ワンモーションフォルムが特徴だった「エスティマ」シリーズ

トヨタの名車「エスティマ」が復活する可能性が再び注目を集めている。

トヨタ エスティマ

1990年に誕生した初代エスティマは「天才タマゴ」の愛称で親しまれた。ミッドシップレイアウトによる低重心パッケージとワンモーションフォルムを融合した先進的なデザインに加え、ミニバンでありながら優れた操縦安定性を実現し、独自のポジションを築いたモデルである。しかし2019年に国内販売を終了し、その役割は「アルファード」と「ヴェルファイア」へと引き継がれた。

トヨタ ヴェルファイア

エスティマ復活の可能性は?

一方で、現在のトヨタのミニバンラインアップを見ると、エスティマが復活する余地は十分残されている。

最大のポイントとなるのは、アルファード/ヴェルファイアとの差別化だ。現行モデルはショーファーカーとしての価値を徹底的に追求し、高級セダンに匹敵する快適性と質感を備えたプレミアムミニバンへと進化した。価格帯も500万円台から1000万円超まで拡大しており、高級路線はすでに完成形に近づいている。

トヨタ アルファード/ヴェルファイア「エグゼクティブラウンジ」

そのため、新型エスティマが同じキャラクターで登場する可能性は低いだろう。
むしろ期待されるのは、「走る楽しさ」を前面に押し出したミニバンという新たな方向性である。

歴代エスティマの特徴だった、全高を抑えたワンモーションフォルムを継承。空力性能を高めながら操縦安定性も追求することで、アルファードが「高級ラウンジ」なら、エスティマは「ロングツアラー」という立ち位置を担う可能性がある。

トヨタ エスティマ 次期型 予想CG

パワートレインはPHEVが最有力候補と考えられる。
トヨタは「RAV4 PHEV」や「アルファードPHEV」で高出力ハイブリッドシステムを実用化しており、その技術を活用すれば、高い静粛性と力強い加速性能、そして長距離巡航性能を兼ね備えた新世代ミニバンを実現できる。日常ではEV走行、高速道路ではハイブリッドシステムによる余裕ある走りというキャラクターは、エスティマの方向性ともよく一致する。

トヨタ アルファード/ヴェルファイア 2.5Lハイブリッドシステム

もちろんBEV化という選択肢も考えられる。

2023年のジャパンモビリティショーで公開された「X-VAN GEAR」は、将来の電動ミニバンを示唆するコンセプトとして注目を集めた。トヨタが開発を進める次世代EVアーキテクチャを採用すれば、BEVエスティマが誕生する可能性もある。しかし、日本市場では大型BEVの普及はまだ発展途上であり、商品性を考えれば、まずはPHEVから投入する可能性が高いと考えられる。

トヨタ X-VAN GEAR CONCEPT

デザインには最新のハンマーヘッドデザインを採用しつつ、歴代エスティマの象徴だった未来的なワンモーションフォルムを現代風に再構築することが期待される。薄型LEDデイタイムランニングライトと独立式ヘッドライトを組み合わせたフロントマスクを採用すれば、新世代トヨタ車としての存在感も十分に演出できるはずだ。

トヨタ エスティマ 次期型 予想CG

価格はHEVが550万~650万円、PHEVが650万~750万円程度に設定されれば、アルファードPHEVとの差別化も図りやすい。BEVについては800万円前後となる可能性があるが、市場環境を考えれば後発となる可能性が高そうだ。

登場時期については、2027年のジャパンモビリティショーでコンセプトモデルを公開し、その後2028年前後に市販化するシナリオが現実味を帯びてくる。

かつて「天才タマゴ」と呼ばれたエスティマは、単なるファミリーミニバンではなく、走りとデザインを高い次元で融合した存在だった。そのDNAを継承し、電動化時代にふさわしい「走りのミニバン」として復活できれば、アルファードやヴェルファイアとは異なる新たな価値を提案する1台となるだろう。