エンジンルームという呼称——安藤眞の『テクノロジーのすべて』第59弾
- 2020/08/20
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安藤 眞

エンジンが収まっているから「エンジンルーム」。では電気自動車の場合はそこをどう呼ぶ?
TEXT:安藤 眞(ANDO Makoto)
プジョーe-208に続いてホンダeが発表され、間もなくマツダからMX-30がデビューするなど、今年は電気自動車(EV)のプレミアムイヤーになりそうな様相。そこで僕が気になっていることのひとつが、あるテクニカルターム(技術用語)だ。
といっても、新しいものでも難しいものでもない。それは「エンジンルーム」。EVはいわゆる「エンジン」ではなく電気モーター駆動だから、それが収まっているのは「エンジンルーム」ではなく「モータールーム」と呼ぶべきではないか?——という議論が出てきそうなので、先回りして釘を刺しておきたい。

英語で「エンジン」といえば、動力装置全般を指す。蒸気機関は「スチームエンジン」だし、Webの検索に使うのも「検索エンジン」、新作のデジタルカメラが出ると、たいていはプレスリリースに「新たな画像処理エンジンを搭載」などと書かれる。つまり「エンジン」とは、「何かを動かすもの」の総称なのだ。
一方で「モーター」も、もともとは動力装置全般の意味で使われており、内燃機関も以前から「モーター」と呼ばれてきた。オートバイは「モーターサイクル」だし、自動車やオートバイのレースは「モータースポーツ」。日本最古の自動車雑誌は「モーターファン」だし、トヨタ自動車の英文公式表記も「TOYOTA MOTOR CORPORATION」だ。

要するに、何かを駆動する装置なら「エンジン」でも「モーター」でもどちらを使ってもいいわけで、EVが出てきたからといって、慣れ親しんだ「エンジンルーム」という呼称を変える必要はないと思う。少なくとも僕は、「エンジンルーム」という呼称を変えるつもりはない。
だって「電気モーターが入っているからモータールーム」になるんだったら、シリーズ式ハイブリッド車のエンジンルームは何て呼んだらいいんだ?
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