都電もなかでほっこり

都電もなか いただきました!

車の名前のもなかは結構あるが、大体は写真をベースにした二次元ものがほとんど。そんな中、電車の最中は三次元ものが多い。作りやすいというのもあるが、立体だとちょっと見る目が違ってくる。ここでは偶然いただいた、都電もなかをクローズアップ。

自動車の世界で最中といえば4代目スバル・レガシィを象った伊勢屋(群馬県・太田市)のスバル最中が有名。そのほかにも、愛知県豊田市などにもトヨタ車の最中があることはよく知られている。とはいえ、それらは写真をベースにした二次元モデルとなっている。一部、豊田市の風外というお店で “The くるま” というもなかがトヨダAAを象った立体のものもあったようだが、現在は販売されていないとのこと。

菓匠 明美の都電もなか。袋入りが多い中、こちらは都電デザインの箱入り。もなかは食べてしまっても、この箱は捨てられない。

しかし電車となれば最中はほぼ立体。その中でも有名なのが都電もなかだ。今回、偶然いただく機会があったので、ちょっと紹介してみたい。なにぶん電車の知識がないので恐縮だが、それでもくるま好きにとっても箱のデザインからしてそそるものがある。しっかりと都電になっているので、店頭でもおもわず手に取ってしまう魅力に溢れる。

販売しているのは、菓匠明美(東京都北区船堀3-3-20)という和菓子屋さんで、都電荒川線の梶原駅下車2分のところにある。商品化したのは1977年で、都電型の焦がし最中種に北海道産最高級小豆による潰し餡を使用。その中には短冊状の求肥餅を入れるというこだわりよう。

ずっしりとした重さを感じながら、その口当たりはパリッとした歯ごたえに香ばしい香りが後追いしてくる。そして、甘さを抑えたしっとりとした餡が印象的。求肥餅のねっとり感も実にいい仕事ぶり。香ばしさと程よい甘さは、お茶請けとしてもベストバランスの逸品と実感。

地元土産として愛され続け、第20回全国菓子大博覧会厚生大臣賞も受賞しているという都電もなか。この箱型パッケージが示すように、1個ではなく1輌、2輌と数える都電愛に溢れ、7車種をラインナップ。そして10輌入りは駅舎をデザインした箱が魅力的だ。駅舎の窓からは車輌の顔が見えるという遊び心もいい。14輌以上では蓋が都電荒川線の名所の記された路線図が描かれ、すごろくとして遊べる。

是非とも梶原駅に行かれた際には、菓匠明美に立ち寄ってみてはいかがだろうか。地方発送も行なっているとのこと。なんかこういうちょっとしたアイデアで、ほっこりできるのって嬉しい。甘いもの、あんまり食べちゃいけないんだけど…。

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著者プロフィール

松永 大演 近影

松永 大演

他出版社の不採用票を手に、泣きながら三栄書房に駆け込む。重鎮だらけの「モーターファン」編集部で、ロ…