スバル新型レヴォーグの新1.8ℓ水平対向4気筒ターボCB18 vs マツダSKYACTIV-X リーン燃焼の新世代エンジンを比べてみる
- 2020/08/21
-
MotorFan編集部 鈴木慎一

スバルが新型レヴォーグでデビューさせる新世代水平対向エンジン、CB18型1.8ℓ水平対向4気筒ターボは、「リーン燃焼」がひとつの技術ハイライトだ。リーン燃焼を謳うもうひとつの新世代エンジンには、マツダのSKYACTIV-Xエンジンがある。わかっている数値を元に両エンジンを比べてみる(CB18型エンジンの数値は参考値)。

S/Bはまったく同じ
現在、最新鋭ガソリンエンジンと言えば、マツダのSKYACTIV-Xである。スバルは完全新設計の1.8ℓ水平対向4気筒ターボのCB18を投入してきた。この2基のエンジンに共通しているのは、「リーン燃焼」を謳っていることだ。
リーン燃焼の前に、まずエンジンの基本骨格から見てみよう。もちろん、直列4気筒と水平対向4気筒というエンジン形式の違いはある。ところが、まったく同じ数値になる指標もある。
S/B比である。
S/B比とは、ストロークをボアで割った数値で、1ならいわゆる「スクエア」、1より小さい場合は「ショートストローク」、そして1より大きい数値なら「ロングストローク」と言われる。かつては、ショートストローク=高回転型、ロングストローク=トルク重視型などと言われたが、現代のエンジンは効率を重視してロングストローク化するのが最新の手法だ。冷却損失の小ささが、最新エンジンがロングストローク化する理由である。

内燃機関超基礎講座 | ロングストローク型エンジン トルク重視型エンジンの定番 熱損失低減にもメリット
エンジンの話でよく登場する「ロングストローク」と「ショートストローク」。ロングストロークはトルク重視型、ショートスト...
S/B比
CB18型:1.092(ボア80.6mm×ストローク88.0mm)
SKYACTIV-X:1.092(ボア83.5mm×ストローク91.2mm)
と同じ数値になった。
通常、エンジンの理論空燃比は「14.7」。これを「ストイキ(ストイキオメトリ=stoichiometry)」と呼ぶ。重要比でガソリン1に対して空気14.7で燃やすと完全燃焼するから、理想的な空燃比と言える。これをλ=1と呼ぶ。
新エンジンであるスバルのCB18型は、負荷率約40%かつ2400rpm以下の領域で「λ=2」で燃焼させる。
マツダのSKYACTIV-Xも低/中負荷かつ自着火に適した環境下でリーン燃焼させる。SKYACTIV-Xの場合は「λ=2以上」としている。
SKYACTIV-Xは、リーン燃焼を「SPCCI」と呼ぶ燃焼方式で実現している。
SPCCIとは「火花点火制御圧縮着火」のことで、スパークプラグで火を着けた上で圧縮による自着火をコントロールして燃焼させるという革新的な燃焼方法だ。

マツダSKYACTIV-X、全負荷時にはどんな状態で回っているのか——安藤眞の『テクノロジーのすべて』第42弾
SPCCIが白眉のSKYACTIV-X。低回転高負荷域の燃費率を著しく高める世界初の技術であることはご承知のとおり。では、全負荷域で...

スバルのCB18型のリーン燃焼は、マツダとは違うアプローチを採る。薄くて火が着きにくい、着いても燃え広がりにくいリーン燃焼を、自着火ではなくコンベンショナルな方法(点火プラグと直噴インジェクターを可能な限り近づける、燃焼室内のタンブル流の強化など)で実現した。
両者の違いは圧縮比に表れている。SKYACTIV-Xは、ガソリンエンジンで世界最高の16.3(欧州仕様、国内仕様は15.0)。スバルCB型は10.4と「通常の圧縮比」で対応している。燃料はSKYACTIV-Xがハイオクなのに対してCB18はレギュラー対応だ。
- 1/2
- 次へ
|
|

自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
水平対向と星型とロータリーエンジン特集

スバル新型レヴォーグの新1.8ℓ水平対向4気筒ターボCB18 vs マ...
- 2020/08/21
- 新車情報
スバルの1.8ℓリーンバーンターボ「CB18型」とはどんなエンジ...
- 2020/08/20
- 新車情報

1.8ℓ直噴リーンバーンターボ! 次期スバル・レヴォーグから始...
- 2020/05/15
- コラム・連載記事

内燃機関超基礎講座 | 星型エンジン、その複雑で精緻な構造
- 2020/12/29
- コラム・連載記事

内燃機関超基礎講座 | 直噴技術がロータリーエンジンを救う?...
- 2020/10/16
- コラム・連載記事

いま再びマツダの水素ロータリーエンジンへの期待「REは水素...
- 2020/08/24
- コラム・連載記事
ホンダエンジンの技術力は凄い|内燃機関超基礎講座特集

内燃機関超基礎講座 | V型5気筒という奇妙なエンジンの理由[...
- 2020/07/31
- コラム・連載記事

内燃機関超基礎講座 | ホンダが作った「本当のアトキンソンサ...
- 2020/08/13
- コラム・連載記事

内燃機関超基礎講座 | NA時代のタイプRが搭載していた2.0ℓエ...
- 2020/08/09
- コラム・連載記事

内燃機関超基礎講座 | ホンダ F1 エンジンのコンロッド 高い...
- 2020/07/05
- コラム・連載記事

内燃機関超基礎講座 | ホンダ初代NSXのエンジン[C30A/C32B...
- 2020/08/30
- コラム・連載記事

内燃機関超基礎講座 | ホンダのユニークな気筒休止システム[...
- 2020/08/12
- コラム・連載記事
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ

フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chap...
- 2018/08/28
- 新車情報

マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善...
- 2020/04/26
- コラム・連載記事

マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエン...
- 2019/07/15
- テクノロジー

ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態
- 2020/04/19
- テクノロジー

林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えて...
- 2020/02/24
- テクノロジー

マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレイ...
- 2019/07/27
- テクノロジー
Motor-Fanオリジナル自動車カタログ
自動車カタログTOPへMotor-Fan厳選中古車物件情報

スバル レヴォーグ
1.6GTアイサイト プラウドエディション
中古価格 92万円

スバル レヴォーグ
1.6GT アイサイト S−styleパナソニックナビ
中古価格 205.2万円

スバル レヴォーグ
1.6GTアイサイト
中古価格 179万円

スバル レヴォーグ
1.6GT EyeSight Smart Edition
中古価格 236.5万円

スバル レヴォーグ
2.0GT−Sアイサイト
中古価格 135万円

スバル レヴォーグ
1.6GT−Sアイサイト
中古価格 199万円