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【試乗記:三菱エクリプスクロス】ミツビシ初のクーペSUVは骨太な一台|SUVレビュー

  • 2019/07/30
  • ニューモデル速報
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近年のさまざまな環境の変化を受けた後の、三菱巻き返しの先鞭をつけるのがエクリプスクロスだ。スタイリッシュなクーペフォルムを与えられたこのSUVは、決して市場におもねった妥協の産物などではない。その中身には、三菱がこれまで営々と培ってきた四輪制御技術の粋が集められているのである。

REPORT●高平高輝(TAKAHIRA Koki)
PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)/宮門秀行(MIYAKADO Hideyuki)

※本稿は2018年3月発売の「三菱エクリプスクロスのすべて」に掲載されたものを転載したものです。車両の仕様や道路の状況など、現在とは異なっている場合がありますのでご了承ください。

久々となる三菱ブランドの完全なる新規モデル

 実際に座ってみるまで実はちょっと心配だった。クールなクーペスタイルを大きな特徴としてカッコいい事前PRを展開している新型SUVとなると、後席の天井に頭がつっかえるのではないか、後方視界はこの程度で十分と割り切ってしまっているのではないか……などと要らぬ心配をしていたのだが、それはまったくの杞憂に終わった。新しいエクリプスクロスのスタイリングは当世風に洗練されてはいるが、リヤシートもしっかり使える真っ当な、実用的なコンパクトSUVだった。

 エクリプスクロスは三菱にとって、本当に久しぶりのニューモデルである。最も新しいモデルは2012年発売の現行型アウトランダー(PHEVは13年)。その後何度かマイナーチェンジは行なわれているものの、まったくのニューモデルはそれ以来だ。デリカD:2というスズキから供給されているOEMモデルはもう少し後にデビューしているし、軽自動車の新型も発売されているが、軽以外の自社開発車となると何年もニューモデルを投入していなかった。13年ぐらいには計画がスタートしていたというが、ご存知のようにその後軽自動車の燃費不正事件が起こり、結果としてルノー日産グループ入りすることになった。その間に紆余曲折があったことは関係者の言葉の端々からもうかがえるし、落ち着いて開発に集中することも難しかったのではないだろうか。それでも17年春のジュネーブショーでお披露目され、ちょうど一年後のこの3月に日本でもついに発表されることになった。なかなか現物に触れることができなかった上に、まだテストコース内での試乗に限られているのが何とももどかしいが、その範囲で試した限りではかなりしっかり真面目につくられていることが確認できた。

 若いユーザーは馴染みがないかもしれないが、「エクリプス」とは89年に三菱自工が海外向けに発売したスポーツクーペの名で、米国では一時かなりの人気を博し、日本にも少数輸入されたこともあったが、ヒット作にはならなかった。米国では未だに根強いファンがいて、エクリプスの名前をSUVに使うなんて、という反対意見もあったという。その名前をあえて使うのだから、力の入れ方が分かろうというものだ。それにクロスオーバーを足して「エクリプスクロス」である。

エンジンは新開発の1.5ℓ直噴ターボ1本。アウトランダーガソリン車の2.4ℓエンジンを上回るトルクを、僅か2000rpmから発揮しつつ、高い燃費効率を示す。レギュラーガソリン対応というのもうれしいポイント。トランスミッションは8速スポーツモード付きのCVTだ。

健康的で実用的な仕上がりの新型ダウンサイジングターボ

 エクリプスクロスに搭載される4B 40型1.5ℓ4気筒直噴ターボエンジンも、久々の新型エンジンだ。海外向けには2.2ℓディーゼルターボ&8速ATモデルも用意されるというが、日本向けは当面いわゆるダウンサイジングターボの1.5ℓ4気筒+8速スポーツモード付きCVTに限られる。75.0× 84.8㎜というボア×ストロークは、スマート・フォーフォーに搭載されていた4A 91型と同じだからそれをベースにしていると考えていいが、中身はなかなか凝っている。シリンダー内への直噴用だけでなく吸気ポート内にもインジェクターを備えるデュアルインジェクターであり、ウェイストゲートは電動式を採用している。レギュラーガソリン仕様ながら最高出力/最大トルクは150㎰/5500rpmと24.5㎏m/2000-3500rpmを発揮するという。

 実際、低い回転域から十分なトルクを生み出すターボエンジンのおかげで、スルッと身軽にスタートし、そこから先もドライバーの期待通りに気持ち良く回る。特別に静かというわけではないが、十分にスムーズであり、何より活気にあふれた清々しいユニットだ。また小排気量ダウンサイジングターボにありがちな高回転で急に詰まるといった頭打ち感もない。CVTながら、ステップ変速のようなメリハリの利いた変速制御を盛り込んだというが、確かにエンジン回転数だけが上昇して速度が追い付かないという違和感もほとんどないようだ。とはいえ、例えばスロットルを半分ぐらい開けて少しだけ元気よく加速するような場合は、途中で速度の伸びが若干足踏みするようなもたつきも垣間見られた。できればもっとコンパクトなクルマに積んで、マニュアルギヤボックスで乗ったら敏捷で楽しいだろうなと想像してしまうようなエンジンである。

 ドライバーズシートに座ってみると非常に視界が良く、室内も明るく、クーペという言葉から想像されるタイト感はまるでない。ドライバーの視点が高いうえに、ダッシュボードの形状やピラーの処理なども奇をてらわず、水平基調のインストゥルメントパネルも比較的整理されていて好感が持てる。歳を取ってくると一番苦手なのが、ちまちま細かいメーターグラフィックやスイッチ類である。かつては三菱も劇画調というか、メカメカしい計器類が多いことが特徴だったが、さすがに最近は簡潔で見やすく、使いやすいスタイルに転換したようでホッとする。さらにエクリプスクロスにはパネルが立ち上がる方式(コンバイナー式)のカラーヘッドアップディスプレイが備わる。インフォテインメント用にはレクサス車のようなタッチパッドコントローラーが設けられているが、個人的にはこれが唯一残念な点だった。走行中にも使用するなら依然としてダイヤル式が最も使いやすいと考えるからである。私が不器用なだけかもしれないけれど。

 さらに後方視界も斜め後方視界もまったく問題ない。スタイル優先のお洒落SUVなどでは、ルーフ後端部を下げたり、リヤウインドウを寝かせたり、さらにはリヤドアのアウターハンドルを上部に隠したりといったデザイン処理のために、どうしても視界が悪化しがちである。ところがエクリプスクロスはその悪弊(とあえて言おう)に手を出さなかった。ドアハンドルは通常位置にあり、リヤサイドウインドウも広く、そしてハッチゲートガラスは二分割として後方視界を確保している。リヤガラスを上下二段式にすれば、垂直のリヤガラスの分だけもちろんコストは増すが、やはりそこはまあいいじゃないか、と済ますことはできなかったという。真面目かっ! と古い突っ込みを入れたくなるところだが、事実真面目なのである。今どきは、もっと割り切って小賢しく処理されているクルマなど山ほどあるのに、こんなもんで大丈夫だろう、とユーザーを軽く見ないところがスリーダイヤモンドの矜持である。

 リヤシートの居住性についてもまったく同じことが言える。実はウェッジシェイプが強調されたエクステリアから想像するほど全高は低くないのだ(1685㎜)。従って天井の高さも十分に確保されており、ボディサイドの絞り込みもきつくないので後席は広くルーミーだ。一般的な身長の大人が座っても髪の毛が内張に触れることはない。そのうえリヤシートは200㎜の前後スライドが可能で、バックレストも9段階(16°-32°)にリクライニングできる。そんな実用性の高さを考えると、クーペと呼びたい気持ちも分からないではないが、相応しくないと思う。真っ当な実用的コンパクトSUVでいいじゃないか、と言いたいところだが、それでは振り向いてくれないのが昨今の実情かもしれない。

エクリプスクロスはスタイリングだけのクルマにとどまらない。前後の駆動力配分のみならず、左右の駆動力配分をコントロールするAYCを備えたSAWCにより、四輪を高度に制御。舗装路から雪道まで、あらゆる路面でドライバーの操作に忠実に応えてくれる。
エアコン吹き出し口をグッとせり出させたフォルムが特徴のインテリア。画面レイアウトやデザインをエクリプスクロスに最適化したスマートフォン連携ディスプレイオーディオ(SDA)を用意。メータークラスターの上にはヘッドアップディスプレイを備える。
SDAの操作には、シフトレバー横の手を伸ばしやすい位置に配置したタッチパッドコントローラーを使う。その奥にはS-AWCのモード切替スイッチが備わる。

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