マツダCX-5 XD:SKYACTIV-D2.2の進化ときめ細かいアップデートでCX-5は上質さに磨きをかけた
- 2020/04/15
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世良耕太

マツダCX-5の最新モデル、特別仕様車のXD Silk Beige Selectionに試乗した。SKYACTIV-D2.2搭載の4WDモデルだ。マツダらしい弛まぬ商品改良のおかげで、エンジンも装備も確実に魅力アップしている。どこがブラッシュアップされたのか?モータリングライターの世良耕太が試乗した。
TEXT&PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)
劇的に進化したSKYACTIV-D2.2

マツダCX-5に乗った。SKYACTIV-D 2.2(2.2ℓ直4ディーゼル)を搭載した、特別仕様車のXD Silk Beige Selectionである。この特別仕様車の「特別」な点は、スウェード調のグランリュクスをシート中心部に使用したシルクベージュ色のハーフレザーシートを装備していることだ。ほかに、LED室内照明(マップランプ/ルームランプ/ラゲッジルームランプ)、前席用LEDフットランプ&イルミネーション、IRカットガラスを備える。

CX-5は2016年12月15日に予約受付を開始し、17年2月2日に販売を開始した。18年2月8日に最初の商品改良を行ない、このタイミングでSKYACTIV-D 2.2は大幅に進化した。投入した技術を列挙すると以下のようになる。
・急速多段燃焼
・段付きエッグシェイプピストン
・超高応答マルチホールピエゾインジェクター
・可変ジオメトリーターボチャージャー
急速多段燃焼はデンソーのi-ARTを採用することで可能になった。i-ARTは小型化した圧力センサーと制御基板を各インジェクターに搭載し、インジェクター内部の燃料圧力と温度の変化を高精度に測定する。これにより、燃料噴射の量と圧力を高い精度で制御できるようになった。i-ARTはソレノイド式インジェクターとの組み合わせも可能(ボルボのD4、2.0ℓ直4がそう)だが、マツダは応答性の高いピエゾ式インジェクターを継続採用する。最大噴射圧は前型と同じ200MPaだ。
2回以上という意味では従来も多段だったが、もっと多段に噴射することが可能になり、燃焼効率が高くなって、音の発生が抑えられるようになった。とくに軽負荷領域での効果が大きい。新SKYACTIV-D 2.2は、燃料噴射系の変更に合わせてピストン形状を変更。空気と燃料のミクスチャーを促進するとともに、冷却損失の低減などを図っている。大小のターボチャージャーを使い分ける2ステージターボなのは初代CX-5(2012年)とともにデビューした初代SKYACTIV-D 2.2と変わらないが、新SKYACTIV-D 2.2は大径ターボを制御性の高い可変ジオメトリーターボに変更した。
SKYACTIV-D 2.2の呼称こそ変わらないが、変更の範囲は広く、劇的に進化している。14.0だった容積比は14.4になり、最高出力/最大トルクは175ps(129kW)/420Nmから、190ps(140kW)/450Nmに向上している。新SKYACTIV-D 2.2は17年12月14日に発売されたCX-8に初めて投入された。筆者は18年1月に試乗し、静かで力強い走りに感銘を受けたのを覚えている。

CX-8より100kg以上も軽いのだから(試乗車の車重は1690kgだった)、CX-5を気持ち良く走らせることなど、新SKYACTIV-D 2.2にとって朝飯前である。というようなことが、運転してみて確認できた。アクセルペダルを踏み込めば間髪入れずに力強い力を出してくれるエンジンの、なんと頼もしいことか。交差点で左折した先が上り勾配になっているシチュエーションでの加速や、ETCゲートを通過した後の加速、走行車線を走っている極端に遅いクルマを追い越すとき(一般道、高速を問わず)などで、新SKYACTIV-D 2.2の頼もしさを実感した。これは、病みつきになる。
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