中国のシャオミが、電動スポーツセダン『SU7ウルトラ』をさらに過激に進化させた開発車両をテストしている。最大の特徴は、ポルシェ911 GT3 RSを思わせる巨大なリヤウイングと徹底した空力処理だ。最高出力1710psに達する可能性も浮上しており、ニュルブルクリンクでの新記録樹立を狙うモデルとみられる。

巨大な2段式リヤウイングを装着! 空力性能を徹底追求
スマートフォンメーカーとして知られる中国のシャオミ(Xiaomi)が、電動スポーツセダン『SU7ウルトラ』のさらなる高性能仕様を開発している可能性が高まった。
今回捉えられたプロトタイプは、既存のSU7ウルトラとは明らかに異なる空力パーツを装着している。なかでも目を引くのが、リヤエンドにそびえる巨大な2段式ウイングだ。

現行SU7ウルトラのリヤウイングを大幅に上回るサイズで、上下2枚の翼面を組み合わせたデュアルエレメント構造を採用。ウイングを上方から支持するグースネック型マウントにより、翼下面の気流を整え、より大きなダウンフォースを発生させる狙いがある。トランクリッドには偽装が施されているものの、その下にはガーニーフラップとみられる空力パーツも確認できる。
リヤバンパー下部のディフューザーも刷新されている。形状そのものは従来型より控えめに見えるが、左右方向への拡大によって車体下面の気流を効率よく排出する設計と考えられる。さらに、リヤタイヤ後方には大胆な開口部を設置。ホイールハウス内の空気を排出し、車体後方の気流を整えることで、高速走行時の安定性向上を狙っているようだ。
フロントにもF1由来の空力技術が! フェンダーには巨大な排気ダクト
フロントまわりも大幅に手が加えられている。
バンパー下部には、従来の開発車両より大きく前方へ張り出したフロントスプリッターを装着。左右端には大型のエンドプレートを設け、フロントタイヤ周辺の気流を制御している。
ボンネット上のエアアウトレットも拡大され、開口部は従来より前方に移動。ボンネットからフロントガラス方向へ伸びる溝状の造形も深くなり、空気の流れを積極的にコントロールする設計となっている。
さらに注目したいのが、フロントフェンダー上部に設けられた大型ベントだ。ポルシェ911 GT3 RSにも見られるこの構造は、ホイールハウス内に発生する高圧の空気を排出し、フロントのリフトを抑制する役割を持つ。同時に、大径ブレーキから発生する熱を逃がす効果も期待できる。
今回の開発車両ではブレーキキャリパーのロゴやホイールセンターが隠されており、シャオミが車両の詳細を明らかにしたくない様子もうかがえる。
ここまで徹底した空力処理を見る限り、単なる外観変更ではなく、サーキット性能を大幅に引き上げた特別仕様である可能性が高い。
最高出力1710psに到達か! 3モーターシステムをさらに強化
この謎の開発車両について、海外では『SU7ウルトラ・エクストリーム』と呼ばれる進化型ではないかとの見方が浮上している。
現行のSU7ウルトラは、シャオミが独自開発した3基の電気モーターを搭載する高性能EVだ。最高出力は1125kW、約1526psに達し、一般的なスポーツセダンを大きく上回る動力性能を誇る。
今回の進化型では、この3モーターシステムがさらに強化される可能性がある。有力視されているのは、フロント側のモーターをリア側と同等の高出力ユニットへ変更する構成だ。この場合、合計出力は約184ps増加し、最高出力1710psに到達する可能性がある。
もっとも、現時点でパワートレーンの変更は確認されていない。今回の開発車両が空力性能の向上を中心としたモデルなのか、モーター出力まで引き上げた究極仕様なのかは、今後の注目点となる。
ニュルブルクリンク最速4ドアEVの座を奪還へ
シャオミが今回の進化型を開発する背景には、ニュルブルクリンク北コースでの記録争いがあるものとみられる。
SU7ウルトラは2025年、ニュルブルクリンク北コースで7分05秒台を記録。量産4ドアEVとしてトップクラスの速さを実証した。その後、ポルシェがタイカンの高性能仕様によって記録争いを激化させており、シャオミにとってニュルブルクリンクでの速さはブランドの技術力を示す重要な指標となっている。
さらにシャオミは、公道走行を前提としない『SU7ウルトラ・プロトタイプ』で6分22秒台という驚異的なタイムも記録している。これは量産仕様のSU7ウルトラとは異なる専用開発車両による記録だが、シャオミが持つ高性能EV技術の可能性を示す数字である。今回確認された開発車両が、量産車に近い仕様でこの領域に迫る性能を獲得するなら、そのインパクトは極めて大きい。
巨大な2段式リヤウイングや専用ディフューザー、フロントフェンダーベントなど、今回確認された変更点はいずれもサーキットでの速さを追求するためのものだ。シャオミが目指しているのは、単なる高出力EVではなく、世界屈指のサーキット性能を備えた4ドアセダンなのかもしれない。
その実力次第では、ポルシェ・タイカンのみならず、フォード・マスタングGTDやシボレー・コルベットZR1Xといった高性能スポーツモデルにも挑む存在となるだろう。









