“キャリパー12個”は見た目のバランスから生まれた

この車両最大の特徴は、やはり前後合計12個に達するRCB製2ポットキャリパーだ。

しかし、最初から“12個付けよう”と思っていたわけではないという。

CAD上でレイアウトを検討していたところ、「3個付くな」と気づき、まずフロント片側へ3基装着。すると今度は見た目が片側へ寄ってしまったため、「だったら反対側にも付けるか」と左右対称化。さらにリヤ側も同じ発想で増殖していった結果、最終的にこの仕様へ辿り着いた。

つまり、性能追求というより“見た目のバランス”から生まれた構成なのだ。

ちなみに、キャリパー加工のノウハウ自体は、以前乗っていたZX-12R時代からのもの。その12Rが10万kmへ到達したタイミングで、後輩のバイク屋からリトルカブを譲ってもらい、“過剰性能”シリーズ1号機がスタートしたという。

リヤキャリパー周りもワンオフ製作。ブレーキ周りだけでも圧倒される。

ターボ+YD28ツインキャブという意味不明構成

以前取材した時点では自然吸気だったこの車両だが、現在はさらにターボ化されている。

タービンはダイハツ・タント用、インタークーラーはスズキ・エブリィ用を流用。エンジン自体は中華製124ccをベースにしている。

ダイハツ・タント用タービンを流用したターボ仕様。中華124ccエンジンへ組み合わせている。

しかも面白いのが、ヨシムラ製YD28ツインキャブ仕様をそのまま継続している点だ。

通常なら、ターボ化に合わせてシンプルな吸気系へ変更しそうなものだが、ネジさんは「かっこいいから」と即答。もともと自然吸気時代から装着していたYD28×2を、そのままターボ仕様へ組み合わせている。

シムラ製YD28ツインキャブ仕様をそのままターボ化。“かっこいいから”という理由で装着しているのも面白い。

ブースト圧は0.4kgf/cm²ほど。とはいえ、「速くなった感じはそんなにない」と笑う。

セッティングもまだ完璧ではないそうだが、「普通に走るからヨシ」というスタンス。その割り切り方も、この車両らしい。

スズキ・エブリィ用インタークーラーを組み合わせる。メカ感たっぷりの吸気系が凄い。

前後“電動サス”まで投入した過剰メカ仕様

足周りはキャリパー以外も規格外だ。

リヤ周りには、別体式ショックを2本使用したユニットリンク式サスペンションを採用。さらに前後電動サスによる車高調整機構まで組み込まれている。

異常なほど情報量の多いリヤ周りも強烈。普通なら“やり過ぎ”で破綻しそうな構成なのに、不思議と全体がまとまって見える。

また、オイルクーラーやマフラーには田中商会製パーツを使用。市販品とワンオフ加工を組み合わせながら、この異様な車両を成立させている。

しかも、ネジさんいわく「第三弾構想もある」とのこと。

性能、見た目、ギミック、全部盛り。
“過剰性能”という言葉を、本気で形にしたリトルカブだった。

ディテールチェック

どこから見ても情報量が凄い。メカ感を極限まで詰め込んだスタイルとなっている。
足周り、吸気系、ショック周りまで徹底的に作り込まれている。まさに“過剰性能”だ。
リヤ側にも6基のRCB製2ポットキャリパーを装着。完全にやり過ぎである。
ブースト計も装備。見た目だけでなく、しっかり過給されている。
コクピット周りの情報量も異常。このメカニカルさとカブの融合が面白い。
本来のリヤショック位置には前後電動サスをレイアウト。車高調整も可能だ。

影したのはこのEVENT!

「奈良カブミーティングVol.20」
■日時:2026年5月10日(日)
■開催地:唐子・鑓遺跡史跡公園(奈良県)

こちらの車両は日本一参加者が集うカブイベント「奈良カブミーティング」で撮影されたもの。詳細はこちらのSNS(奈良カブ)をチェック!


【モトチャンプ】