日産の業績回復が進むなか、次なる成長戦略として注目されるのがNISMOブランドの拡大である。これまでNISMOはGT-RやフェアレディZ、スカイラインなどを中心に高性能モデルを展開してきたが、今後は新たな領域へ進出する可能性が浮上している。

日産 Navara 4X Warrior

その候補として有力視されているのが、高性能オフローダー市場である。

メディアの報道によると、日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)の真田裕CEOは、オーストラリア、北米、中東といった重点市場において、NISMOブランドの新たな展開を検討していることを示唆したという。

パトロールNISMO

現在、日産は中東市場向けに『パトロールNISMO』を展開している。大型SUVに高出力エンジンと専用チューニングを組み合わせた同モデルは、高性能SUVとして一定の評価を獲得しており、NISMOにとってオフロード系モデル開発の重要な経験となっている。

さらに日産は、次世代フロンティア、パスファインダー、そして復活が噂されるエクステラなどに採用される新世代ラダーフレームプラットフォームの開発を進めているとされる。

このプラットフォームは、本格SUVやピックアップトラックを前提に設計される見込みであり、NISMO仕様を展開するうえで理想的なベースとなる。

なかでも注目されるのが、新型エクステラである。北米市場向けに開発が進められているとされる同モデルは、V6エンジンを搭載する本格SUVになる可能性が高い。もしNISMO仕様が設定されれば、フォード・ブロンコ ラプターやジープ・ラングラー 392といった高性能オフローダーに対抗する存在となるだろう。

近年、自動車メーカー各社は高性能オフロード市場への参入を加速させている。

フォードは『ラプター』ブランドを拡大し、オフロード性能を新たなブランド価値として確立しつつある。またBMWも、将来的な高性能オフロードモデル投入の可能性を否定していない。

背景にあるのは、従来のスポーツカー市場だけでは成長が見込みにくくなっていることだ。SUV人気が世界的に続くなか、高性能とオフロード性能を融合したモデルは新たな収益源として注目されている。

日産にとっても状況は同じである。NISMOブランドをスポーツカーだけに限定するのではなく、高性能SUVや高性能ピックアップへ拡大することで、新たな顧客層の獲得が可能になる。

もちろん現時点で具体的な車名や投入時期は明らかになっていない。しかし、新世代ラダーフレームプラットフォームの存在や重点市場の動向を考えると、NISMOが次に狙う舞台が高性能オフローダーである可能性は十分にある。

もし実現すれば、それは単なる派生モデルの追加ではない。NISMOがGT-RやZのイメージに依存するブランドから脱却し、新たなパフォーマンスブランドへ進化する転換点になるかもしれない。