装軌式(キャタピラ式)ではない、日本が誇る最新戦闘車両「16式機動戦闘車」とは

主砲には戦車砲を備え都市部での走行性能が光る16式機動戦闘車
日本を守る陸・海・空自衛隊には、テクノロジーの粋を集めた最新兵器が配備されている。普段はなかなかじっくりみる機会がない最新兵器たち。今回はキャタピラーではなくタイヤを履いた装輪装甲戦闘車両の16式機動戦闘車だ。

陸上自衛隊最新の装輪(タイヤ式)装甲戦闘車両が16式機動戦闘車だ。2007年から研究開発が始まり、2017年度末から陸自の即応機動連隊へ配備開始。現在はその他の部隊へも配備が行なわれている。16式機動戦闘車の狙いは高速性や機動・展開性、輸送性を具体化することにある。

陸自は87式偵察警戒車などの装輪装甲車を保有しているが、現行の装輪装甲車の相対的な戦闘力は低く、敵の発見から射撃するまでの照準時間も長いため、先に攻撃を受ける可能性が高い。すると、市街地や島嶼部で戦闘する普通科(歩兵)部隊は、敵の装甲化された部隊を相手に、小火器や機関銃、各種車両に搭載した重機関銃、個人携帯対戦車火器で対機甲戦闘(戦車や装甲戦闘車を相手にする戦闘)を展開することになる。また、普通科が使用する車両や随伴する車両は装甲が薄く、敵戦闘車両の火力には対抗しきれない。普通科の「盾」となり、速く移動でき、市街地などでも身動きがしやすく、火力も強い装甲戦闘車両が求められ、研究開発したのが16式機動戦闘車だ。

本車は都市部や島嶼部に対する攻撃・侵略など、多様化する事態に対処する。航空自衛隊の輸送機で空輸が可能。舗装路などの道路上では最大時速100㎞の高速走行が可能だ。乗員は車長、操縦手、砲手、装填手の4名となる。

主砲は105㎜ライフル砲を装備。中距離の直接照準射撃で軽戦車や装甲戦闘車両を撃破できる。高度な射撃統制装置や指揮通信機能も備え、リアルタイムで戦況を知ることができ、効果的な機動展開が可能になる。 

戦車は攻撃力があり路外(オフロード)走行性能が高いため、野戦では十分にその力を発揮することができるが、空輸性は無く、路上(オンロード)走破性も低い。近い将来に発生が予想される市街地や島嶼部などでの戦闘に対し、重量級の戦車は迅速な投入が難しい。これを打開する装備が本車だ。

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著者プロフィール

貝方士英樹 近影

貝方士英樹

名字は「かいほし」と読む。やや難読名字で、世帯数もごく少数の1964年東京都生まれ。三栄書房(現・三栄…