連載

内燃機関超基礎講座

これまでのディーゼルの常識を覆したマツダの“SKYACTIV-Dエンジン”

2012年に登場したSKYACTIV-D 2.2。CX-5、アクセラ、アテンザ(後のMAZDA6)、CX-8に搭載された。

ガソリン版SKYACTIV-Gのキーワードが高圧縮比ならば、ディーゼル版のそれは低圧縮比。それまでの18以上という圧縮比設定では適切な混合気が生成される前に着火燃焼が起こりNOxとPMの同時発生が避けられない。それを防ぐために燃焼をリタードせざるを得ないので有効膨張比が低下する、エンジン強度が必要で機械的な抵抗損失が大きいなど、さまざまな問題点を抱えていた。

圧縮比14.0という数値は、厳しいエミッションをクリアし軽量で効率の高い新世代のディーゼルエンジンを生むキーワードだ。本機ではVGターボではなく運転状況で大小を切り替える2ステージターボ、マルチホール・ピエゾインジェクターによる多パターン燃料噴射、排気を直接新気に還流させてEGR効果を得る排気二度開きバルブなどを用い、酸化触媒とDPFだけでNOx後処理システムを使わずに国内外の最新排出ガス規制をクリアしている。

CX-8デビュー時に大幅アップデートされたデンソー製i-ARTインジェクターを使う最新仕様が18年にCX-5にも搭載された。

急速多段燃焼の実現に大きく貢献する、圧力センサー内蔵のマルチホールピエゾインジェクター(i-ART)をアップデートで新採用。超高応答化させ、従来に比べて素早い連射が可能になった。

エンジン始動直後の暖機アイドリング中に起こりうる半失火状態を抑制するため、吸入行程中にわずかに排気バルブを開き高温の排気をシリンダーに逆流させて圧縮時の温度上昇を促進し、着火の安定性を向上させる。

ディーゼルエンジンの「ガラガラ音」を低減させるためのマツダ独自の機構、ナチュラル・サウンド・スムーザー。ピストンピンの中空部分に差し込むように入れることでノック音を抑え、心地よいエンジン音を奏でる。

マツダ SH-VPTS主要スペック

気筒配列:直列4気筒
排気量:2188 cc
内径×行程:86.0mm×94.2mm
圧縮比:14.4
最高出力:147kW/4000rpm
最大トルク:450Nm/2000rpm
給気方式:ターボチャージャー
カム配置:DOHC
吸気弁/排気弁数:2/2
バルブ駆動方式:ロッカーアーム
燃料噴射方式:DI
VVT/VVL:×/◯
(CX-8)

マツダ・CX-5(KF型)。
マツダ・MAZDA6(GJ型)。2012年にアテンザの車名で登場したが2019年に「MAZDA6」に改名。2024年に終売となった。

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