シート高690mm! 足を着きやすく、取り回しやすいDio

HONDA Dio Fit|1997年発売
Dio Fit(ディオ・フィット)が目指したのは、速さやスポーティさではなく、毎日気軽に乗れること。そのため車体は軽量・コンパクトにまとめられ、取り回しや足着き性までしっかり考えられている。
なかでも注目したいのがシート高690mm。単純にシートを低くしただけではなく、シート前部を細身にし、フロア側面にもゆるやかなカーブを設けることで、足を地面へ下ろしやすい形状としていた。
全長は1650mm、全幅615mm。車両重量も67kgと軽く、押し引きや駐輪時の取り回しまで含めて“気軽に付き合える50cc”を目指している。
Dioといえば、同じ時代には7.2psを発揮したライブDio ZXのようなスポーティモデルも存在した。でもDio Fitが選んだのは、まったく別の方向だ。最高出力を競うのではなく、毎日の生活のなかで扱いやすいことを優先したDioだった。
1.5Lペットボトルが2本! 毎日使うための装備も充実

日常の足として使うスクーターなら、足着きが良いだけでは足りない。
シート下にはヘルメットなどを収納できるトランクスペースを備え、さらにハンドル下のインナーラックには1.5Lペットボトルを2本も収納できる容量を確保。買い物での使いやすさもしっかり考えられていた。
足元にはフラットなフロアを採用。さらにセンタースタンドを固定するロックイン機構、強化されたハンドルロックとイグニションキーシリンダーなど、盗難防止にも配慮されている。
スタイリングのコンセプトは「ニュー・クラシック・デザイン」。丸みのあるやわらかなフォルムを基本に、別体式のフロントフェンダーなどを組み合わせた。派手なスポーツスクーターとは違うけれど、日常にすっと馴染むデザインもDio Fitらしいところだった。
5.6psでも狙いは低・中速域! 街中で扱いやすい走りへ

エンジンは、49cc空冷2ストローク単気筒を搭載。最高出力は5.6ps/6250rpm、最大トルクは0.66kgm/6000rpmとなっている。
数字だけ見れば、当時の7ps級スポーツスクーターほど派手ではない。しかしDio Fitでは、低・中速域で力強さを発揮する出力特性を重視。ワイドレシオのVマチックと組み合わせることで、街中で扱いやすいスムーズな走りを狙っていた。
発売時の国内年間販売計画は10万台。ホンダがDio Fitを一部のユーザーだけに向けた派生モデルではなく、ショッピングや通勤・通学に使う幅広いユーザーへ向けた50ccとして送り出していたことがわかる。
スペシャルカラーも登場。Dio Fitは翌年も継続

Dio Fitは1997年の登場だけで終わらなかった。
1997年12月には、シックな「パールウッドグリーン」を採用したDio Fit・スペシャルカラーを発表。翌1998年1月5日から販売された。主要諸元に変更はなく、足着き性や使い勝手を重視した基本コンセプトはそのままだ。
さらに1998年11月にはカラーリングを変更して継続販売。モカベージュに加え、新たにキャンディグローリレッドとマックスシルバーメタリックを設定し、アンダーモール部分にもそれぞれ異なるカラーを組み合わせた。
毎日の買い物や通勤・通学なら乗りやすいほうが良い。そんな当たり前だけれど大切な答えを、足着きから収納、走りまできっちり形にしてみせた。街や住宅に溶け込むような飾らないデザインも魅力のひとつだろう。

1998年11月のカラー変更モデル。こちらはモカベージュ。基本的な車体構成や主要諸元は初期型から変更されていない。

1998年型で新たに設定されたキャンディグローリレッド。Dio Fitらしい丸みを帯びたフォルムを鮮やかなカラーで見せた。
【SPECIFICATIONS】
総排気量:49cc
エンジン:空冷2ストローク単気筒
最高出力:5.6ps/6250rpm
最大トルク:0.66kgm/6000rpm
全長×全幅×全高:1650×615×995mm
重量:67kg
タイヤ:80/90-10・80/90-10
燃料タンク容量:5.0L
シート高:690mm
発売当時価格:13万5450円(税込)
※この記事は月刊モトチャンプ2025年12月号を基に加筆修正を行っています
【モトチャンプ編集部】