1モーター、2モーター、3モーターと多種多様のシステムを作ってきた
ホンダが展開するハイブリッドシステムの名称が「Honda Hybrid」へ改称されることが発表されて久しいが、去る9月某日、メディア向けにホンダのハイブリッドシステムについての技術説明会と試乗会が開かれた。
ホンダが市販車として初のハイブリッド車を発売したのは1999年、インサイトに積まれた1モーター・パラレル式の「IMA」から端を発する。それから、1モーターの「i-DCD」、2モーターの「i-MMD」、3モーターの「SH-AWD」と、実に3種類もの機構を展開してきた歴史を持つ。現在は2モーター式のi-MMDから改名された「e:HEV」の1機構に絞られている。



ホンダのハイブリッドはハイブリッドでも「エンジン音」もこだわる

e:HEVには、モーターのみで走るEVモード、モーターとエンジンを稼働させるハイブリッドモード、そしてエンジン出力を直に車輪に伝え駆動する独自のエンジン直結モードを持っているのが特徴だ。実際にe:HEV搭載車に試乗すると、低・中速域ではモーターのスムースな加速を見せ、高速域では心地よいエンジンサウンドとともに力強い走りを見せる。この時、ハイブリッドからエンジン直結へと切り替わる瞬間は体感できないほどにシームレスに移行していた。メーター上の実燃費も常に20km/L以上を表示するなど、低燃費性能も充分に備わっている。
一方で、ファンのなかには「ホンダといえばエンジンだ」と思う人も多いのではないだろうか。全世界のホンダファンを虜にした可変バルブタイミング&リフト機構のVTEC、F1への参戦、さらに時計の針を過去に戻せば、1970年代に社会問題となった公害を前に、米国が制定したマスキー法を世界で初めてクリアした低公害エンジン「CVCC」を開発したことなどから、「ホンダといえばエンジン」という印象を抱かせる。しかし、電動化の時代にあっても、「他人の真似をしない」と掲げるホンダ独自の機構を編み出している。
前述のとおり、e:HEVはモーター走行モードのほかに、エンジンの動力のみでダイレクトに駆動するエンジン直結モードを持つが、このエンジン駆動中の「サウンド」もこだわって作り込んだというのだ。このサウンドはエンジニア自慢のポイントのひとつで、「ハイブリッドだけども、より良い音に仕上げた」と胸を張る。さらには、制御系もかつての2代目NSXで培ったSH-AWDといったプログラムも取り入れたという。ただ効率を追求するならエンジンは徹底的に黒子に徹していればいいはずだが、電動であっても「走り」の楽しさを損なわないよう細部にわたって作り上げたところはとてもホンダらしい。

ハイブリッドというと、エコロジーの理念からモーターを積極的に活用する機構が主流で、低燃費・走りの双方で一目置くほどの優れたシステムは多数存在する。そのなかでホンダが作り上げたハイブリッドとは、環境も効率も、何より「走り」も譲らないユニットなのだ。e:HEVの機構をじっくり見て、試乗すると「両者の長所を活かし、かつエンジンも主役である」ことを体現すべく、「これでもっと走りたいと思わせたい」という気概を強く感じられた。走りのホンダ、エンジンのホンダ魂は今も昔も変わらず、健在なのだ。


CR-V搭載の2段変速・並列型e:HEVの動力伝達も詳説




フィット、シビック、プレリュードなどに搭載される同軸型e:HEVと比べて、詳細な情報が少ない並列型e:HEV。ユニット内部のどこに何のギヤがあり、どういったシャフトが通っていて、ドライブモードごとにどのようなギミックでトルクが伝達されているのか? パワーフローに関する取材には、同イベントに参加してくださった駆動系のエンジニアに直接お話を伺うことができた。
こちらの記事は、Motor Fan illustrated Vol.241「どうなるクルマの電池?」にて、2段変速・並列型e:HEVのメカニズムを紐解く特集を掲載している。ぜひそちらの紙面(大きな判型で見やすい!)と、この記事に掲載した写真もセットで見比べながら「脳内」でその動作をシミュレーションしてみてほしい。駆動系のメカニズムは最初こそ難解かもしれないが、ひとつずつ噛み砕いて理解するたびに「面白い!」と感じられること請け合いだ。エンジニアに限らず、メカが好きで勉強する方々にもオススメしたい。
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Motor Fan illustrated Vol.241
特集「どうなるクルマの電池?」
世界的にも当たり前の存在となってきたハイブリッド車や、昨今注目を浴びている電気自動車(以下BEV)において、絶対に欠かせない部品のひとつである“電池”。日常生活においてもスマホなどあらゆるものに使われているが、ことクルマの世界においては、この電池性能が電動車としての商品力を大きく左右するといっても過言ではなく、構成部品のなかでもより高い重要度に位置する部品となっている。巻頭特集では、電動化に伴ってますます注目される“クルマの電池”と、その電池と同等に肝要となってくる“電動駆動ユニット”の最新事例を多数の写真・図版とともにわかりやすく紐解く。また、改良型マツダ・ロードスター試乗記や、スズキの技術戦略説明会リポートも掲載。