1974年くらいの4Lモンキーを当時風にカスタムした好例で、その姿は1980年代くらいの第一次モンキーブームさながら。使われたパーツも当時のものばかりでオーナーのこだわりを感じさせる1台。面白いところでシートはTL50純正を移植している。

カスタムテーマは「温故知新」

現代の技術や製品を使ってカスタムすれば、確かに古いモンキーの走りやスタイルは激変する。でも、速さやスタイルばかりを追い求めるのではなく、別のことにこだわりを通してカスタムするオーナーも存在する。現在60代以上の年齢層なら70年代から80年代にかけて巻き起こった第一次モンキーブームをご存じだろう。その当時にも数多くの社外部品が販売され、カスタムシーンを大いに盛り上げた。工作精度や加工技術は現在のものと比較にならないほど低いが、当時を知る世代には永遠の憧れ的な存在だ。

オーナーの小田部さんいわく「温故知新」をテーマにカスタムされた。外装は輸出仕様のカラーリングとされ、JRP製のテレスコ式フロントフォークや純正を加工してロングにしたスイングアーム、JRP製2.5Jサイズのキャストホイールで大きくイメージを変えている。

古いモンキーと言っても一括りにはできない。何度かのモデルチェンジを繰り返しているからだ。なかでも1974年にモデルチェンジしたZ50J型、通称「4リッター」モンキーは今でも根強い人気を誇る。4リッター容量の台形タンクが特徴で、6V電装ながら前後にサスペンションが採用されたことで大いにヒットした。その4Lモンキーをカスタムするなら、やはり当時のパーツにこだわりたい。63歳のオーナー小田部さんもそんな気持ちから今の姿へと作り上げたのだ。

トリプルディスクブレーキ!

小田部さんはとりわけJRPにこだわっている。そもそもJRPは大阪の武川兄弟がSP武川を興した時に別ブランドとして展開した名称で、この車両でもポイントカバーに使っているマイトと同じ場所で商売を始めたという。今ではSP武川だけが残っているわけだが、当時はブランドを多角化してブームに一役買ったのだろう。今でもJRP製パーツを装着したモンキーを見ることはできるが、このマシン最大のハイライトはディスクブレーキだろう。

フロントダブルディスクブレーキがモンキー用に存在していたことを知る人は少ないのではないだろうか。フロントフォークとともにディスクブレーキは当時のJRP製でキャリパーサポートに沿うように伸ばされたパイプは三叉付近で集合している。

なんとフロントにダブルで装着され、リヤには片側だけながら3つともJRPのディスクブレーキとなっているのだ。特にフロントのダブルディスクはなかなかお目にかかることのない貴重なパーツ。マスターシリンダーからのホースが三叉付近にあるブロックで左右に分岐され、そこから先はパイプでディスクキャリパーまで連結されている。しかもブレーキパイプは専用のキャリパーサポートに沿う形で配置される凝ったもの。もちろん、JRP製フロントフォークの装着が前提になるが、この車両は抜かりなく装着されている。

もちろんリヤもJRP製のディスクブレーキとしている。純正スイングアームを加工して45mmほどロングにしてあり、その上へマスターシリンダーが配置される独特の構造。マスターからのホースが一度上へ伸び、そこから下のキャリパーまでブレーキパイプがつながる。

安易にキットを頼らず独自ボアアップ!

足まわりが特徴的すぎるのだが、もちろんエンジンにも手が入っている。一般的にはボアアップキットを用いてチューニングするが、小田部さんは当時流にこだわって着手している。ヨンフォアことCB400FOURのピストンを加工してφ51mmにすると、当時モノのSP忠男製クランクシャフトと組み合わせた。これで排気量は91ccになり、やはり主流の88ccなどと差別化している。またエンジンの特性を大きく変えるカムシャフトはY2カムとすることで高回転までキレイに回るよう組み立てている。

アルミシリンダーを用いて91cc化してあるエンジン。当時のSP忠男製45.4mmクランクシャフトとCB400FOUR純正ピストンを加工してφ51mmにしたものを組み合わせている。ダイシン製乾式クラッチを介してホンダ純正SS50用5速ミッションに伝達される。

エンジン本体だけでなく吸排気系や駆動系にも当時モノのパーツをふんだんに用いている。キャブレターはPC18なのだが、燃料を貯めておくフロートチャンバーが透けている。これはスーパーモンキーの黎明期に存在したパーツで、油面調整に寄与することだろう。またマフラーはSP武川製で当時のものらしく派手さ控えめで純正に近い形状をしている。さらにクラッチはホンダSS50純正の5速ミッションを移植。クラッチはダイシン製の乾式とされ、穴あきカバーが特徴的だ。

貴重な「コブヘッド」にJRP初期のタコメーター取り出しを装着。ヘッドカバーやオイルクーラーまでJRP製で統一され、クリアなフロートチャンバーが特徴的なキャブレターはスーパーモンキー黎明期の貴重なPC18。マイトのポイントカバーも貴重だ。

アルミシリンダーに組み合わされたシリンダーヘッドは左上にコブのような盛り上がりがある通称「コブヘッド」。古い横型エンジンに見られる特徴で今や貴重品。そのヘッドにはJRPのタコメーター取り出しやヘッドカバーが装着されている。もちろんオイルクーラーもJRP製だ。さらにポイントカバーは前述したマイト製で「これでもか」と言わんばかりの当時モノパーツが使われている。また不安定な6V電装のため、サンヨーテクニカのICイグナイターでセミトラ化している。

デイトナはディトナだった?!

外装は輸出仕様のカラーリングにしてある程度ながら、ハンドルは乗りもの館のコンチハンドルに変更されている。面白いところでは左右のレバーを変えていて、右レバーはディスクブレーキ化に伴いマスターシリンダーがあるホンダCB750FOUR純正を加工して装着。左にはロードパル純正をそのまま使っている。さらにハンドル左には16000rpmスケールのタコメーターが追加されている。よくよく見ると盤面に「ディトナ」の文字がある。これは今も続くパーツメーカーであるデイトナの古い時代の表記で、取り扱いが阿部商会だった頃のブランド名なのだ。

乗りもの館のハンドルにセットされたタコメーターは1万6000rpmスケールのデイトナ製。よく見ればデイトナの表記が「ディトナ」でイが小文字になる。これは阿部商会時代の古いデイトナ製品の特徴で現在とは表記が異なる。ちなみに左レバーはロードパル用で右はCB750FOUR用を加工したもの。

ただでさえ希少なパーツなのに、惜しげもなく使ってカスタムされた4Lモンキーには、やはり既存パーツでカスタムしたマシンとは一線を画した魅力がある。中には今でもオークションなどで見つけることができるパーツもあるから、少々エッセンスを真似したカスタムなら可能だろう。当時風にこだわるオーナーの気持ちをご理解いただけただろうか。

タンクキャップはゲージ付きのものに変更している。これは70年代に販売されていた朝日電装の製品で、今でもプレミア価格がついており、個人売買などで見つけられる。

撮影したのはこのEVENT!

「第18回モンキーミーティングin多摩」
■開催日:2026年5月17日(日)
■開催地:東京サマーランド 第2駐車場(東京都あきる野市)

こちらの車両はマニアックなモンキーが大量に集う老舗イベント「モンキーミーティング」で撮影。詳細はこちらのWEBをチェック!
当日のイベント模様はコチラから!

「500台超のモンキーが東京サマーランドに集結!」第18回モンキーミーティングin多摩は“濃すぎるファン”だらけ! | Motor Fan|自動車情報のモーターファン

多摩テックから続く、“モンキー文化”を受け継ぐ場所 会場となった東京サマーランドには、歴代モンキーやゴリラをはじめ、4L仕様、Z2仕様、レーサー風カスタム、当時仕様レプリカなど、多彩なマシンが集結。ノーマル派から超マニア […]

https://motor-fan.jp/article/1489202/

【モトチャンプ】