格 227.5万円

トヨタ ヤリス

ハイブリッドZ 1年保証 フルセグ メモリーナビ ミュージックプレイヤー接続可 バックカメラ 衝突被害軽減システム ETC ドラレコ LEDヘッドランプ ワンオーナー アイドリングストップ

中古価格 229.6万円

中古車TOPへ