1991年に誕生! モンキーから生まれた小さな異端児
50年以上の歴史を持つモンキー。その折り返し地点である1991年に、とある派生種が生まれた。それが「モンキーBAJA(バハ)」だ! デザートレーサーの名を冠したモデルで、二灯ライトや樹脂カウル、ハンドガードなどの本格装備をモンキーに落とし込んだ珠玉の一台。フレームやスイングアーム、ホイール、ウインカーボディなどをホワイトに仕立てた明るいイメージのカラーリングも目を見張る。
モンキーをベースにXLR/XRシリーズの外観イメージを採用し、15W×2のデュアルヘッドライトやナックルガード、フロントフォークプロテクターなどを装備したモデルとなっている。

デビュー当時は白/赤のみだったが、1992年式からは写真のようなトリコロールのスプラッシュデザインを採用し、青いフロントフォークを携えて同年のXLR250バハの子供のような様相に! また同時期には“モンバハ”のコンペ仕様とも言えるZ50Rも日本で発売されてレジャーブームを後押しした。

こちらは1992年モデルのXLR250BAJA。トリコロールのグラフィックや青い足周りなど、1992年式モンキーBAJAとの“お揃い感”はかなり強い。

撮影にご協力いただいた車両オーナーの松永さんは20代のヤングマン! 各部の再塗装やステッカーの製作など、レストア作業に没頭する日々を送る。なお普段のアシはスーパーカブカブC125。
59kgの軽さでトコトコ! 原っぱが似合うレジャーバイク
モンキーの派生種としては1987年にモンキーRが発売されており、モンキーBAJAの追加によってオン/オフで棲み分けがなされたことになる。
モンキーRはツインスパーフレームに最高出力4.5psのパワフルなエンジンを搭載。足周りも10インチの大径で通常のモンキーとは別物だが、バハはカウルの造形でフレームの一部やマフラーが異なる程度だ。しかし、モンキーBAJAはモンキーRと同じバッテリーレス仕様なうえ、外装の差異などもあってモンキーよりも4kgほど軽量。車両重量59kg、乾燥重量55kgと60kgを下回る車重は押し歩きでも軽く感じる。
実際に走ると、意外にもググッと下からトルクが乗ってくる。馬力(3.1ps)やギヤレシオも同時期のモンキーと同じで、トコトコと頑張って進む姿に思わずニンマリ! 原っぱを走ったり、細い小道に突っ込んだり、オフルックだけに本来のレジャー用途が様になりそう!

パッチリした丸目2灯に大きなナックルガード。正面から見ると、コミカルさと本格オフ感がうまく同居している。

ハンドルは通常のモンキーでおなじみの“折り畳み式”ではなく一般的なクランプ式。幅広のハンドルとナックルガードもBAJAならでは。

ステップは、オフロード車らしいギザギザのタイプを採用。細かな部分まで抜かりなし。
純正アクセサリーでこの姿!? “アフリカ化”まで楽しめた
そんな遊び心あふれる“モンバハ”の魅力を高める純正アクセサリーパーツとして、当時は「アフリカキット」がホンダアクセスからリリースされて話題を呼んだ。ホンダのラリーマシン「アフリカツイン」をモチーフにしたボリュームたっぷりの外装キットで、そのコミカルな姿は注目の的に!

左がノーマル、右がアフリカ仕様。ベースは同じモンキーBAJAなのに、外装だけでここまで印象が変わる!

ボリュームたっぷりの外装で一気に大柄な雰囲気へ。小さな8インチ車とのアンバランスさも含めて、なんとも愛嬌のある姿だ。※車両は社外製マフラーなどを装着したカスタム車。

外装でタンク周りを大きく覆っているが、オリジナル同様に上部を開いて給油できる構造となっている。ちなみにホンダアクセス製の純正外装キットは現在プレミアが付いており、新品なら100万円以上で取引されることも! 今となっては、車両本体と同様にかなり貴重なアイテムなのである。

燃料タンク容量は約4L。BAJAらしい大胆なグラフィックも、この時代ならではの見どころだ。

リヤキャリアも車体に合わせてホワイト。フレームやスイングアームなど、白で統一されたパーツが軽快な印象を強める。
ひと足早く12V化! 中身は意外と付き合いやすい
バハはモンキーよりも1年ほど早く12V化されており、点火系の安定性や整備性など高められているから、その点も安心! 一部の専用部品は高額で取引されているが、基本構造はモンキーと共通だからカスタムもしやすい。カムシャフト軸受部のボールベアリングや、調整不要のオートカムチェーンテンショナーなど、メンテナンス性にも配慮されていた。

バッテリーレス仕様ながら、ニュートラルランプ点灯用に2Vのカードバッテリーを装備。純正品はすでに廃番となっている。

カードバッテリーはニュートラルランプ点灯用。30年以上が経過した現在では、光が弱くなったり点灯しなくなることもある。
さらに1993年には、カラーリングや主要諸元はそのままに、サイドスタンドの形状を変更して使い勝手を向上。登場後も細かな熟成が図られていた。

白いフレームやホイール、赤いシート、鮮やかなグラフィック。どこを切り取っても普通のモンキーとは違う個性が詰まっている。
丸目2灯に白い車体、青いフロントフォーク、そして小さな8インチタイヤ。見た目はラブリー&チャーミーだけれど、装備をよく見ればかなり本気。速さを競うより、原っぱをトコトコ走ったり、気になった小道へフラッと入ったり……。そんな遊び方が妙に似合う“モンバハ”なのである。
HONDA MONKEY BAJA 主要諸元
型式:A-Z50J
全長×全幅×全高:1330×735×875mm
ホイールベース:895mm
最低地上高:150mm
シート高:575mm
車両重量:59kg(乾燥重量55kg)
総排気量:49cc
エンジン:空冷4ストローク単気筒
内径×行程:39×41.4mm
圧縮比:10.0:1
最高出力:3.1ps/7500rpm
最大トルク:0.32kgm/6000rpm
始動方法:キック
燃料タンク容量:4L
タイヤサイズ:前後3.50-8
ブレーキ:前後ドラム
車体価格:15万9000円
※スペック、価格は1991年当時。
※この記事は月刊モトチャンプ2024年9月号を基に加筆修正を行っています
【モトチャンプ編集部】
