カブベースならエイジングも味わいに、”ゴロツキチョッパー”

前回の記事ではGARAGE521によるコンプリート・カスタム車両を紹介した。続く今回は定番スタイルではないカスタム車両を紹介しよう。基本的にGARAGE521ではスーパーカブ最大の特徴であるレッグシールドを取り外すことからカスタムが始まる。さらに前後フェンダーを取り外しハンドルを変更することで「カブらしさ」を払拭しているのだが、まず紹介する「ゴロツキチョッパー」はよりカスタムを進行させたものとお考えいただきたい。

名付けて「ゴロツキチョッパー」。

「ゴロツキチョッパー」最大の見どころはフロントに21インチもの大径ホイールを履かせていることだ。しかも前後ともにシンコー・アドベンチャートレイルというブロックタイヤを履かせることで、アメリカン・チョッパーにプラスアルファの魅力を与えている。21インチもの大径ホイールを履かせるには、純正フロントフォークでは無理がある。そこでMD郵政カブ純正のフロントフォークを移植しているのだ。

左右2本出しになったマフラーがリヤスタイルの決め手。

リヤから見ると130/80-17サイズのブロックタイヤが走っているかのような印象を受ける。さらに左右2本出しとされたアップマフラーがド迫力。C50エンジンがベースながら110ccまでボアアップを施し、PE24キャブレターを組み合わせているので、これだけのマフラーでないと役不足といったところだろう。実はこのマフラーエンドはJA11ジムニー用なんだとか。

フロント21インチタイヤによりカブとは思えないロングホイールベースを実現。

純正に変えてアップハンドルとしているのは、ホンダ・ジャズの純正をナロー化して装着したもの。GARAGE521オリジナルのソロシートと合わせて、ライディングポジションは意外なほど自然。ダイヤモンドウインカーやアイアンクロステールなど灯火類を総交換してあり、若尾さんが目指す「カブらしくない」スタイルとなっている。このようなカスタムも受け付けてくれるのだ。以下は細部をご覧いただこう。

あえてサビを残したフロントフォークは郵政MDカブのもの。
リヤ130/80-17タイヤを収めるためフェンダーをカットして加工する。
サイドカバーはスチール製によるワンオフ品だ。
ナットを溶接して製作されたキックペダル。

20世紀なケンヂカブ

次に紹介するのが漫画『20世紀少年』の劇中車である「ケンヂカブ」を実車で再現したものだ。劇中車を再現しているのでGARAGE521定番の純正パーツ外しはほとんどされていない。ただ天まで届くかのようなアップハンドルにC100風レッグシールド、CM90レプリカヘッドライトなどでフロントを初代スーパーカブのような印象としている。

『20世紀少年』の劇中車を模したケンヂカブ。

ベースになったのはスーパーカブ90カスタム。ヘッドライトやハンドルは変更してしまうのだから、ベースが角目であっても何の不都合もないというわけ。そのためサイドカバーは角張ったものとなっているのはご愛嬌。この超アップなハンドルはエイプ用のバーハンドルを加工しつつ、100mmほど延長させたもの。純正部品を流用するのが得意なGARAGE521らしいところだが、同店オリジナルのソロシートやドラッグパイプマフラーを装着していることもスタイルを語る上で欠かせない要素となっている。以下は写真とともにご覧いただこう。

ベースになったのはスーパーカブ90カスタム。
エイプ用ハンドルを100mmロングに加工してある。
初代であるC100用レッグシールドを加工して装着してある。
GARAGE521オリジナルのソロシートにバッグが似合っている。
GARAGE521オリジナルのドラッグパイプマフラー。
ハンドチェンジになるジョッキーシフト。

レストアもお手のもの! TL50バイアルス

こちらはスーパーカブ以外の1台から。写真だけ見るとフルノーマルのTL50バイアルスで、カスタムショップの車両としては?な印象だろう。実はこのバイアルスは若尾さんがお父さんにプレゼントするため製作されたもの。元の姿は立派なサビが随所に浮き出ていた状態で、ここまでにするためフルレストアと言っていい作業が行われている。GARAGE521はカスタムショップではあるが、自社で外装やフレームの剥離塗装から機能部のオーバーホールまで行い外注に出さないことが特徴。そのため、レストア作業に必要なスキルがすべて備わっているのだ。

若尾さんがお父さんへプレゼントするためレストア中のバイアルス。

元々の部品をそのまま生かしたのは燃料タンクくらいなもので、それ以外はほぼ再生作業やストック部品への交換が行われている。と言っても新品部品が出るのは数えるくらいなもので、長年若尾さんがストックしてきた貴重な部品ばかり。純正部品を流用することでカスタムを図るGARAGE521ならではの品揃えなのだろう。

タンクは塗り直していないというから元の状態が悪くなかったのだろう。

一番困ったのがマフラー。サイレンサー付近は腐食が多く穴だらけの状態だったのだ。溶接も得意なGARAGE521だから穴を塞ぐ作業はお手のもの。ただ、そのままでは溶接痕が残ってしまう。丁寧に研磨と磨きを行ってから塗装を施すことで新品マフラーのような状態にしているのだ。カスタムはセンスだけでなく技術も必要だということを、レストア車を通じて教えられた。

GARAGE521オリジナルのサイドバッグを装着。
徹底的な磨き作業によりピカピカになったホイールリムやブレーキが美しい。
オーバーホールされたエンジンも美しく磨かれている。
サビ穴だらけだったとは思えないマフラー。
フレーム塗装が見事なら使用するボルト&ナットはすべて新品にされている。