272psもいらない人へ! トヨタGRヤリスCVTコンセプト、これはなかなか良さそうだ! トヨタGRヤリスの隠し球か。1.5ℓNAのGRヤリスCVTコンセプト。軽くてFFでギヤ付きCVT。これは期待できそうだ
- 2020/01/12
- Motor Fan illustrated編集部

トヨタが東京オートサロンで発表した「GRヤリス」。とにかく、エンジン、ボディ、シャシー、4WDシステムと見どころ満載の「怪物モデル」誕生で話題沸騰だ。その傍に「GRヤリスCVTコンセプト」なるクルマが展示してあった。これはなんだ?
PHOTO◎松井亜希彦(MATSUI Akihiko)
FF+ギヤ付きCVT、でもリヤはダブルウィッシュボーン

価格も含めて衝撃的だったGRヤリスの発表については、こちらの記事を参照してほしい。
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車両価格396万円というのも車両の内容・仕様を考えるとバーゲンプライスである。

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さて、そのGRヤリスの隣には、「GRヤリスCVTコンセプト」なるクルマが展示されていた。
これはなに?
というわけで、早速詳細を取材した。
まずCVTだ。GRヤリスの1.6ℓ直3ターボは272ps/370Nmという高出力を誇る。いまのトヨタ(アイシン)でこの大トルクに対応できるCVTはラインアップにない。
となるとエンジンはターボではなくNA(自然吸気)だ。つまり新型ヤリスが搭載するM15A-FKS型1.5ℓ直3DOHCエンジンだ。
スペックは
エンジン形式:1.5ℓ直列3気筒DOHC
エンジン型式:M15A-FKS型
排気量:1490cc
ボア×ストローク:80.5mm×97.6mm
最高出力:120ps/6600rpm
最大トルク:145Nm/4800-5200rpm
である。オートサロン会場にいた説明員によると「発売するにしてもパワーアップはしない方向」だという。
組み合わせるCVTは、トヨタ&アイシンの手による画期的な「発進ギヤ付きCVT」であるDirect-shift CVT(アイシンでは
AWFCW21)である。トルク容量は215Nmだ。


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では、ボディ&シャシーは? 会場でクルマの下回りを覗き込んでみた。プロペラシャフトは存在しなかった。つまりFFである。一方でリヤサスペンションは、GRヤリスと同じく、ダブルウィッシュボーン式を使っていた。
つまり、まとめると
・GRヤリスには、1.6ℓ直3ターボ(272ps/370Nm)+GR-FOURと呼ぶ新しい4WDシステム+6速MTのモデル
・そしてGRヤリスCVTコンセプトという、1.5ℓ直3NA(120ps/145Nm)+FF+Direct-shift CVTのモデル
の2種類が存在するということだ。
GRヤリスCVTコンセプトは、コンセプトだから必ずしも市販されるとは限らないが、市販の可能性は極めて高そうだ。
GRヤリスの生産は、トヨタが元町工場内に新たに立ち上げる「GRファクトリー」で行なわれる。多品種少量生産に適した生産方式を採るというから、同じボディでエンジン、トランスミッションなどが異なる派生モデル(別グレード)を効率的に生産できるのだろう。
このGRヤリスCVTコンセプト、本命のGRヤリスの「廉価版」という位置づけになるのか、と言えば、必ずしもそうとは言えないだろう。
GRヤリスと同じ専用プラットフォーム(フロントがGA-B、リヤがGA-Cでダブルウィッシュボーン)で、より軽量なクルマ。パワフルではないが、気軽に使い切れるパワー。新開発のギヤ付きCVT。コンパクトで素晴らしく楽しい2ペダルコンパクトスポーツカーの要素満載だ。
GRヤリスの車重が1280kg。
ヤリス1.5ℓFF+CVT(Xグレード)の車重が990kg
GRヤリスの半分以下のパワーだが、車重で200kg以上軽いとなれば、また別の世界が拓けてくる。CVTのモデルが作れるなら、MTの可能性もあるだろう。新しいFFライトウェイトスポーツ誕生の予感がする。
ちなみに、ヤリス1.5ℓFF+CVT(Xグレード)の価格は159万8000円だ。GRヤリスCVTコンセプトの市販モデルがスズキ・スイフトスポーツ(ベースグレードのATモデル)の194万1500円と同じような価格、200万円前後で登場すれば、このカテゴリーが活性化するのは間違いない。
楽しみに市販化を待ちたい。

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