『トミカ』のロングセラー、日本全国で活躍する標準的消防車

トミカ × リアルカー オールカタログ / No.41 モリタ CD-I型 ポンプ消防車

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.41 モリタ CD-I型 ポンプ消防車(サスペンション可動 希望小売価格550円・税込)

ひと口に「消防車」と言っても、火災や災害、事故などそれぞれの事件や現場に合わせて様々な種類がありますが、一般には火災の消火活動のために揚水・放水機能を持った大小各種の消防ポンプ自動車やはしご車を指します。

「消防車」も大雑把に言えばトラックですが、一般にトラックは、自動車メーカーの製造するトラックの車体に、設備や装備専門のメーカーがそれらを装備することでオーダーメイドで作られます。トラックに搭載する設備や装備を開発・製造し、トラックの車体に取り付けるメーカーのことを架装メーカーと言いますが、消防車の代表的な架装メーカーにひとつが株式会社モリタホールディングス(以下、モリタ)です。『トミカ』の『No.41 モリタ CD-I型 ポンプ消防車』は、そのモリタが手掛けている代表的な小型消防ポンプ自動車をモデル化したもので、『トミカ』の中でも人気が高く、息の長いロングセラーとして広く知られています。

モリタ 消防ポンプ自動車 CD-Ⅰ型 A type 実車フロントビュー(『トミカ』モデル車種と同一規格ではありません)(PHOTO:モリタ)
モリタ 消防ポンプ自動車 CD-Ⅰ型 A type 実車リヤビュー(『トミカ』モデル車種と同一規格ではありません)(PHOTO:モリタ)

さて、消防ポンプ自動車は消防ポンプを備え、放水ホース、消火栓などから水を吸い上げる吸管(きゅうかん)、火災現場で様々に活用される小型3連はしご、消火活動の際にホースの移動や延長をスムーズに行なうためのホースカーと呼ばれる折り畳み式リヤカーなどを装備しており、消火栓や防火水槽などに吸管を入れて消防ポンプで水を吸い上げ、放水ホースから火元をめがけて放水することで消火活動を行ないます。

銀色のホースが消火栓などから水を吸い上げる吸管(きゅうかん)。(PHOTO:モリタ)

また、消防ポンプ自動車には、消防ポンプ部分が自動車部分とは別建てになっており、消防ポンプ部分を下ろして使用することができる可搬消防ポンプ積載車や、消火用の水タンクを備えた水槽付消防ポンプ自動車というものもあります。

この消防ポンプ自動車は車体の形と座席の配置、ホイールベースの長さによって分類されています。『No.41 モリタ CD-I型 ポンプ消防車』の「CD-I型」というのがその分類で、Cはキャブオーバー型の車体形状を示し、Dはダブルキャブの座席配置を、I(ローマ数字の“1”)はホイールベース2m以上3m未満の大きさを示しています。ちなみに車体形状ではボンネット型を示すB、座席配置ではシングルキャブを示すS、ホイールベースでは3m以上の大型車を示すⅡ(ローマ数字の“2”)があります。

CD-I型消防ポンプ自動車は、基本的に3トン級のトラックのシャシーをベースとしたポンプ車となり、車体は小型でもA-2級(『動力消防ポンプの技術上の規格を定める省令』で定められたポンプ性能の級別で、A-2級は上から2番目の能力になる。消防ポンプ自動車には、B-1級ーー上から3番目ーー以上のものが主として使用される)のポンプやはしご、ホースカーなど一通りの装備を備えており、側面をアルミシャッター付き積載庫として各種資機材を搭載した車両も多く見られます。狭い道路が多い大都市から山道の多い地方にいたるまで、現在、全国的に使用されている標準的な「消防車」と言える車両です。

モリタの手がけるCD-I型消防ポンプ自動車には、冒頭の“Aタイプ”のほかに4タイプある。左上が“Bタイプ”、右上が“Cタイプ”、左下が“Sタイプ”、右下が“ミラクルLight”。(PHOTO:モリタ)

モリタの手がけるCD-I型消防ポンプ自動車には、2022年5月現在、迅速&確実な消火活動を強力にサポートする基本型とも言える“Aタイプ”、必要な器材を搬送できるゆとりの積載スペースが確保された“Bタイプ”、オールシャッター仕様で降雪地帯に対応した“Cタイプ”、より速い揚水タイムと送水タイムの双方を実現した高性能版の“Sタイプ”、普通免許で運転できる軽量&コンパクトな“ミラクルLight”の4種類がラインアップされています。

“Aタイプ”はポンプ室上部の左右に、火災現場におけるホースの出し入れをスピーディかつ容易に行なえる展開式ホース枠を装備。さらに後部ボディ内には、最大左右各2名の座席が確保されています。“Bタイプ”はポンプ室上部の左右に、“Aタイプ”の展開式ホース枠に替えてアルミシャッター付きボックスを装備。火災現場で必要な各種機材などを収納することができます。“Cタイプ”は最もデザイン性に優れたモデルで、各種機材の収納スペースを充分に確保しています。オールシャッター仕様により、吸水口などの凍結を防ぐ事ができ、降雪地帯に対応したモデルです。

モリタの安全機能付ポンプ操作盤『e-モニタ』。自動揚水装置とチェックモニタ装置で構成され、ワンタッチ操作で揚水の自動化を実現。高い安全性と確実性を発揮し、万が一の事故から消防隊員を守る。(PHOTO:モリタ)

“Aタイプ”~“Cタイプ”にはいずれも安全機能付ポンプ操作盤『e-モニタ』が搭載され、上限圧力設定機能・スロットル固定機能により、消防隊員を万が一の事故から守ります。また、車体後部を加納式輅車積載型と箱輅車積載型のいずれかに艤装することも可能になっています。さらに今後、緊急消防援助隊としての出動や消防の広域化で活動範囲が拡大すれば、今まで以上にキャブ内の快適性が重要となることを想定し、“Aタイプ”~“Cタイプ”および“Sタイプ”には、キャブ内の居住性を重要視して快適性を向上させ、収納スペースも充実させた「ハイルーフ」仕様が用意されています。

“Sタイプ”は高性能ポンプMD260Aと抜群の真空性能をもつ大容量無給油式ロータリー真空ポンプ2基の組合せにより、より速い揚水タイムと送水タイムの双方を実現、利用者の声から生まれたポンプ室レイアウトと専用電子式スロットル装置、および配管抵抗とエアー溜まりの低下・減少を促す改良が施されています。

“ミラクルLight”は、平成29年3月12日の改正道路交通法の施行により、普通自動車免許で運転できる消防ポンプ自動車の重量が5トン未満から3.5トン未満に引き下げられたことに対応し、現在の普通自動車免許で運転できるよう軽量化された仕様です。軽量化されながらも消防ポンプ自動車に必要な動力取出し装置を新たに設けることで、A-2級ポンプ性能を実現しており、小型でスマートなデザインながら収納スペースも確保されています。

『トミカ』同様のトヨタの7代目ダイナのシャシーを使用した、岩手県一関市消防本部で活躍するモリタ CD-I型 ポンプ消防車。側面がアルミシャッター付きボックスの最もデザイン性に優れた“Cタイプ”のようだ。(PHOTO:一関市消防本部)

『トミカ』の『No.41 モリタ CD-I型 ポンプ消防車』は外観から見る限り、トヨタの7代目ダイナあるいは日野の初代デュトロをベースとしたCD-I型“Aタイプ”のようです。日本全国で活躍している標準的な「消防車」、ぜひコレクションに加えたいですね。

■モリタ CD-I型 ポンプ消防車(トヨタ 7代目ダイナ/日野 初代デュトロ 4WDシャシー仕様)主要諸元 (『トミカ』モデル車種と同一規格ではありません)

全長×全幅×全高(mm/各部寸法は概算):5750×1900×2760

ホイールベース(mm):3400

トレッド(前/後・mm) :1410/1435

車両総重量(kg):6195

エンジン:N04C-TJ型 直列4気筒ディーゼル

排気量(cc):4009

最高出力: 100kW(136ps)/3000rpm

最大トルク:353Nm(36.0kgm)/1600rpm

トランスミッション:5速MT

サスペンション(前/後):ダブルウィッシュボーン/リーフリジッド

ブレーキ(前後) :ディスク

タイヤ:(前後):185/85R16

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部