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  • 2019/06/12
  • MotorFan編集部 小泉 建治

アルピーヌA110開発責任者ジャン-パスカル・ドース氏インタビュー「あれをやっておけば……そんな後悔はしたくなかった」

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アルピーヌA110のチーフ・ビークル・エンジニアを務めるジャン-パスカル・ドース氏にインタビューを行う機会を得た。エンジニアひと筋で経験を積み、ルノーのモータースポーツ活動の陣頭指揮を執ってきた男が、伝統のネーミングの復活に賭けた想いとは? 生粋のアルピーヌ・エンスージアストでもある彼に、A110の開発秘話を聞く。

REPORT●小泉建治(KOIZUMI Kenji)
PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)

軽さの追求には妥協を許さなかった

───最初にアルピーヌA110の復活を聞かされたときはどんな思いでしたか?

ジャン-パスカル・ドゥース(以下JPD):万感の思いとでも言えばいいでしょうか? ずっと心の奥に燻っていた夢でしたからね。会社からはプロジェクト・リーダーとエンジニア・リーダーの兼任をオファーされたのですが、常識ではひとりがやるなんて考えられません。「これは大変になことになる。兼任なんて無理だ」と考えたのは1秒くらいかな(笑)。2秒後には、すぐに快諾しました。

───伝統のネーミングを復活させるに当たって、「これだけは守ろう」と決めたことはありましたか?

JPD:軽量であるということです。現在のレギュレーションのもとでは、ちょっとでも油断するとすぐにボディは重くなってしまいます。ですから妥協は許されませんでした。「あれをやっておけばよかった」という後悔はしたくなかったのです。その点、ルノーよりもアルピーヌのほうがコストの制約は緩くなります。アルミニウムやカーボンなど、必要とあれば妥協せずに採用しました。

 もちろん際限なく使えるわけではありませんが、そこでかつて私がコンペティション部門のカスタマー向けマシン開発を手掛けていた経験が役に立ちました。コンペティション車両は当然ながら速さを追求しなければなりませんが、カスタマーの事情に見合ったコストに抑えることも必要です。A110のようなスポーツカーの開発も、それに似たところがあるのです。

───新型A110を試乗させてもらったのですが、ステアリングの操作に対して敏感に旋回力が立ち上がる一方、限界域ではコントロールの時間を与えてくれる懐の深さもあります。この絶妙なハンドリングはどのようにして生み出されたのでしょうか?

JPD:まず、初代A110の美点であった「ステアリングの正確性」と「リヤのブレークのコントロールしやすさ」を最優先課題として取り組みました。

 どうやって実現したのかはここで言葉で説明することはとても難しいのですが、とにかく徹底して軽量化させたことが、セッティングの余地を広げてくれたことは確かでしょうね。重くてパワフルなクルマはセッティングの幅が狭くなるものだし、結局は電子制御に頼ることになる。速いけれど面白くない……そして限界域では自分ではどうしようもない……そんなクルマをおそらくあなたも何度も経験しているでしょう?

 また、ミシュランとの共同開発が大きく寄与しているのも事実です。彼らが提供してくれたタイヤはグリップ、コントロール性、そしてインフォメーション性、どれを取っても完璧でした。

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