欧州60年代クラシックカーの美しさ

7月31日(金)より東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、シネスイッチ銀座、UPLINK吉祥寺ほかにてリバイバル上映される『気狂いピエロ』は、当時35歳のゴダールが手がけたヌーヴェル・ヴァーグ後期の名作。ゴダールの元妻アンナ・カリーナと、この作品を最後に彼と決別することになるジャン・ポール・ベルモンドが出演した、各々がキャリアの臨界点で燃焼しつくした奇跡的傑作です。
――金持ちの妻との生活に退屈していたフェルディナンは、ベビーシッターとしてやって来た元恋人マリアンヌと思わぬ再会を果たします。一夜を共にして翌朝目覚めると、彼女の部屋には首から流血した男の死体が。驚くフェルディナンでしたが「訳は後で話す」というマリアンヌと一緒に、着の身着のまま南仏へと逃げることになり……。
本作は、裕福な妻との生活に退屈した男が元恋人と再会し、逃避行の末に刹那的な愛と破滅へ向かうロードムービー。彩色豊かな映像と矢継ぎ早な展開は白昼夢のようでもあり、しかし赤や青など多彩なクラシックカーが現実世界へと強引に引き戻してくれます。

逃げる二人が最初に乗るのは1964年式の真っ赤なプジョー・404。それを躊躇なく乗り捨て、シルバーボディ―に赤い内装が派手な1961年式のフォード・ギャラクシー・サンライナーを奪うと、その後いろいろあって、濃紺ボディがクールな1963年式のアルファロメオ・ジュリア1600スパイダーで爆走します。
さらにフェルディナンは1965年式の赤いアウトビアンキ・プリムラを手に入れ、マリアンヌが駆る青いアルファロメオとのコントラストを強調。まるでフランス国旗の色のような60年代の美しいクラシックカーたちを取っ替え引っ替えする様子を観ているだけでもまったく飽きさせないあたり、さすがのゴダール映画なのでした。
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