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MINIのシフター。シーケンシャルシフトは前倒しがシフトダウン。 シーケンシャルシフト、前倒しはアップ、それともダウン?——安藤眞の『テクノロジーのすべて』第46弾

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(PHOTO:BMW)

シフトダウンを試みようとレバーを前に倒したら——回転数が下がった。シーケンシャルシフトのアップ/ダウンの方式は二通り。それぞれの理由を考えてみた。
TEXT:安藤 眞(ANDO Makoto)

 マツダCX-30のスカイアクティブ−Xエンジン搭載車に、ようやく試乗することができた。低速域でディーゼルエンジンに似たゴロゴロ振動はあるものの、トルク応答の素早さは、これまでのエンジンにはないレベルだし、ターボ過給ではないから、低速から高速まで扱いやすいのも好ましい。高回転側もストレスなく回り、6500rpmまで精度感高くパワーが盛り上がる様子は、バランス取りしたチューニングエンジンのようで気持ちが良かった。

 何よりエンジンブレーキがきちんと効くので、マニュアル変速で走りのリズムが作りやすい。小排気量が故にポンピングロスが少なく、その分、エンジンブレーキの効きが悪いダウンサイジングターボや、フライホイールの重さがエンジンブレーキの邪魔をするディーゼルだったらフットブレーキを踏みたくなるようなシーンでも、シフトダウンだけでこなせるので、楽だし楽しい。

 スカイアクティブ−Xエンジン搭載車の価格は約330万円からと、スカイアクティブ−Gより約70万円、同−Dより約40万円高いので、相対的に割高感を覚える向きもあると思うが、クルマの仕立てとしては、レクサスUX(約397万円〜)やBMW X2(448万円〜)、ベンツGLA(422万円〜)あたりと較べても、そう遜色のあるものではない(「同じ」とまでは言わない)から、むしろ“G”や“D”が割安だと考えれば、“X”に対する見かたも変わってくるのではないか。

マツダ3のシフター。シーケンシャルシフトは前がシフトダウン。(PHOTO:MAZDA)

 それはともかく、久々に乗ったマツダ車のシーケンシャルシフトには、慣れるまで少しの時間を要した。世界的に見ても、「前ダウン/後アップ」なのは、マツダとBMWぐらいで、ほかの多くのメーカーは逆だからだ。今回は、その理由を考えてみたいのだが、単に「思考の遊び」であって、どちらが正解なのかを断定するものではないことをお断りしておく。そんなの「好み」でいいからだ。

日産の例。スカイラインのシフター。前倒しはシフトアップ。(PHOTO:NISSAN)

「前ダウン/後アップ」にする理由として語られるのが、G(加速度)の方向。減速時には負の加速度(前向き)が、加速時には正の加速度(後向き)がかかるから、シフト操作もその方向に合わせたほうが合理的、というわけだ。

 確かにサーキットレベルの加速度ではそうかも知れないが、通常運転時のドライバーの筋反射を考えると、僕はむしろ逆ではないかと思う。減速する意図があれば、ドライバーは負の加速度に備えて背筋に力を入れ、足を踏ん張る。これは体幹の後ろを緊張させる動きだから、腕も「引く」方向に力を入れやすい。加速方向はシートバックが体を支えてくれるし、公道での加速なら、Gの方向が運転操作に影響を及ぼすレベルにはならないから、どちら向きでも差し支えない。というわけで、僕は「前アップ/後ダウン」のほうが、身体感覚にしっくりくる。

 とはいえ「前アップ/後ダウン」を採用するメーカーから、こうした具体的な理由は聞いたことがないから、単に「伝統的ストレートゲート式ATレバーは手前がローギヤだったから、それに合わせた」というのが正解なのかも知れないし、僕の体にその記憶が刻み込まれているから、そっちのほうがしっくりくるとも考えられる。

飛行機のコックピット。(PHOTO:BOEING)

 以下は思考の遊びだが、これを飛行機と馬に例えると、興味深い相関が見えてくる。飛行機は操縦桿を引けば上昇、すなわち正の加速度がかかり、前に倒せば降下、すなわち負の加速度がかかる。そして航空機を出自に持つBMWは、それと同じ「前ダウン/後アップ」方式だ。

 では、馬はどうか、といえば、手綱を引くのは「減速」で、手綱を送るのが「加速」。下半身が固定しにくく、つぎに発生させようとしているGに耐える方向にあらかじめ体を動かしておく必然性からそうなっているものと思われるが、これに合わせれば、シフトの方向は「前アップ/後ダウン」になる。

 ただし、この仮説の致命的な欠陥は、もうひとつの航空機メーカーであるSUBARUがマニュアル変速をパドルのみにしてしまったことと、「人“馬”一体」を掲げるマツダがBMWと同じ航空機式であるということ。だから多分、正解ではないと思うが、もっともらしいウンチクとして語るネタぐらいにはなるのではないかと思う。

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