連載

内燃機関超基礎講座

X-RANGE C15=エンジンを“後付けユニット”化したもの

X-RANGE C15ユニット。エンジンは1.5L直4横倒しだ。

北京モーターショー2026のHorse Powertrainブースで、もうひとつ強い印象を残したのが「X-RANGE C15」だった。

このユニットは、従来のエンジンとは発想そのものが異なる。1.5リッター直列4気筒というスペック以上に重要なのは、エンジンと発電機を一体化し、ひとつのモジュールとして完結している点だ。

最大の特徴は、BEVプラットフォームに最小限の変更で追加できることにある。車両前方だけでなく、シート下や後方にも搭載可能で、縦置き・横置きの制約もほとんどない。つまりC15は、電気自動車を設計したあとに「必要ならエンジンを追加する」ための装置なのである。

エンジンはもはやクルマの中心ではない。必要に応じて組み込まれる“機能モジュール”へと変わりつつある。北京モーターショー2026では、その変化が明確に示されていた。

エンジンのアフタートリートメント機構部分まで入ってこのコンパクトさ。

X-RANGE C15の主な仕様は以下の通り。

・直列4気筒/1.5L
・最高出力:NA 70kW/ターボ 120kW
・圧縮比:14.5(NA)/11.0(ターボ)
・燃料供給:直噴
・燃料:ガソリン/e-Fuel対応
・サイズ:500×550×275mm

非常にコンパクトで、横倒しに配置された直列4気筒エンジンに発電機を統合した“ウルトラコンパクト・パワートレーン”となっている。

従来のレンジエクステンダーは、エンジン、発電機、補機、冷却系といった要素が分離していた。それに対しC15は、

エンジン出力は発電線用と割り切っているのでNAで70kW程度だが十分だろう。

「すべてを一体化したモジュール」
として設計されている。

この違いは大きい。通常、BEVとPHEV/REEVはまったく別の設計思想で作られる。しかしC15を使えば、BEVをベースにしながら、後からエンジンを追加することが可能になる。

搭載位置の自由度も高い。フロント、リヤ、シート下に加え、縦置き・横置きの制約も少ない。これは、「車両設計を変えずにエンジンを追加する」という思想の表れだ。

技術的にも発電専用ユニットとして最適化されている。自然吸気仕様では圧縮比14.5と高く、効率重視の設計がうかがえる。負荷変動が少ない発電用途だからこそ可能なアプローチだ。また、ガソリンに加えてe-Fuelにも対応し、カーボンニュートラルとの両立も視野に入れている。

X-RANGE C15が示しているのは、「EVを基本にして、必要ならエンジンを足す」という考え方である。

C15 DIRECT DRIVE : さらに割り切った“最小構成”

C15にはもうひとつのバージョンがあった。X-RANGE C15 DIRECT DRIVEである。こちらは、さらに割り切った最小構成の提案だ。C15 Direct Driveは、

  • エンジン+発電機直結
  • トランスミッションなし
  • 駆動には関与しない
  • 完全に“発電専用”

という構成。つまりBEVを最も純粋なレンジエクステンダーにするためのユニットだ。

C15 Direct Driveは、エンジンと発電機を直結したシンプルな発電ユニット。駆動には関与せず、電力供給のみに特化した構成となる。エンジンを“機能モジュール”として扱う思想を、さらに推し進めた形だ。
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前述のW30(V6)が、高性能ハイブリッド向けの統合パワートレーンだとすれば、C15はまったく逆のアプローチだ。こちらは、既存のEVに後から組み込むための発電ユニットである。

このふたつを並べると、HORSE Powertrainがエンジンを“二方向”へ再定義しようとしていることが見えてくる。

ひとつは、電動化と統合された高性能パワートレーンとしてのエンジン。
もうひとつは、必要に応じて追加される機能モジュールとしてのエンジン。

エンジンは消えつつあるのではない。その役割が、分裂し始めているのである。

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