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黒いホイールアーチガーニッシュが話題
話題となっているWRXのホイールアーチガーニッシュだが、現状ではオーバーフェンダーのような黒いガーニッシュをつけるのはSUVの定番デザインなので、そう見えてしまうのは仕方ないのかもしれない。このガーニッシュは、フェンダーを傷から守る役割があるのだが、デザイン的にも重要な役割があると思う。
最近ではSUVスタイルも普通に見慣れているので違和感はないが、出始めの時にはランクルなどの剛健なモデル対して、セダンやワゴンの背が高くなったようなクロスオーバースタイルは、場合によってはやさしい形すぎる印象があった。そのため、強さのアクセントをつける狙いとしても利用されているのがこのガーニッシュだ。また、クロカン4駆よりもちょっと小さめのタイヤを貧弱に見せないという効果もあっただろう。
ところが、それ以前の70年代前半までは似たような装備がオーバーフェンダーと呼ばれていた。これはボディ幅よりも外に出ていることが、現在のガーニッシュと大きく違うところで、レース仕様などで太いタイヤを装備した時にタイヤがはみ出ないようにする装備だ。かつては、レースに参加するクルマにはカテゴリーによっては必須の装備でもあった。
レヴォーグ&WRXの特徴はブリスターフェンダー
そこから転じたのがブリスターフェンダーで、こちらも太いタイヤをボディからはみ出させないようにした装備で、空力にも配慮できるものだった。黎明期のアウディ・クワトロなど既存のクーペをベースにフェンダーを造形したものが有名で、その後、ブリスターフェンダーをオリジナルのデザインとして形作ったものも多く登場した。実は最近の代表作がランエボだったり、インプレッサだったり、そしてレヴォーグやWRXでもある。
そんな流れの中で見ると、ホイールアーチガーニッシュは往年のサーキットを疾走するスポーティなモデルの印象もある。
そして注目していただきたいモデルが1台。2019年のジュネーブモーターショーで初出展されたコンセプトカーである、VIZIVアドレナリン・コンセプトだ。このモデルは、スバルのデザイン哲学である”Dynamic ×Solid” を表現する新たなデザインコンセプト ”BOLDER” (大胆)を具現化したものだという。
そのためのデザインとして、VIZIVアドレナリン・コンセプトは、スポーツとフィールドの価値を無限大にバランスさせて表現したモデル。これは単に特定した1台のモデルに対するものではなく、すべてのスバル車が持っていくデザインコンセプトだという。さらに、スポーツ、フィールドそしてジャーニーを非日常の3つの価値に凝縮して捉え、表現しているという。
そうしたBOLDERの考えの中から生まれたのが、現行レヴォーグであり、またWRXなのだ。ある意味、フィールドレスの考え方がWRXに明確に表現されたと考えてもいいのかもしれない。
かつてのコンセプトカーがホイールアーチをブラック化していた
実はSUVでなくてもホイールアーチをブラックガーニッシュ化するアイデアは、スバルがかつてより熟成してきたアイテムでもあった。例えば2014年のグランツーリスモ6用にデザインされたモデル、VIZIV GT Vision Gran Turismoに始まり、2017 VIZIV Performance Concept、2017 VIZIV Perfirmance STI Concept、そして2018 VIZIV Tourer へと引き継がれる。
つまりは、表に公表されているだけでも2014年より、スバルではやりたくて仕方がなかった表現だったのかもしれない。新型WRXの表現は、確かに大胆すぎなのかもしれないが、スバルのそんな強い思いをもう一度噛み締めてみるのも面白いかもしれない。