連載

自衛隊新戦力図鑑

戦闘機の侵入路を“電子的”に切り開く

「電子戦(EW)」とは、電波(レーダーや通信)などをめぐる戦いのこと。敵のレーダーや通信を妨害・無力化する「電波攻撃(EA)」、敵のEAから味方の装備を防護する「電子防護(EP)」、敵が使用する電波についての情報収集や分析を行う「電子戦支援(ES)」に分類され、「スタンドオフ電子戦機」はEAを担う。

3月12日に航空自衛隊 飛行開発実験集団がスタンドオフ電子戦機をSNS上で初公開した。つづいて3月17日に初飛行している(写真/飛行開発実験集団)

本機について航空自衛隊は、「効果的な電波妨害により航空作戦の遂行を支援する」と説明している。もう少し詳しく説明すると、敵の防空ミサイルの射程外(スタンドオフ)に滞空して敵レーダーに対する電波妨害(ジャミング)を実行し、味方戦闘機の侵入経路を作り出す…というものだ。こうした機体は「スタンドオフ・ジャマー(SOJ)」と呼ばれる。

2017年から配備が開始された国産の大型輸送機C-2をベースに開発されている。2025年に退役したEC-1電子戦訓練機の後継にあたり、就役すれば「EC-2」の名が与えられると考えられている。

2025年3月に退役したEC-1電子戦訓練機。大きく突き出た機首レドームには、J/ALQ-5(および改)電波妨害装置を搭載している。「訓練機」としているが事実上の電子戦機だった。国産輸送機C-1をベースに改修されている(写真/Public Domain)

大きな機首は何のため?

スタンドオフ電子戦機の特徴である、大きな機首レドームや、機体各部の盛り上がり(フェアリング)には、どんな意味があるのか? まず、機首レドームにはEC-1同様にレーダー妨害用アンテナが収納されているのは間違いないだろう。

スタンドオフ電子戦機は機首レドームのほか、機体上部に前後ふたつと、機体側面に盛り上がったフェアリングがある。機体上部・前方のフェアリングは、レーダー透過塗装が前側のみであり、前方に向けたデータリンク妨害装置との推測がある。また、わかりにくいが尾部にも電子戦機材が搭載されているようだ(写真/航空自衛隊)

そのほかのフェアリングは公開情報が乏しいため推測となる。機体上部2つのフェアリングのうち、後方は衛星通信アンテナだろう。前方については敵のデータリンクを妨害する装置との推測がある。また機体後方側面や尾部のフェアリングは、広い範囲をカバーして敵の電波や通信を検知する機器が搭載されている可能性が指摘されている。

左右のフェアリングには、穴がある。電子戦機材は大きな電力を消費するため発熱する。この穴は冷却のための吸気口かもしれない(写真/ふにに)

そのほかのフェアリングは公開情報が乏しいため推測となる。機体上部2つのフェアリングのうち、後方は衛星通信アンテナだろう。前方については敵のデータリンクを妨害する装置との推測がある。また機体後方側面や尾部のフェアリングは、広い範囲をカバーして敵の電波や通信を検知する機器が搭載されている可能性が指摘されている。

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