三菱スタリオン2600GSR-VR。

2026年5月24日に開催された「富士山オールドカーフェスタ2026」には、昭和の時代に生産されたキャブレターモデルだけでなく、80年代から90年前後にかけてのネオクラシックカーも展示された。とはいえ、やはり主役は古い旧車がメインでネオクラと呼ばれる年式のモデルはわずかに数台が展示されたのみ。展示されたネオクラでやはり多かったのは日産スカイラインだが、ただ1台展示されていたスタリオンを紹介しよう。

今のクルマには求め得ない角張ったスタイルが特徴。

80年代初頭の三菱自動車はアメリカのクライスラーと提携関係にあり、ギャランΛの後継車として北米市場をターゲットに開発されたのがスタリオン。1982年に発売されると北米市場でもダッジ&プリムス・コンクエストとして好調な売れ行きを示し、84年には映画『キャノンボール2』の劇中車にも採用された。国内では当初は2リッターのG63B型エンジンを搭載していた。このエンジンは国産初の空冷式インタークーラーターボを採用していたことでも話題になったもの。

80年代らしいリトラクタブルヘッドライトを採用。

またG63B型エンジン搭載車にはブリスターフェンダーを採用して3ナンバーサイズになるGSR-VRも設定された。このGSR-VRは後にデボネアやギャランΛなどに採用されていたサイレントシャフト付き2.6リッターターボエンジンであるG54B型が採用される。名実ともに3ナンバー車らしい構成となり、88年からは2.6リッターのGSR-VRのみの車種構成となる。

GSR-VRはブリスターフェンダーを採用して3ナンバーサイズのボディが与えられた。

88年のトピックとしては、国産初となる50偏平タイヤが採用されたこと。スタリオンにはフロントに55、リヤに50タイヤが採用され話題となった。そのスタリオンは90年に生産を終了して後継車であるGTOヘバトンを渡すことになる。実に8年近く生産された長寿モデルでもあったわけだが、今でも残っているスタリオンは決して多くない。旧車イベントで見かける機会も年々減ってきたように感じる。

2.6リッターのG54B型インタークーラーターボエンジン。

だから「富士山オールドカーフェスタ2026」の会場で見かけた時には即座に取材をお願いした。と言っても取材しようと近づくとオーナーと思しき人物と来場者がお話で大変盛り上がっている。割り込むのも失礼と近くでお話を聞いていると、どうやら静岡県内のディーラーに長く置いてあった個体のようだ。お二人ともその姿を見て「欲しい」と感じられたそうで、意気投合されたのだろう。

半年に一度のオイル交換が功を奏してエンジン内部は綺麗に保たれている。

お話がひと段落した頃合いをみて話しかけた。オーナーは68歳になる中嶋和章さん。やはりディーラーに保管されている姿を何度も見てきたそうで、その佇まいにノックダウンされてしまう。そこでスタリオンについて聞いてみると、「大事にしてくれるのなら譲ってもいい」とのこと。それが25年ほど前のことで、以来大切に維持してきたそうだ。

サテライトスイッチを備えるメーターパネルが80年代らしい。

スタリオンは見ての通りでステアリングを社外品に変更した以外はノーマルを保っている。唯一無二ともいえるスタイリングのため、純正であることを重視しているのだ。あまり人気のある車種ではないから社外品に変更しようと思ってもパーツがないという事情もあるだろう。

エアコンは今も快調。ダッシュの上にミニカーを置いている。

中嶋さんがこだわっているのは半年に一度、エンジンオイル交換を励行してきたこと。最近になってネオクラを専門に扱うショップ社長と話す機会があり、「ここ数年で購入した場合だと走行距離が年間で数百キロだからとエンジンオイル交換を1年以上しない人が増えた」とのこと。走らせなくてもエンジンオイルは劣化するので、最低でも1年に1度は交換すべき。ところが中嶋さんはそれほど距離を走るわけでもないスタリオンのエンジンオイルを半年ごとに交換している。

ミッションは4速ATながら分厚い低速トルクで乗りやすい。

エンジンオイル交換の話になると中嶋さんは「これを見てください」とオイルフィラーキャップを開けてくれた。するとシリンダーヘッドの上部が見えるわけだが、内部がキレイに保たれていた。オイル交換のサイクルが長いクルマだと、どうしても金属部に劣化したオイルが汚れとして残ってしまう。こまめにオイル交換をすることでトラブルを未然に防ぐという意味合いもある。旧車だけでなくネオクラシックカーにこれから乗ろうと考えているなら、参考にしてほしいものだ。

オプションだった本革張りのシート。