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FB型水平対向エンジンの生産技術ーー将来のスバルのための工場ーー

  • 2020/02/16
  • Motor Fan illustrated編集部
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これがFB型エンジンの大物部品。機械加工を終えて最終組み立てラインに入る前の様子だ。軽量設計のアルミブロックは、持ち上げてみると意外なほど軽い。鋳造精度は高く、型から出したままの部分も地肌はきれいだ。

富士重工は、まったくの新開発水平対向エンジンのために、まったく新しい工場を建設した。新しいエンジンに新しい知恵が込められるように、新しい工場にも随所に新しい技術と知恵が注ぎ込まれる。新たに建設された大泉「第5工場」で、FBエンジンは作られる。水平対向ならでは、スバルならではの「もの創りの現場」を取材した。
TEXT:牧野茂雄(MAKINO Shigeo) PHOTO:瀬谷正弘(SEYA Masahiro)
*本記事は2010年12月に執筆したものです。現在とは異なる場合があります。

FBのための新工場

 富士重工の新しいエンジン工場を訪問した。2010年9月に発表された新エンジン「FB」型のために建設された新工場である。

 これまで大泉工場には第1から第4まで4つの工場があり、エンジンと変速機を生産していた。新たに建設された第5工場は「FB」型水平対向エンジンの専用工場である。第3工場では既存の「EJ」および「EL」型水平対向4気筒ガソリンエンジンが継続生産され、第4工場では「EZ」型水平対向6気筒ガソリンエンジンおよび「EE」型水平対向4気筒ディーゼルエンジンが生産されている。これで水平対向エンジンの工場は3つになった。

ほぼ同じ敷地面積の工場が5棟並んだ大泉工場。第5工場の屋根のデザインが違う理由は、ホコリ対策と温度管理徹底のためにゾーン空調を取り入れたことだ。明かり取りの天窓は廃止された。リチウムイオン電池の生産もできそうなくらいクリーンで明るい内部である。
富士重工大泉工場の沿革

 自動車メーカーにとってエンジンを新調することは一大イベントである。富士重工でも2ℓクラスの水平対向エンジンは1989年発売の初代レガシィに採用された「EJ」型以来、じつに21年ぶりの新型である。しかも今回は完全な全面刷新であり、エンジンブロックから動弁系、燃焼室まで新設計である。そして、新エンジンに合わせて工場も新調した。

 第5工場は、縦240m×横140mの敷地に建て屋面積3万3600㎡という規模。航空写真に写っているシルバー屋根の建物である。富士重工が描いた第5工場のコンセプトは、ひとことで表現すれば、フレキシブル生産への対応だ。
「新しいエンジンにはふたつの設計視点が求められます。ひとつは、現時点での最高性能をねらいながら、将来の発展性を盛り込むというエンジン性能側の視点。もうひとつは、どんどん進むエンジン改良を取り込み、設計変更にも柔軟に対応できる生産ラインの構築という生産側の視点です。このバランスを取ることが難しいのです。生産側の都合で『このラインはこういう制約にします』と最初から線引きすることはできません。かと言って、制約のない生産ラインがベストかと言うと、それは違います。制約ナシというのは、じつはもっともダメな考え方なのです。コストも含め、ある一定の制約は絶対に必要です。しかし、その約束ごと以外の部分では、できるかぎりフレキシブルな生産ラインにしたい。今回の第5工場は、このバランスのうえに設計されました」
 と、スバル製造本部群馬製作所第3生産技術部エンジン加工技術課の太田正章課長は語る。

カムシャフトキャリアの加工について熱心に説明してくれるスバル製造本部群馬製作所第3生産技術部エンジン加工技術課の太田正章課長は、水平対向エンジンのクォリティを支える重要なスタッフのひとり。新工場の立ち上げは苦しくても楽しい作業だったのだろう。

 太田課長には、2010年4月にも第3/第4工場の取材でお世話になったが、いま思えば、そのときは第5工場の建設が始まっていたわけだ。既存の工場を隅々まで見学させていただき、いろいろと質問をぶつけたのを記憶しているが、あの段階では「次世代の理想の工場像」がすでに固まっていた。なるほど、言われてみれば……と、第5工場の概要を聞いて感じた次第である。

「現在の第3/第4工場は、製品の仕様数に対してはある程度のフレキシビリティを持っています。しかし、まったく違うエンジンを組み立てるとなると、ラインを止めて段取りしなければなりません。第5工場は、ラインを止めることなく、製品Aの生産を続けながら新しいBのための段取りが可能で、さらにC、そしてCの別バーションというように、複数のエンジンを取り込むことができます」

 そのイメージが、下のイラストである。従来の第3/第4工場を「少品種大量生産ライン」と呼ぶなら、新しい第5工場は「多品種少量生産ライン」である。こう聞いてピンと来たことがあるが、それは最後に述べる。

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