後方視界が遮られると安全運転義務違反などに問われるおそれも

週末のまとめ買いや家具の購入、あるいは一人でのドライブの際など、トランクの容量を超えるような段ボールや大きな荷物を助手席や後部座席のスペースに高く積み上げて持ち帰りたくなる場面は、誰しも経験があるかもしれない。
実際、助手席や後部座席に荷物を高く積み上げながら走行している車を目にすることも少なくないが、果たしてこの行為は交通違反に該当しないのだろうか。

結論から言えば、荷物を積んだことによって後ろが見えない状態になったとしても、それがただちに交通違反として取り締まりの対象になるわけではない。
道路交通法において「ルームミラーで常に真後ろが完全に確認できなければならない」といった明確な基準が設けられているわけではないため、直ちに違反切許を切られるとは限らないのだ。

しかし、積み上げた荷物で左側の窓やルームミラー、バックミラーが見えなくなると、運転に必要な視界を妨げたとして安全運転義務違反などに問われるおそれがある。
たとえば、車内に積んだ段ボールによって左側の窓が塞がっていると死角が大きくなり、車線変更や左折時に歩行者などの巻き込み確認ができず、重大な事故につながるリスクが高まってしまう。
このような状態で運転を続けることは、周囲の状況を的確に確認できる状態でハンドルを握るという、ドライバーの基本的な責任を果たしていないと判断される可能性が高いため、警察官の客観的な判断によって安全運転義務違反や乗車積載方法違反とみなされ、罰則の対象となるケースも十分に考えられる。
なお、もし安全運転義務違反と判定された場合は普通車であれば違反点数2点にくわえて、反則金9000円が科されることになる。
また、乗車積載方法違反に問われた場合は普通車で違反点数1点、反則金6000円が科されるため注意しなければならない。
走行中の荷崩れによる操作ミスや交通事故のリスクにも要注意

さらに、車内に大きな荷物を高く積む行為には視界不良といった問題だけでなく、物理的なリスクも潜んでいる。
たとえば、助手席に高く積み上げられた荷物が運転席側に崩れてくると、ドライバーの腕や体に直接ぶつかり、一瞬のパニックを引き起こして操作ミスを誘発する原因になりかねない。
また、崩れた荷物が足元に転がり落ちてブレーキペダルの裏に挟まってしまうと、いざというときに車を減速させることができず、大惨事に直結するおそれもある。
車内は走行中に常に路面からの振動や遠心力の影響を受けているため、ただシートの上に無造作に置いただけの荷物は、想像以上に簡単にバランスを崩してしまうというわけだ。

このような不測の事態を防ぐためにも、大きな荷物を車内に載せる際は後方や左右の死角を作らない高さに抑え、足元などにしっかりと固定して運転するのが重要になる。
そのうえで、座席の上ではなく重心が安定しやすい足元のフロアスペースを優先して活用したり、シートベルトなどを使って荷物が動かないよう工夫することが求められるだろう。
周囲の安全確認を妨げず、万が一の急ブレーキでも荷崩れを起こさないよう配慮することが、自分と周囲の安全を守るための正しい荷物の運び方といえそうだ。
