EV、HEVのキー技術 日本製鉄、トヨタと中国・宝山を電磁鋼板の特許侵害で提訴 

現行プリウス(50型)モーターのステーターコイル部分。
日本製鉄は10月14日、電動車のモーターに使う電磁鋼板に関する自社の特許権を侵害したとして、トヨタと鉄鋼世界最大手の中国宝武鋼鉄集団の子会社、宝山鋼鉄を東京地裁に提訴したと発表した。両社にはそれぞれ200億円の損害賠償を求めるとともに、トヨタには国内で対象となる電動車の製造販売の差し止め仮処分を申し立てた。

日本製鉄が特許を侵害されたと主張しているのは、「無方向性電磁鋼板」の特許だ。特殊な製造プロセスによって鉄の磁石につく特性(磁気特性)を著しく高めた「高機能材料」で、発電所の発電機、電気機器や電動車・携帯電話の振動モータ等の「鉄心(コイルの中にある鉄材、コア)」として、身の回りで広く使用されている。無方向性電磁鋼板は、特定の方向に偏った磁気特性を示さないように、鋼板の面内でできるだけランダムに結晶方位をコントロールした鋼板で、モーターなど回転機の鉄心に広く使用されている。日本製鉄はトヨタと宝山とそれぞれ協議したが解決に至らず、提訴に踏み切った。

ステーター側は電磁石、ローター側は永久磁石という自動用モーターの例。ローターには永久磁石を埋め込むためのスリットが開けられる。ローターもステーターも極薄の電磁鋼板を重ねて作られる。現在、もっとも薄い自動車用の電磁鋼板は厚さ0.3mmほどである。厚手の紙のような薄さである。

電磁鋼板は、電動化車両のモーターに使われる、いわばコア技術。日本の競争力の源泉でもある。日本製鉄は2012年に製造技術を不正に取得されたとして韓国の製鉄会社・ポスコを訴え、その後に和解したことがある。

それぞれの訴訟の内容は次の通りだ。

1.宝鋼に対する訴訟
①損害賠償請求訴訟
1)提訴内容:約200億円の損害賠償請求
2)提訴先裁判所:東京地方裁判所
3)提訴日:2021年10月14日

2.トヨタ自動車に対する訴訟
①損害賠償請求訴訟
1)提訴内容:約200億円の損害賠償請求
2)提訴先裁判所:東京地方裁判所
3)提訴日:2021年10月14日

②製造販売差止仮処分の申立て
1)申立内容:当社特許を侵害する無方向性電磁鋼板を使用したモータを搭載した電動車の製造・販売の禁止
2)申立先裁判所:東京地方裁判所
3)申立日:2021年10月14日

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